無人の家で発見されなかった手記 -24ページ目

無人の家で発見されなかった手記

──ある素人小説家の陳述

 というわけで、僕が最初に読んだクトゥルー神話小説は、よりによって『アーカム計画』だったわけですが、もしこれから神話の世界に触れられる方にお勧めするとしたら、どの作品(どの書籍)がよいものか考えてみました。

 ……表紙とかタイトルとか見て、ビビッと来たやつでいいと思いますよ、正直。

 では話が終わってしまいますので、もうちょっと建設的なことを書きましょう。
 やはり始祖ということで『ラヴクラフト全集』が手堅いとは思いますが、これってぶっちゃけ読みづらくない? という気がしないでもない。
(ただ、近年、森瀬繚さんによるラヴクラフトの新訳『クトゥルーの呼び声』が出ており、第2弾の『『ネクロノミコン』の物語』も刊行されており、そちらが最適な気もしますが、この場では僕の思い出や経験談をベースに話を進めて参ります。あしからず)

 また、目的が「ラヴクラフト」であるならよいのですが、そうではなく「クトゥルー神話」に触れたいというのであれば、全集ではないほうがよさそうです。必ずしもラヴクラフトが好みと合致するとも限りませんしね。

 さらには、できれば古典がよいと思います。現役の作家さんによる新しい作品も面白いものはたくさんあるのですが、古典を読んで地盤を固めておくと、面白さが倍増しますので。

(ミステリマニアがクイーンやカーやクリスティなどを読め! と言うのと似たようなものかもしれません)


 様々な作家の神話作品を読めて、安価で入手しやすいものとなると、月並みですが、青心社の『クトゥルー』シリーズが真っ先に思いつきます。スミス、ロング、ハワード、ダーレス、ブロック等、たくさんの作家の有名どころが抑えられていて、もちろんラヴクラフトの作品も収録されています。興味のある作品が掲載されている巻だけを買ってもいいでしょうし、拾い読みしてもいいでしょう。このシリーズで、お好みの作家を探してみるのも一興ではないでしょうか。

 てな感じ。
 ……正直、第一印象、ジャケ買いで問題ないと思いますよ(笑)。
 本との出会いとは、そんなものです。

 

 

 

 

 

 

 まったくもって原典の小説を読まずにTRPGばかり遊んでたクトゥルー神話ですが、初めて読んだ神話小説はなんだったかといえば、これがなんと、ロバート・ブロック『アーカム計画』でした。マニアならお判りと思いますが、いきなり最初に読むような話ではないですよね、これ。


 この長篇小説、H・P・ラヴクラフトのパロディやオマージュに満ち溢れた作品で、「もちろんHPLは全部読んでますよね? ああ、すみません、愚問でしたね」前提で話が進む感じになっているのです。クトゥルー神話の知識といえばTRPGのルールブックとハンドブックしか知らない僕としては、「これは『ピックマンのモデル』だ!」「馬鹿め。〇〇は死んだわ!」(うろ覚え)などといきなり言われましても……といった状態で読み進める必要がありました。が、しかし。これが面白いのなんの。ロバート・ブロックといえば超弩級エンタメ作家なので、話の作りとか運びとかがめっちゃ上手いのよね。

 かくして『アーカム計画』を一気読みし、それから創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』へ遡りつつ、青心社の『クトゥルー』シリーズも読み漁り、といった少年時代を過ごすわけです。
 やがて菊地秀行さんの神がかり的な傑作『妖神グルメ』にも出会い、そこから吸血鬼ハンターDや魔界都市ブルースや魔界医師メフィストにもかぶれてゆくのですが、それはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 クトゥルー神話の世界に足を踏み入れたのは、中学生のころでした。
 ある日、学校から帰宅したら、テーブルの上に『クトゥルフ・ハンドブック』(山本弘さん著)が唐突に置いてあったんですよ。兄貴が買ったんですけどね。

 もともとTRPGが大好きでD&DFF(ファイティング・ファンタジー)に小学生のときから触れていて、『クトゥルフの呼び声』という名のホラーTRPGが存在することは知っており、気になってもいたのですが、まさかこんな形で触れることができるとは思ってもいませんでした。

 ちなみに兄貴はさっさとTRPGから足を洗ってます。クトゥルー神話もイマイチ好みではなかったみたい。僕はいまだに両方ともどっぷり漬かってますけどね。
 さらにちなみに、当時は『クトゥルフの呼び声』という名前でしたが、今は『クトゥルフ神話TRPG』と(邦題は)改題されていますので、お探しのさいにはご注意を。

 で、『クトゥルフ・ハンドブック』ですが、一読した僕は感嘆してしまったわけです。こんな素晴らしい世界があったのかと。いちいち個性的で魅力的で、見たことも聞いたこともない怪物や邪神の数々。正気度(SAN値)という独創的なシステムを使い表現された、ホラーTRPGとしての面白さ。それまで触れていたヒロイック・ファンタジーTRPGとは一線を画する、PC(プレイヤー・キャラクター)の脆さ。

 数日後には、なけなしの小遣いを握りしめ、『クトゥルフの呼び声』ボックスセットを買いに、仙台模型へ走ってましたとさ。

(仙台模型……当時は模型以外にも、SLGやTRPG関連の品が並んでいたのです

 

 

 

 

 

 最初に小説らしい小説を書いたのは、高校生のときでした。
 きっかけは、学校の国語の宿題。現国の授業で安部公房の「赤い繭」を読まされまして、それを受けて、人が何かに変身する物語を書いてこいという課題でした。

 ノルマとしては原稿用紙1、2枚程度だったと思いますが、足りなくなって裏にも書きなぐって提出しました。タイトルは忘れましたが、内容としては、ある女に復讐を誓った男が、彼女が最も恐怖する生物である蜘蛛に変身してなぶり殺しにしてやろうと考え、ケザイア・メーソン(H・P・ラヴクラフトの「魔女の家の夢」に登場する魔女)に依頼して巨大蜘蛛の姿にしてもらおうと思ったら、タランチュラ程度の大きさにされてしまい魔女の使い魔にされちゃったギャフン! みたいな話でした。
 たいしたことない話ですが、課題の中心テーマが「変身」であることは理解していたので、人が蜘蛛に変身する過程の描写に文字数を多く割いてみたんです。現国というのは畢竟、出題者の意図を酌めるかどうかですからね。


 そしたらこれが国語の先生に褒められまして、そこでいい気になって、もっと小説を書いてみるのもいいかなと勘違いしてしまったわけですね。書いてて純粋に楽しかったですし。

 これがなければ、道を踏み外すこともなかったんだろうなと思います。いや、先生には本当に感謝してますけどね。

 才能がないのに褒められて勘違いすると、あとが大変ですよ。

 

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 具体的にどんなことをブログに書いていこう、といった計画はまったく立てていません。タイトルも適当です。そのうち変えるかも。
 ですが、せっかくの機会ですので、自分がいかにして小説を書いてきたか、どうやって素人なりにある程度は書けるようになってきたか、といった実体験を中心に紹介していこうかと考えています。自分の過去や自分の作品について語るのは苦手ですが……。小説を書いてみようという方には、もしかしたら参考になるかもしれませんよ。反面教師かもしれませんけどね。

 まあ、現時点でそう考えているだけで、明日にはガラリと変わって奇術のことばかり書き連ねる可能性もなきにしもあらずですが。そうそう、奇術も好きなんですよ。レベル的には全然初級なんですけどね。実際に演じるのも好きなんですが、研究するほうがもっと好きだったりします。尊敬するマジシャンはマックス・メイビン。好きな道具はコインボックスとESPカード。

 ……奇術はさておき。小説です。
 クトゥルー神話好きと奇術好きが高じて、両方をテーマに織りこんだ小説なんてのも書いてみたりしたことがあります。同人誌に寄稿したのですが、クトゥルー神話をご存じのマジシャンの方にも読んでいただき、好評いただけた模様。『妖神』というアンソロジーに収録されている「プリンシプル」という短篇です。ご興味ありましたらお買い求めください。そろそろ入手困難になるかも?

 

 

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