こんばんは!TranslucentのMIWAです。
「思い出のマーニー」を観て来ました。
ここから先はネタバレを含むこと&私の感想を書くのでまだ観ていない方は観てから読んでくださいね~
ネタバレOKな方はこのままどうぞ!
舞台は北海道の道東。
潮の満ち引きで姿を変える湿地や海辺の村の誰も住んでいない「湿っ地屋敷」、丘に立つ今は使われていないサイロ等の美しい風景に最後まで目が離せませんでした。さすがジブリの美術!!
月夜の湿原の幻想的なシーンは特に素晴らしかったです。
主人公は12歳の心を閉ざした孤独な女の子の杏奈。
モノローグから杏奈は陰の部分をみせています。
「この世には目に見えない魔法の輪がある。輪には内側と外側があって、私は外側の人間。
でもそんなことどうでもいいの。
私は私が嫌い。」
多分、思春期の多感な子なら感じたことがあるような場面がたくさん描かれていました。
映画を観ながら自分の過去がリンクして思い出されました。
杏奈は、自分は特別で(普通じゃなくて)誰からも愛されていないし誰も信じられないと感じていました。
マーニーと森の中で打ち明け話をする場面は心がきゅっとなりました。
杏奈もマーニーもずーっと我慢してきたんですよね。
杏奈は、養父母が自分を引き取って育ててくれているのは自治体からお金をもらっているからだと思い、ショックを受けたことを荒々しく話します。
そして、自分を一人置いて死んでしまった両親や祖母へのやり場の無い怒りや憎しみなど、これまで抑圧してきた心の叫びがそのシーンで一気に溢れ出します。
マーニーも自分のことを打ち明けます。
両親はいるけれど、いつも家には居らず放っておかれています。
お世話をしてくれる双子の姉やとばあやは意地悪をするし、マーニーは広いお屋敷でひとりぼっちでした。
ばあやが髪を梳かしてくれるのだけれど、泣いちゃうくらい痛いの。と言っていました。
明るく振る舞う一見華やかなマーニーの心にも誰とも分かち合えない深い悲しみと孤独がありました。
劇中で杏奈はマーニーのことを「あなたが羨ましい」と言います。
マーニーは杏奈に「あなたは恵まれているわ」と言います。
人は、無いものを見つけるのが得意です。
あるものについては見ないフリして、いつも無い無いって騒いでいます。
そうしている方が何かしら都合がいいからです。
自分がどれだけ豊かであるか。
あるものを見ようとすると、無い無いと騒いでいたことが滑稽に思えてきます。
私たちは出来事を自分が見たいように見て解釈しています。
モノローグの「内側と外側」というのも、自分がどんな視点で見ることを選ぶかで変わるもの。
そしてその二つを越えた視点もあります。
どこまでが現実でどこからが幻か。
どこまでが記憶でどこからが空想か。
これらが交錯するこの映画には、
それを越えた視点を垣間見るヒントが見えるかもしれません。
観終わった感想は、
"置いてけぼりにしてきた「私」がかえって来た。"
"見失っていた自分を取り戻した"という感じでもありますね。
ジブリといえば~、の派手さとかエンターテイメントな感じは無いけれど、色んな自分に出逢えてそれが嬉しく思える、そして優しい気持ちになれる映画でした。
ポスターにもキャッチコピーとして書かれていますが、
「あなたのことが大すき」
純粋に、この言葉がやはり一番心に響きました。
杏奈はマーニーとの交流を通して自分が愛されていたことに気づき、愛する(許す)ことができると気づいたのですね。
もちろん、観る人によって様々な感じ方があると思います。
これはあくまで私の視点での感想ですので、興味がある方はぜひ劇場に観に行ってご自分で色んなことを感じてきてくださいね!
「思い出のマーニー」は、
児童文学の「トムは真夜中の庭で」を彷彿とさせるとの声を聞き、図書館に行って早速読んでみました。
なるほど確かに。
トム~の方は、情景描写がとても細かく書かれていて、本当に手に取るように物が見えるし風景も見えてきました。時間の概念についても面白いと感じました。
点と点を結ぶ~っていうのが素晴らしかったです。
心理描写があまりないので、個人的にはそれが描かれているマーニーの方が好きです。
こちらも興味のある方はぜひ読んでみてください。
それにしても、図書館で本を読んでると眠くなるわ~

読みながらうとうとしていました。



「あなたのことが大すき」
映画を観終わっての帰り道、この言葉をずっと心の中で自分に言ってにやにやして歩いていました~。( ´艸`)
