ここ数年、目にするたび、耳にするたびに違和感を覚えてきた日本語があるのですが、先日は日本経済新聞電子版にその言葉を使ってあるのを読みました。

一部抜粋します。

日経メディカル編集部は、「医師は自分自身の花粉症の治療のためにどんな薬をチョイスをしているのか」アンケート調査した。というものです。

これまでは「チョイスする」という形が多かったように思いますが、今回はご丁寧に「チョイスをする」と「を」付きです。

いえ、別に正しい日本語を正しく使いましょうということが言いたいのではありません。まぁ、それも言いたいけれど、皆さんのご指摘を受けるまでもなく、日本語はもともと外来語を取り入れて豊かになった言語であることは承知しています。古くは中国語を、明治以後は主に英語を日本語に取り込んで、表現力を豊かにしてきました。それはわかります。わかりますが、この「チョイスする」だけはどうにも気持ちが悪いのです。

動詞であれば「チューズする」ぐらいならまぁ何とか目をつむる努力をしてみますが、「チョイス」という名詞に「する」をくっつけて「選ぶ」という動詞として使うのは、たとえば「選択肢する」というぐらい奇妙な感じがしてしまうのは私だけでしょうか?

おそらく最初に「チョイスする」という言葉を使った人は「選択」を辞書で引いて品詞はお構いなく、最初に出てくるselection は長いので次にあるchoice を採用し、後ろに「する」をつけたのではないかと想像しています。けれどもそれをカッコいいと思ったり、真似してみようと思った人が多かったからこそ今まで生き残ったのでしょうね。

それに怖いことに、私もこれに慣らされたのか、最初にこの言葉に遭遇した時に感じた違和感が、だんだん薄れつつあるような気もします。こうして日本語は新たな言葉をどんどん呑み込みながら変化していくのでしょうね。日本の人に「最近では、そういう言葉を使う人はいませんよ」と言われないように、アメリカ在住組も変化に敏感でいたいものです。

参加してくださった皆さん、ありがとうございました。

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ご質問があれば、メールでどうぞ。


皆さんからのメールをお待ちしています。

今日のL.A.Times に、ボブスレー競技の二人乗りのソリを設計した米国BMW社のクリエイティブ・ディレクターの記事がありました。(From sketch to whoosh) この記事で目に付いた単語とフレーズを少しご紹介します。

Get in  建物の中に招き入れる言葉かと思ったら、いきなりボブスレーに乗せられたという場面が後ろに続きます。こういう場合、わざと読み手に思い違いをさせて「いきなり」という印象を与えるには、どういう訳をつけたらいいか考えるのも楽しいですね。「乗って」では明らかにネタばれですし。「入って」ぐらいでしょうか?

pilot/driver

brakeman

fluid dynamics

vertical force

turbulence and kinematics

industrial design

wind tunnel

tinker

Take it off the top and see if we could get to the bottom.

align

D-ring


二人乗りボブスレー競技は16日開始だそうです。このクリエイティブ・ディレクターはご自分が設計した「うちの子」たちの戦いぶりを観に、ソチへ出かける予定だと締めくくってあります。(he) plans to travel to Russia to watch his babies —the sleds, not the athletes — in action.

4日の衆院予算委員会で、「しっかりと通訳をしていただきたいと思いますが…」と、安倍晋三首相が通訳者に念押しする一幕があった。という見出しが24日のオンラインmsn産経ニュースで目に付きました。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140204/plc14020420010020-n1.htm

どういう場面で、誤訳があったのかとリンクを見てみると、ダボス会議で首相が現在の日中関係について 「今年は第1次大戦(の勃発)から100年目。英国とドイツは、戦争前に貿易で相互に関係が深かった。日本と中国も今、非常に経済的な結びつきが強い。だからこそ、そうならないよう事態をコントロールすることが大事だ」と発言したのに対し、同時通訳者が「われわれは似た状況にあると考えている」と補足したというものだそうです。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140125/plc14012509280004-n1.htm

もと通訳者として愚考いたしますに、「...似た状況...」の補足の後に、しっかりと「だからこそ、そうならないよう事態をコントロールすることが大事だ」という部分を強調して訳せば、何の問題もないと思います。それに、引かない・足さないのルールから考えても、「だからこそ、...大事だ」の部分を省略することは考えられません。

また、日本外交筋が「欧米での報道は一部を除き、事実を伝えるものが多かった。」と述べていることからも、これは通訳者のミスというよりは欧米での「一部」の報道が、故意に首相の発言の意図を曲げたという印象を受けます。

しかしながら皆さん、ここで肝に銘じておかねばならないのは、何か問題が起きた場合にスケープ・ゴートにされやすい翻訳者・通訳者の弱い立場です。だからこそ日頃から徹底して、引かない・足さない、で訳すことに慣れておきましょう。

うら若い日本女性がSTEP細胞の作成に成功という、素晴らしいニュースの日本語版(朝日新聞デジタル)と英語版(L.A. Times(http://www.latimes.com/science/sciencenow/la-sci-sn-stap-stem-cells-20140129,0,517478.story#axzz2rvLQlWhU) を読んで単語を突合せてみました。

再生医療(医学)  

(regenerative medicine)

細胞を弱酸性液に浸して

(soaking the cells in a mildly acidic solution)

理研発生・再生科学総合研究センター

(RIKEN Center for Developmental Biology )

ユニットリーダー 

(lead study author)

刺激惹起性多能製獲得細胞 

(Stimulus triggered acquisition of pluripotency - STAP)

万能細胞

(pluripotent stem cells)

細い管に無理やり通す

((repeatedly) poured them through narrow glass pipes)

日本在住の方や、カリフォルニア以外の州にお住まいの方も、スカイプを使って参加していただけます。

メールでお問合せください。


日時:2月22日(土)10:00-11:30 a.m. (日本時間と西海岸時間の2回実施します)

場所:オレンジ・アイランド・カルチャー・サロン (またはご自宅からスカイプで)


参加ご希望の方は、ウエブサイト(http://translationcoaching.com ) に掲載してある課題文を訳したものをワードファイルで添付したメールをお送りください。締め切りは19日(水)正午です。


お問合せ、ご質問は、メール(translationcoaching@gmail.com)  でお受けしています。


翻訳は特別な人のためのものと考えていませんか?

英語が好きで、きちんとした日本語を書ける人なら、素質ありです。

さらに調べ物が得意な方なら、可能性は大きいです。

翻訳に興味のある方ならどなたでも参加できます。


翻訳を10年、通訳を10年続けてきたコーチが、実際の仕事を通じて身につけたノウハウを若い世代に伝えたくて立ち上げた教室です。


皆さんからのご連絡をお待ちしています。



著者の死後70年間保護される現在の著作権についての考えを述べた、マイケル・ヒルヅィック氏の記事をよみました。http://lat.ms/1eQSGfZ .

導入部分にはBBCの製作によりPBSが今シーズン放送を予定している「シャーロック」シリーズをとりあげ、シャーロック・ホームズの作者のコナン・ドイルは83年も前に亡くなっているのだから著作権はとうの昔に切れていると思いきや、これを主張する遺産権者があったのを、シカゴの裁判官が退けて無事に放送の運びとなったことや、マーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の有名な「私には夢がある(I Have a Dream)」スピーチの著作権を、牧師の子息が管理するキング遺産権者が主張したために、このスピーチがインターネットから撤去されたことなども紹介しつつ、著作権の意義について述べています。

著作権とは、作家とその遺族に対し経済的独占権を保障するものですが、他の人達がその著作を利用したい場合には著作権料を支払わなくてはならず、著作権料を払いたくない人はその著作を利用できないので、キング牧師の素晴らしいスピーチを引用できないということも起こります。

著作権に似たものに特許がありますが、これは技術的な発明・工夫の考案者に対し経済的独占権を保障するものです。以前、毎月のように仕事でご一緒させていただいたトヨタ生産方式のコンサルタントの皆さんのお話では、トヨタ生産方式を発案された大野耐一氏とトヨタの偉いところは、トヨタ生産方式を特許で保護することなく、始めから公開したところだといいます。そのお陰で、世界中の生産現場の人達がこの方式を学び、実践し、成果をあげ、ものづくりの品質と効率を高め、コストを下げ、結果として世界中の消費者が恩恵を被ることになったといえます。

ただ、いつぞや公共の図書館がベストセラー書籍を貸し出すことについて、著作権とのかかわりを問う一文を読んだ覚えがあり、その時は図書館で借りることが出来るなら読むけれど自分で買うならベストセラーでも読まない読者の数と、図書館が購入するベストセラーから著者の手元に入る著作権料を比べると、著者としてはどちらが嬉しいのかしら、と考えたことも思い出しました。

自らも著作を持つヒルヅィック氏は、著者の死後70年は長すぎるとの考えを述べ、個人の著作権と、企業の著作権(例えば映画製作など)を比較してこの文章を終わっています。


やっと年末年始のゴタゴタから開放されて、落ち着いて新聞を読める状況になりつつあることを感謝しながら、朝刊(L.A. Times 1-8-14))を読んでいたら、”China’s relevant lunar mission” という見出しが目に付きました。 “relevant”といえば、法廷ドラマなどでやり手の弁護士が、相手方の言い分を”It’s irrelevant!(本件とは無関係です)”と一蹴するといった使い方に慣れていて、不勉強を自白するようですが、この “relevant”のもつ「有意義な」とか「今日性をもつ」といったイメージは、知りませんでした。

先月中ごろの中国による月面着陸のニュースを見て、今さらの感を持つむきもあるだろうが、科学者の間では、今後の月探査のみならず火星探査を計画する上においても有意義な一歩であったとされる、といった内容でした。私が特に興味深いと思ったのは、次の部分でした。

… such naysayers are missing the larger point of China’s “very systematic approach” to the moon, …

このほか Jade Rabbit rover とか Chang’e lander など、興味深い名前もでてきましたので、興味のある方は、http://www.latimes.com/world/la-fg-china-space-20140107,0,6075056.story#ixzz2pr2P86xo  を御覧ください。

なお、relevant を使った見出しは、紙の新聞で、オンラインの新聞の見出しは “China’s moon mission captivates scientists” でした。紙の新聞とオンラインの新聞で見出しが異なることは気付いていましたが、どういう理由かご存知の方があれば是非ご教授ください。

来年の春期講座の概要をウエブサイト (http://translationcoaching.com )に掲載しました。新しい取り組みも始める予定ですので、ぜひお立ち寄りください。

グーグルまでが、品質の高さにおいて機械よりも人間の翻訳を選ぶことを考えると、私たちの活躍の場は、ここしばらく安泰といえそうです。安心して訓練に励みましょう!


春期講座のご質問、コメントなどあれば、translationcoaching@gmail.com  までご連絡ください。

お待ちしています。