「メアリー・スーを殺して」(中田永一)(『本をめぐる物語 一冊の扉』収録)
<img alt="本をめぐる物語 一冊の扉 (角川文庫)" border="0" style="max-width:95px;vertical-align:middle;margin:0;" data-img="affiliate" src="data:image/svg+xml;charset=utf-8,%3Csvg%20xmlns%3D%22http%3A%2F%2Fwww.w3.org%2F2000%2Fsvg%22%20title%3D%22Placeholder%20for%20Images%22%20role%3D%22presentation%22%20viewBox%3D%220%200%201%201%22%20%2F%3E" data-src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51972uIoHuL._SL160_.jpg"><img alt="本をめぐる物語 一冊の扉 (角川文庫)" border="0" style="max-width:95px;vertical-align:middle;margin:0;" data-img="affiliate" src="https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51972uIoHuL._SL160_.jpg">本をめぐる物語 一冊の扉<本をめぐる物語 一冊の扉> (角川文庫)Amazon冴えない容姿で、特別な才能もない《私》(主人公)。アニメや漫画が大好きで、中学生の頃から二次創作小説を1人書いていた。高校に入ってアニメ系の部に入部した主人公は、部誌に自分の二次創作小説を寄稿する。しかし、それを読んだ先輩から「《メアリー・スー》がきもちわるい」と言われてしまい‥‥。中田永一さん(乙一の別名義)のこの短編、ずっと読みたいと思っていたのですが、本日ようやく読めました冒頭のあらすじにドキッとした女子には是非読んでほしい笑感想を書く前に、そもそも《メアリー・スー》とは何か、説明が必要かと思います。これは二次創作用語のひとつであり、作中の言葉を借りるなら、『作者の願望が不快なほどに投影されたオリジナルキャラクター』を指す言葉。例えば原作における最強キャラをあっさり倒してしまったり、容姿が非常に整っていたり、全体的にスペックが異様に高かったり、登場人物みんなから好意を持たれたり。そうした要素を持つオリジナルキャラクターが、しばしば《メアリー・スー》と呼ばれ、非難を受けます。(このあたりの基準は曖昧かつ個々人の捉え方にもよるので、興味があったらググって下さい)★★★書きたい小説を書いて満足していたのに、『《メアリー・スー》だ』という指摘を受けて、自分の作ったキャラクターが、自己投影の産物だったということに気づいてしまった主人公。悩んだ末、『《メアリー・スー》を殺す』ことを選びますが、ずっと主人公の小説に住み着いていた、主人公の影ともいうべき存在を消すことは容易ではありません。《メアリー・スー》の殺し方。ここから先は是非、小説を読んで、確かめていただきたいです。★★★主人公の最後の選択については、読んだ直後はうまく受け止められなかったです。『もう1つの道を選ばなかったことを、いつか後悔するんじゃないの?』と、真っ先に思ってしまいました。しかし同時に、主人公の強さが羨ましい、という思いもありました。この小説は、短編だからこそ輝く小説だと思います。周囲の余計な描写がなく、名前もない主人公にのみフォーカスを当てているからこそ、その真っ直ぐさや、若さゆえの眩しさが、直球でこちらに響いてきます。なかなか書きづらいだろう、こうした題材を、素晴らしい短編小説として昇華してくださった乙一さんに、心からの感謝を捧げたいです。★★★最後に余談ですが、↓の本にも同じ短編が収録されているようです。メアリー・スーを殺して 幻夢コレクションAmazon乙一、中田永一、山白朝子、越前魔太郎、安達寛高。一見すると5人の作家のアンソロジーですが、実は‥‥‥。というか有名な話だし、ここまで読んでいただいたならうっすら想像ついていると思いますが笑HN量産はそれこそ厨二あるあるだと思いますよ先生(この場合はPNだけど)。