人としての尊厳を守る介護 〜鹿児島「いろ葉」の奇跡〜 

 

WaRa塾の船越康弘さんと鹿児島の老人介護施設「いろ葉」代表・中迎聡子さんとの対談が、あまりにも深くて感動的でした。 

 

 

 

普通、老人介護施設では、外に出られないように二重の鍵がかかっていたり、利用者の多くがオムツを使用していることが一般的です。

 けれども、「いろ葉」では、なんと寝たきりの方でさえ、ほとんどオムツを使っていないのだそうです。 

 

 

「え?どうやって?」と思いますよね。 

実は、スタッフが一人ひとりを丁寧に観察し、「そろそろトイレに行きたそうだな」と感じたタイミングでトイレに連れて行くそうです。

すると、ちゃんと排尿できるのだとか。

大便も同じです。 

 

もし間に合わず失敗してしまったときは、スタッフがこう声をかけるそうです。 

「気づいてあげられなくてごめんね。」 

 

 

その言葉に、胸が熱くなりました。 

赤ちゃんのオムツでもそうですが、どんなに吸収性が良くても、やはり蒸れて気持ちの良いものではありません。 

でも、介護する側にとってはオムツを履かせておく方が圧倒的に楽です。

それは、「こちら側の都合」なんですよね。 

 

 

それでも「いろ葉」では、人としての尊厳を最後の瞬間まで大切にしている。 

亡くなるその日まで、オムツではなく、自分の意思でトイレに行くという「当たり前」を支えているのです。 

 

 

こんな施設があるなら、私も、親をぜひお願いしたいと思いました。

そして何より、「人間として生きることの意味」を改めて考えさせられました。

 

 

 

 

 



野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山県育ち。現在、愛媛県松山市在住。

医師として30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(潜在意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。