5月病は、誰にでも起こりうる心と体のゆらぎ。
だからこそ、「気合で乗り切る」よりも、

「自分をいたわりながら乗り越える」ことが何よりも大切です。

 

昨日は5月病の原因や症状についてお話しました。

今日は5月病の対処法と予防習慣についてお話します。

 

【目 次】
1.    5月病ってどんなもの?
2.    こんな症状が出たら注意サイン
3.    なぜ5月病が起こるの?
4.    どんな人がなりやすいの?
5.    自分を守るためにできる5つのこと
  ① 心と体の基本を整える
  ② 自分の気持ちに気づく時間をつくる
  ③ 小さな「楽しみ」を日常に取り入れる
  ④ 誰かに話す・頼る
  ⑤ 医療機関の力を借りる
6.    「がんばらない自分」を許す勇気
7.    おわりに:焦らなくて大丈夫。自分のペースで進もう

今日は5.~7.についてお話します。


5.  自分を守るためにできる5つのこと
ここでは、今日から実践できる具体的な対処法と予防のコツをご紹介します。

① 心と体の「土台」を整える
どんなときでも、自分を支えてくれるのは日々の基本的な生活習慣。
心の調子が揺らいでいるときこそ、生活リズムを整えることが回復のカギになります。

🌟睡眠のリズムを整える
夜更かしや寝不足が続くと、心も体も疲れがたまりやすくなります。
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるだけでも、心の安定に効果的です。

🌟栄養バランスを意識した食事
忙しい日々の中でも、栄養は心の元気を支える大切な要素。
野菜やたんぱく質をしっかりとり、特に朝食は欠かさないようにしましょう。

気分の安定にもつながります。

🌟軽い運動を習慣に
運動は心の栄養でもあります。
散歩、ストレッチ、軽い筋トレなど、体を動かすことで

「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌され、

気持ちが前向きになりやすくなります。

この3つの土台が整ってくると、心も少しずつ元気を取り戻しやすくなります。
無理にすべて完璧にこなそうとせず、

「できることを、できる範囲で」続けることが大切です。

 

 

② 自分の気持ちに気づく時間をつくる
毎日忙しく過ごしていると、自分の心の声に気づきにくくなります。
ですが、「なんとなく疲れている」「ちょっと元気が出ない」という小さなサインは、

心からの大事なメッセージかもしれません。

🌟自分の気持ちを見つめる習慣を
日記を書く、気分をスコアで記録する、ぼんやりと考え事をする時間をつくる――。
ほんの5分でも、自分の気持ちに目を向ける時間を持つことで、

心の整理がしやすくなります。

🌟無理にポジティブにならなくていい
「落ち込んじゃいけない」「前向きでいなきゃ」と無理に頑張る必要はありません。
落ち込む日があるのは自然なこと。そんな日があってもいいのです。


③ 小さな「楽しみ」を大切にする
心が疲れているときこそ、「ほっとできる時間」や「ちょっと嬉しい瞬間」を

意識的に取り入れてみましょう。

🌟自分へのご褒美を用意する
仕事や勉強のあとにお気に入りのスイーツを食べる、

好きな音楽を聴く、散歩に出かける……。


「今日もよくがんばったね」と自分に声をかけながら、

心が和らぐ時間をつくりましょう。

🌟休むことを「悪いこと」だと思わない
何もせず、ぼーっとする時間も心にとってはとても大切。
“効率”よりも“心地よさ”を優先する時間が、自分を立て直す力になります。


④ つらいときは、誰かを頼ってもいい
「自分でどうにかしなきゃ」と頑張りすぎていませんか?
でも、しんどいときに人を頼るのは、弱さではなく、自分を守る力です。

🌟ちょっと聞いてほしい、でもいい
同期、先輩、友人、家族――誰でもかまいません。
「なんかしんどくてさ」と口にするだけでも、気持ちは軽くなることがあります。
同じように感じている人がいると、「自分だけじゃなかった」と安心できることも。


⑤ 専門家の力を借りるのもひとつの方法
症状が2週間以上続く場合や、日常生活に支障を感じるときは、

心療内科や精神科の受診も前向きな選択肢です。


診断を受けることで、「ちゃんと理由があったんだ」と安心する人もたくさんいます。
最近では、話を聞いてくれる外部カウンセラーなどを設けている企業も増えています。


「この程度で相談してもいいのかな?」と思う段階こそ、

実はとても大事なタイミングなのです。



6. 「がんばらない自分」も、ちゃんと認めよう
真面目で責任感の強い人ほど「もっと頑張らないと」と自分を追い込みがち。

でも、今は“完璧”を目指すよりも“経験”を積む時期です。


感情の波にあらがわず、「今日は元気が出ないな」と思った日は、

そんな自分も認めてあげましょう。

 



7. おわりに:焦らなくて大丈夫。自分のペースで進もう
5月病は、心と体が「休ませて」と言っている大切なサインです。

無理をせず、立ち止まる勇気を持ってください。


「みんなはうまくやってるのに…」と感じても大丈夫。

あなたはあなただけのペースで、少しずつ進めばいいのです。


SNSや周囲の“元気そうな姿”に惑わされず、

自分の内側の声に耳を傾けてください。

 

そして必要なら、遠慮なく誰かに頼りましょう。
あなたの心と体は、これからの人生を支える大切な「働く資本」です。

どうか、その大切な資本を、やさしくいたわってあげてくださいね。
 

 

 



野上徳子(のがみとくこ)
内科医・心理カウンセラー
1967年生まれ、岡山県育ち。愛媛県松山市在住。

30年診療に携わる中で、昔から‟病は氣から”というように病気の原因は氣(意識)が大きく関わっていることに気付き、現在は、病気や生きづらさの中に生きる価値を見出し、本当の自分として命を輝かせて生きるサポートをしています。