ゼネストはよく分からないうちに終わり、今日は鉄道も動き出したので、リスボンから電車で45分のシントラという町に出かけた。緑の山に囲まれた世界遺産の町で、リスボンで会う人がみな「いい場所よ」と言う。

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ムーア人(イベリア半島を支配していたイスラム人)の山城跡。山のてっぺんに城壁を巡らせている。これ世界遺産。

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眺めは最高。

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ペナ城。ここシントラはポルトガル王族の避暑地で、この城も王族の夏の離宮だった。このカラフルな色づかいがステキ。タイル張りの壁なんか、ペカペカ光っているし。

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ちょっとおとぎ話のお城に入って行くような気分になる。城の中では代々の王様、女王様の居室や執務の部屋や大広間が見学できる。手のこんだ壁や天井の装飾、高価な家具や調度品や銀食器など、お宝がたっぷり堪能できる。

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残念ながらお宝は撮影禁止。城内はパティオ(中庭)だけ撮らせてくれた。色タイルでやや過剰装飾気味。
城の周囲は現在は自然公園になっている。公園のあちこちに女王や王女のお気に入りだった展望所が作ってあり、色タイルで飾られた石の椅子や、石のテーブルや、小さなあずまやがある。一番高い丘の上には石の十字架があり、そこからはここに掲載したペナ城の写真が撮れるほか、リスボンまで見渡せる360度のパノラマが楽しめる。が、ロカ岬だけは山の陰になっていて残念。

レガレイラ宮殿。

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これも世界遺産になっている。建物もさることながら、丘の斜面に広がるここの庭園は、さながら迷路のよう。というのも、洞窟があちこちに口を開け、その暗くて水のしたたる洞穴を歩いて行くと、突然水辺に出たり滝の裏に出たり井戸の底に出たりするのだ。

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ちょうど持っていたキャンプ用のLEDランプで照らしながら洞窟に入ると…

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いきなり水辺。

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いきなり螺旋階段のある井戸の底。

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ガウディを思い出すような石の橋。
遊び心満載の庭園である。おもしろすぎ。

そんなこんなでシントラで一日遊んだあと、夕方の列車でリスボンに戻った。
町で食事をしたあと、東への列車が発着するサンタ・アポロニア駅へ移動。22時30分の国際寝台列車ルシタニア号でスペインのマドリッドを目指すのだ。4人部屋の一番安い寝台で80ユーロあまりと、一泊の宿代が浮くことを考えれば高くない。さらに安い椅子席もあるが、さすがに翌日の疲労感を考えると横になるほうがいい。
22時に乗車し、列車は定刻に出発した。同室にはアメリカ人のバックパッカーとスペイン人の男。近郊の駅に一つ二つ停まったあと、列車はスペイン目指して夜の闇の中を快調に走り始めた。ガタゴトと揺れはあったが、横になるとすぐに寝付くことができた。