山あいだけあって、朝晩は肌寒かった。今日はスワネティ地方でもさらに山奥にあるウシュグリ村に行く。塔の家がここよりもさらに多く保存されており、世界遺産に登録されている場所だ。

メスティアまでの道が全舗装されたのに対して、メスティアから先は、車道というより山道だった。石や岩が無数に埋まったガタガタ道で、沢が道を横切って流れていたり、日陰はぬかるみになっていたりする。ほとんどローギヤのまま走るような道だった。昨日、メスティアの案内所の兄ちゃんは「バイクには楽しい道ですよ」と言っていたが、空荷ならともかく、荷物満載のバイクには過酷すぎる。モンゴルより骨の道より悪いよ。

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途中で会ったポーランド人2人組は、重いBMWのバイクでかなり苦労していた。
ウシュグリ村までは45キロだが、実に2時間かかった。しかし、そのかいあって、ウシュグリの風景は実に美しかった。

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空き家となって荒れた家もあるが、人が住んでいる家も多い。羊や豚を追う子供たちの声も聞こえる。美しい山に抱かれてそこだけ時が止まっているような村だった。
このあたりの山々を、グルジア人は、「神が自分自身のために創りたもうた場所」と呼ぶのだそうだ。秋の色に染まり始めた木々と、雪をかぶった気高い峰は、確かに人の手が作る美をはるかに超える雄大さだった。

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神様、道もきれいに創っていただけると、ありがたかったのですが。
ウシュグリから先の峠はさらに道が悪くなって、麓のレンテヒ村まで75キロに4時間半かかった。
途中では山仕事の合間に酒を飲んでいるおっさんたちに呼び止められて、パンやチーズを振舞ってもらった。

レンテヒからは道がよくなったかわりに、時間がかかりすぎて暗くなってしまった。2時間弱かけて、グルジア第2の町クタイシに到着。高台にあるベカ・ホテルにチェックインした。いつもご機嫌なおっちゃんと優しい奥さんが「家にいるつもりでくつろいでね」と、とてもいい感じ。遅い到着だったのに、夕飯もちゃんと用意してくれた。スープ、豆と野菜の煮込み(ロビヤ)、チキンとマッシュルームのサラダ、ライスと野菜のサラダ、などなど、全部平らげるとお腹がはち切れそうになった。

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部屋からは夜景も見えて、一泊ではもったいないような素敵な宿。これで1泊2食50ラリ(2500円)は、とてもお値打ちだと思う。

本日の走行距離 200キロ(キロポストより推定)