「週刊少年ジャンプ」。

言わずと知られた人気のマンガ雑誌だが、近年はやはり紙媒体と言うメディアはどこも押されていて、かつて黄金時代を築いた「週刊少年ジャンプ」と言えども、その波に抗えず、発行部数の低迷が続いている状態。

まぁ、ネット媒体もある訳だから、一概に低迷と言い切るのも違うとは思うけれど、あのジャンプですら低迷する時代なんだよなぁ…と思う。

 

その「週刊少年ジャンプ」の黄金時代だった頃に連載がスタートした高橋陽一先生の『キャプテン翼』。

 

現在は、『キャプテン翼マガジン』での掲載が続いているシリーズ作品だが、その最新号のvol.19で今後の展開について、マンガ連載と言う形式でのシリーズは4月発売予定の『キャプテン翼マガジン』vol.20で終了し、その後は、ネームもしくはそれに近い形で物語を描き続けると言うコトが発表になった。

 

元々の無印『キャプテン翼』が始まったのが1988年。
その後、ワールドユース編、ROAD TO 2002(ここまでが週刊少年ジャンプ)、GOLDEN-23、海外激闘編 IN CALCIO 日いづる国のジョカトーレ、海外激闘編 EN LA LIGA(ここまでがヤングジャンプ)、ライジングサン(グランドジャンプ・キャプテン翼マガジン)、そして、いま掲載されているライジングサンTHE FINAL。

 

脈々と、場所を変え、年齢を重ね、積み重なって来た翼くんと仲間たちの物語も、ここでひとまず終了と言うコトになる。

 

 

ボクはまだJリーグが始まる前、サッカー少年だった。

基本、男の子のスポーツと言えば、野球一辺倒だった時代。

 

我が家は特にマンガを買って貰えたりする家ではなかったし、ボク自身、それをそこまで望んではいなかったのだけれど、この『キャプテン翼』だけは毎巻、コミックスを買って貰えて、本当によく読んでいた。

 

日本でのサッカーの人気。
日本でのワールドカップの知名度。

 

それを一躍、引き上げたのは、Jリーグの創設と『キャプテン翼』だったと思う。

 

ひたすらサッカー好き。
努力や根性と言った作風はなく、ただ日本代表をワールドカップで優勝に導くと言う夢に向かって、主人公が活躍する作品だが、これだけの作品がこれからの日本で生まれるだろうか…と言うぐらいの作品だと思う。

 

実績で言えば、プロ野球人気は根強いし、マンガではスラムダンクの人気には勝てないかも知れない。

でも、スラムダンクが人気を博したけれど、プロバスケリーグは日本では盛り上がりに欠ける状態。

プロ野球人気は高いけれど、海外のプロ選手にまで人気があるマンガなんて、そうナイ。

 

しかも、実際に「南葛SC」と言うサッカークラブまで誕生してしまい(現在関東1部)、Jリーグ参入を目指していると言うレベルですしね。

 

 

マンガ形式での連載終了の理由は、まずはデジタル化の進展。

それは作品を作る方もそうだし、読む側もそうなのだろう。

見開き1ページと言うような作り方が通用しなくなったのは、『キャプテン翼』としては痛いところ。

 

そして、やはりリアルな環境が作品にも反映され始めてしまったのも、大きいのかな?と言う感じ。

 

構想を考えると、全然、描き切れない。

それがリアルに下した判断で、それならば、ネームなどの物語を残す方向性に舵を切ったと言う感じな訳だけれども、これは長期連載の宿命でもあるのかな…と。

 

『キャプテン翼』は、高橋陽一先生の読み切りデビュー作であり、連載デビュー作なので、ホントに作家生活の初期から描かれているだけあって、まだ比較的、時間があるシリーズだけれども、作家生活の半ばからスタートしている様な長期連載だと、もう最後まで描き切れなくなる作品もありますからね。

 

それならば…と言うのは、分からなくもない。

ただ個人的には、まずネームなどの形式で物語を残しておきつつ、マンガと言う形式での連載を継続して欲しかったな…と言う感じもしますが(時間的・作業的になかなか厳しいのかな…?)。

もしくは作画を他の先生に変えて、原作として高橋先生が残るスタイルでも良かったようにも。

 

まぁ、物語がしっかりと完結する。

翼くんたちがワールドカップで優勝をする。

そうした姿が、どんな形であれ、見れるのであれば、やはりそれに越したコトはナイのかも知れないけれど。

 

ワールドカップで優勝をする。

連載当初は、ワールドカップなんて無理・無理…と思っていたのに、もうワールドカップに出場を果たし、さらに上位を伺うところまで来ている日本。

海外リーグでのプレーなんて、当時はホントに奥寺さんぐらいしかいなかったのに、今や数多くの選手が海外リーグでプレーしている状況。

 

ホントに時代が『キャプテン翼』を追いかけている感じ。

あと1話。

寂しい半面、最後まで楽しませて欲しいと思うと同時に、長い間、ありがとう、そしてお疲れさまでした…と言う気持ちでいっぱい。