初の工場のバイトを経験した。
札幌に来て、今まで何度か工場の仕事に応募したが、全て落とされてきた。
工場勤務の私のイメージは、人間関係、ハード、危険などである。
しかし、仕事はフルタイム、給料は安定しているのではないかと思っていた。
今回のところは、給料は時給800円で交通費規定支給。(全部は出ない)北海道にしては、まあまあの給料だ。
工場の仕事は避けたかったけれど、まとまったお金が欲しい、前の仕事が終わった直後でスケジュール的にもバッチリあっていたので、思い切って面接を受けることにした。
バイト先はとある、コンビニのお弁当を作る大きな工場。
いままで落選ばかりのこの工場の仕事に、幸か不幸か、決まってしまったのである。
お金欲しさと好奇心で私は働くことにした。4月の1日からゴールデンウィーク明けまでだ。。平気平気。。
まず、初出勤当日、職員の人が来て、工場内を案内される。
なるほど、この建物は新しいせいか、食品工場ゆえ、内部はゴミひとつ落ちていなくて綺麗だった。
特に、食堂は床がピカピカで、広くてなかなかいいではないか。
研修ビデオを見たあと、早速、制服をに着替える。
この制服は良く、バイト誌などで見たことのある、食品工場独特の白い宇宙服のようなもので、まず髪ネットで髪の毛がはみ出ないようにし、その上からさらに頭巾を被る。そして上下の白いユニフォーム。
まるで、白いドラえもん状態。
そのまま、工場入口へ進み、厳しいチェックを受ける。
ころころローラーで各自体中のゴミを取り、チェッカーのおばさんの前に立つ。
優しいおばさんだったらいいが、時々おっかない人に当たると、みんなの前で見せしめのように、ユニフォームの着方を咎められる。
まず、再びコロコロローラーを当てられ、手 爪のチェック、(手に傷があるといけない)、体温チェック、貴金属チェック(工場内は時計、ヘアピン、安全ピンなどいかなる貴金属の持ち込みが禁止)、体調チェックなどをしてもらい、手を洗ってから、ゴム手し、そしてまたその上から洗浄、消毒。
ここで、ずいぶん時間をかける。
マスク、アームバンドを装着し、いよいよ、工場内へ。
自分の場所はチルドで、サラダやお弁当を作っている場所。
長~い階段を下りていくとタイムカードがあり、そこで、出勤カードスキャン。
そこから、白いエプロンをして、自分のセクションのラインに入る。
ラインとはベルトコンベアーに乗せられた、弁当やサラダに材料を盛り付けしている作業である。
私が最初に担当したのは、もやしサラダのもやしの部分をひたすら、指で綺麗に形作るという作業。
こんな、単純作業で良いのだろうか?
それが、1時間ほどしたら、次はサラダ。キャベツの部分を手で綺麗に平に慣らしていく。
これも、簡単。 こんな簡単で良いのだろうか?ひょっとしてこの仕事、今までの中ですごっく楽?
楽勝楽勝。。と、時間は過ぎていき、あっというまに午前が終了。
「今のところ全てOK」と、たかをくくっていた。
休憩時、再びタイムカードでスキャンをし、さっきのチェックインカウンターまで行き、マスク、手袋、アームバンドを取る。
休憩室は快適だし、しかも一人なのでゆっくり1時間休憩が取れた。
さて、油断して、10分前に引き上げると意外にも時間ぎりぎり。
朝の工場入口で再びチェックインをせねばならず、これに時間を要し、ぎりぎりセーフになってしまった。
あわてて、自分のラインに戻ると、上の人から、違うラインに行くよう、支持を受ける。
ここからが過酷だった。
作るのは、焼肉弁当。ご飯の上に、野菜、生卵、焼肉、等を載せていく。10人あまりでライン作業を行う。
私のパートは何と、人参2枚のうち1枚と、ネギ2g分をのせる作業。
もう1枚の人参は私の前の人が乗せるので、その上に人参を綺麗に重ねる。そしてネギは多すぎても少なすぎてもいけない。
ライン開始。。 突然怒られる。
おそらく、リーダー的存在の方、かなり気性が激しい。私の人参の乗せ場所が少し違っていたのと、ネギが多すぎるとのこと。
そんなこと言っても、初日なのに、なんでそんなに怒られなければいけないのか。
良く見ると、このラインのメンバー、朝の方々とちょっと違う。なにやら気性の激しそうなおばさんたちばかり。
ちょっとでもラインを乱そうと思うなら、怒鳴られる。
しかも見せしめ状態。。
こりゃ、やばい。。
それに、今気づいたけど、この工場、やけに中国人多し。。。中国語が良く聞こえて来る。出稼ぎなのだろう。
日本人の名前を持っているのにもかかわらず、日本語変な人多い。
私はそのパートから即座に外され、ラインの最初の方で、ご飯を指で鳴らしていく作業に移った。
これが、簡単なようできつい。ラインの高さが低いので、この体制で前かがみで力を入れると、腰に負担がかかってくるのである。
自分はそこまで腰痛持ちではないと思ってたけれど、30分位で腰に刺すような痛みが。。。
まるで地獄のような苦しみ。何度か途中退出したかったが、必死に我慢。
斜め前でおばさんがタレを入れているのを見てて吐き気がして来た。
ライン開始から、2時間。体が火照ってきて、「やばい倒れるかも」と思ったが、必死に頑張った。
2時間過ぎたあたりから、なぜか気温が少し低くなってきて、気持ち悪さが少し抜けてきた。少し助かったと思った。
相変わらず、ラインに遅れてはいけないと思い、必死に全ての弁当のご飯を力入れて鳴らして行く。
私だけではない。みんなも必死である。
ここで遅れたら、また何言われるかわからない。
やりながら、しかし、この弁当はいつ終わるのだろう?もうかれこれ2時間過ぎている、2時に始まり、そしてついにノンストップで5時となり、4時間目に突入。
もしかして、ここってブレイクタイムというものがないのだろうか?一体いつまで続くのだろうか??
私の退勤定時は5時半となっていて、残業が時々7時まで発生するとは聞いていた。
つい時計をチラ見する。
が、ついに5時半。
終わる様子は一行になし。
全く無言のうちにこの作業が続く。
一体いつまで?予告なしの残業だった。きっと毎日がこの調子なのだろう。。
我慢しきれなくなったのか、一緒に今日入った新人の台湾人の男の子が、「僕、5時半!帰ります」と、変な日本語を言って、さーっと帰ってしまった。
「いいな、中国人は何言われても、わからない振りしてればいいんだもん」と、横目で見ながら、とにかく、腰の痛みに耐える。。
結局終了したのが、6時半。なんと4時間半もノンストップで同じ弁当を休みなく作り続けた。。
さあ、これで終わりだ、やっと帰れると思ったら、、みんななにやら、次の弁当の作業の用意をしている。
なにやらパスタみたいなの出してるのが見えた。
私と、今日一緒に入ったもう一人の若い新人の女の子は逃げるように、社員の男性のところに行き、今日は初日なので、ということでこれで帰らせてもらうことにした。
そこから逃げるように退社。
私は、この腰の痛みがもし続くのなら、この仕事は出来ないと思い、帰りに薬局により、明日のために腰のサポーターを買った。1980円。意外に高い。。
帰宅すると体中が足腰がものすごく痛かった。。
そして、なんと言っても気になる後遺症。長時間あのベルトコンベアーを見ていたせいか、視界が横にずっと流れていくような感覚が起きる。
大丈夫かな~。。せっかくタイミング良い仕事が決まったのだし、そう簡単にはやめられない。
慣れれば大丈夫、、
そして 工場バイト2日目~
1日ねて、腰の痛みは回復したものの、膝は痛い。
昨日と同様、午前中はまだ体は楽だった。。
なぜか、昨日来てた新人の若い女の子が来ていない。
やめたっぽい。。
午前は昨日の調子で難なく終わり、午後に入り、案の定昨日の恐怖の弁当作りが開始。
今度の私のパートは乗せられた肉をのばして下のご飯が見えないようにしていく。
まるでパズルのように、伸ばした肉を瞬時に乗せていく。
この体制も昨日のご飯伸ばしと変わらず、腰曲げ状態。
昨日買った、腰サポーターの効果はほとんどなし。
しかし、今回もまた気が遠くなっていく。。
昨日のリーダー的存在のおばさんが みんなにプレッシャーを与えている。
最初スローだったコンベアーがあるとき突如早くなってきた。
私の隣で豆腐と半熟卵をのせていた中国人の男の人が焦る。
追いつかない状態となり、豆腐乗せを私がヘルプする。。
昨日の野菜のせや、ご飯伸ばしと違って今回のこの肉伸ばしのパートはいくらかごまかしが効く。
あまりの腰の痛さのサポートで私はこの作業をかなりズルった。
本当は肉を広げなけらばいけないが、ただ指で埋めただけ。。1回チェック入ったけど、そんなのお構いなしだった。。
とにかく、ラインに遅れないことが先決。
今回も昨日と同様長い。それがわかってるから、今回は昨日よりまだいい。。
案の定ノンストップで時間は過ぎていく。意識は朦朧となり、しかし、、やはり2時間過ぎたあたりから辛さが抜けていく。これが、ナチュラルハイ状態なのだろうか?
そして、退社時間の5時半に中国人がさりげなく抜けていく。。
私は抜けるにも抜けれない。なぜなら、抜けた部分のパートを掛け持ちしながらやる人がふえるからだ。
残る者はまるで蟻地獄状態。。
そう簡単にぬけたら、睨まれる。
案の定ナチュラルハイ状態だったので、今日は残業してもOKだった。
終了したのは7時。
良かった何事もなく今日は終わって。。
私の最終退社時間は7時なので、すぐに帰してもらった。
そして 出勤3日目~
いつものように朝出勤。。
ロッカーの鍵がない!
どこかへ落としたらしい。
すぐに事務所へ走るが、まるで迷路のようなこの工場内事務所を探し当てるのに時間がかかった。
しかし、事務所の方、ここではなく、工場入口のチェッカーで合鍵をもらってくれとのこと。。
やばい、遅れる!と思い、チェッカーへダッシュ。
チェッカーのおばさんに聞くと、何と私の落とした鍵がそこに届いてたそう。。良かった助かった。
何とか時間に間に合い、いつものように、ラインへ入る。
今日はサラダの上にトマトを乗せる作業。
このトマトが滑ってなかなかつかみづらい。中の種が出てしまったら他のと取り替える。。
しかし、今日の3日目でラインにだいぶ慣れてきたせいか、初日より高度な作業にもついていけるようになってきた。さすが我ながら慣れるのが早い。。
午前も難なく終わった。しかし、腰がきつい!
それに、この制服、洗濯済のはずなのに、なんだか前来てた人の匂いなのか、中国の香辛料の匂いのような変な匂いがする。。気持ち悪い。早くうちに持って帰って洗いたい!
午前終わり、午後に入り、例の焼肉弁当。今日の担当はなんと半熟卵のせ。
実はこれが大変なようでいて楽だった。なぜなら、前かがみになる必要がなく、腰にほとんど負担がかからないからだ。
今日は楽勝だった。
終了時間6時。。やった~帰れる。。と、思いきや、なんと次の作業が待っていた。
有無を言わさず、チーズクリームの絞り袋を渡される。
ジャガイモの上にチーズクリームを25g分絞り出す。
ラインの人数は帰った人がいて、だいぶ少なく、どこかの部署からか、若い女の子が応援に来ていた。
そのうちの一人の女の子、ライン作業が初めてなのだろうか?どうも手際が悪く、ラインを止めてしまった。
一人のおばさん、切れまくり。みんなの前で見せしめに怒る。
無理もない、早く帰れるはずが、これで帰る時間が大幅に遅れるからだ。
でも、言い方ひどすぎ。まだ若い彼女、かなり凹んでた。。
ちょっと、上にかけるコショウの補充が遅れただけだ。。
私は思った。なんでこんなにイライラ怖いおばさんがここにいっぱいいるのか。。
この過酷な労働条件、そして、このコンベアーを1日見ていると言う職種は脳に悪い影響が出ているのではないだろうかと思った。
せめて、午後に20分位の休憩を入れるべきなのに、予告なしの残業。。何時間にも及ぶノンストップ状態これじゃストレスたまるよね。。
もっと労働システムを変えるべきだと思う。。人間関係悪くなるのもうなづける。
ここに働きに来ている人たちは、見たところ、仕送りとか借金返済とか、お金がどうしても必要っぽい人が多い。必要に迫られて来ている人たちは少なくない。
出稼ぎ外国人も全体の3分の1くらい。。
それでも、私はこの1ヶ月の予定給料を計算してみた。
普段の私の給料よりかなりいい。
ここで、身を削ることによりかなり懐が潤うのである。
となると、体が。。なんて言ってる場合じゃないよね。。それにたったの1ヶ月ちょいだし。。な~んて思ってた。
3日目が終わり、次の日が休みだったので、「よし!このユニフォームの匂いをとってやるぞ~!」と意気込んで、ダイソーでバケツと石鹸を買い、風呂場でごしごし洗うことにした。。
しかし、、幸か不幸か、実家からメール。。
実家の父が倒れ、即刻実家に帰ることとなった。
実家は自営なので、私はその手伝いをせねばならないのだ。
せっかく洗ったユニフォームも虚しく、翌日その工場に電話をし、謝りを入れ、工場までユニフォームを返しに行ってきた。給料はたったの3日分。。
この仕事がやりたかったのか、やりたくなかったのかは関係なく、とにかく、せっかく決まったものを途中で投げ出すのが腹立たしかった。
制服返却後、私はまるで、空気の抜けた風船状態になった。
ここまで、つぎ込んだエネルギーと労力は何だったのか。。これが、どうでもいい、ゆるゆるな仕事だったら、どうでもよかったのだが。。
とにかく、今回は究極の体験をさせてもらった。。
違う世界を見た3日間であった。。。