今回の「サスペンス&ミステリー映画」で紹介するのは以下の2本だが,2本ともブロ友のhisaさんがご自身のブログでレビューされていた作品で,面白そうだったので鑑賞してみた。

 

1.『告白,あるいは完璧な弁護』(2023年 韓国)

 

 

監督:ユン・ジョンソク

キャスト

 ソ・ジソブ(ユ・ミンホ)

 キム・ユンジン(ヤン・シネ)

 ナナ(キム・セヒ)

 チェ・グァンイル(ハン・ヨンソク)

 

 IT企業の社長ユ・ミンホの不倫相手であるキム・セヒがホテルの密室で殺害され,ユ・ミンホが容疑者として逮捕される。ミンホの義父である会長の手配でミンホの拘束令状が棄却されて彼は一旦釈放されるが,警察は拘束令状を再請求する予定であり,ミンホは弁護士の選定に入る。選ばれたのは辣腕の女性弁護士ヤン・シネで,シネは事件の詳細を聞くために山中にあるミンホの別荘に向かう。ミンホはセヒとの不倫を知っている人物から脅迫を受け,事件のあったホテルでセヒと一緒にいたところを誰かに襲われ,自分が気絶している間にセヒが殺害されていたと言ってセヒを殺害したのは自分ではないと説明する。事件の再検証が始まるが,ミンホが説明をしているところにシネのスマホに警察が証人を見つけたとの電話が入る。その証人とはセヒ殺害の証人ではなく,行方不明になっている若い男に関わる事件の証人である。ここからミンホの無罪を勝ち取るためのミンホとシネのやり取りが始まる。

 このミンホとシネのやり取りのシーンが映画全編のかなりの部分を占めるのであるが,この箇所が実に見応えがあり,話の展開は二転三転,思いもよらなかったドンデン返しによってThe Endとなる。心理サスペンスに属する映画であるが,久しぶりにワクワクするミステリーを観た気分である。

 

 この映画は2016年に製作されたオリオル・パウロ監督のスペイン映画『インビジブル・ゲスト 悪魔の証明』のリメイク版なのだが,オリオル・パウロ監督のサスペンスは過去2本観たことがあり,『神が描くは曲線で』はとても面白かったので,この映画も観てみたい気はする。

 

ストーリー展開 ★★★★☆

どんでん返しのインパクト ★★★★☆

伏線の回収 ★★★★

サスペンスとしての満足度 ★★★★☆

 

★1つが1点。☆は0.5点。5点満点。

 

 

2.暗数殺人(2019年 韓国)

 

監督:キム・テギュン

キャスト

 キム・ユンソク(キム・ヒョンミン)

 チュ・ジフン(カン・テオ)

 

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実際の連続殺人事件をモチーフに,7人を殺したと告白する殺人犯と,その言葉に翻弄される刑事の姿を描いた韓国製サスペンスミステリー。恋人を殺害して逮捕されたカン・テオから「全部で7人殺した」という突然の告白を受けた刑事キム・ヒョンミン。しかし,テオの証言以外に証拠はなく,警察内部でもテオの言うことを信じる者はいない。それでも,テオの言葉が真実であると直感的に確信したヒョンミンは,上層部の反対を押し切り捜査を進めていく。やがて,テオの証言通りに白骨化した遺体が発見されるが,その途端,テオは「死体を運んだだけ」と証言を覆す。「チェイサー」「哀しき獣」のキム・ユンソクと,「アシュラ」「神と共に」のチュ・ジフンがダブル主演。脚本に「友へ チング」のクァク・キョンテクが参加している。(「映画.com」より)

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 この映画の公式サイトが紹介している『デジタル大辞典』によれば,「暗数」とは「実際の数量と統計上あつかわれる数量との差。主に犯罪統計において警察などの公的機関が認知している犯罪の件数と実社会で起きている件数との差を指す」と定義されている。

 映画は証言をコロコロ変えるカン・テオのサイコパスぶりと,それに翻弄されるキム・ヒョンミン刑事の一進一退の捜査の様子を描いているのであるが,それに伴いカン・テオはなぜ「全部で7人殺した」などという告白をしたのかが見えてくる。そして,彼らの対決にいったん決着がついたあと,話が意外な方向に転がっていくのだが,そのあたり,なかなか見応えのある作品である。

 

ストーリー展開 ★★★★

どんでん返しのインパクト ★★★☆

伏線の回収 ★★★

サスペンスとしての満足度 ★★★★

 

★1つが1点。☆は0.5点。5点満点。