今回の「サスペンス&ミステリー映画」は失踪もの,特に妻が失踪する物語を2本取り上げてみた。

 

1.妻消えて(2022年 中国)

 

 

監督:ツゥイ・ルイ/リウ・シャン

キャスト

 チュー・イーロン(ホー・フェイ)

 ニー・ニー(チェン・マイ)

 ジャニス・マン(リー・ムーズと名乗る女)

 

 結婚一周年記念に東南アジアのリゾート地リーダー島(架空の島)に旅行に出かけたホー・フェイ夫妻だが,旅先で妻が突然失踪する。ホー・フェイは地元の警察に捜索を願い出るがまったく取り合ってもらえず,ビザの有効期限があと5日と迫るなか,ホー・フェイの前に見知らぬ女が現れ,自分は失踪していた妻だと主張する。もちろんホー・フェイは否定するが,あらゆることが完璧にその女がホー・フェイの妻であることを示しているのである。ホー・フェイは辣腕の弁護士・チェン・マイに妻の捜索を依頼し,ホー・フェイと・チェン・マイの捜索が始まる。

 

 ミステリー作品の一つの分野である失踪を扱った映画で,別人が失踪した人物として現れるという展開も時々見かけられるパターンであり,本作はミステリーのエンタメ作品そのものである。後半は「実は…」という大ドンデン返しになっており,さらにそのドンデン返しに「おまけ」がつくという展開になっていて,ミステリー作品のいくつかのパターンを組み合わせて凝縮したストーリーで,その点ではなかなか楽しめる作品である。ただ,アイデアやプロットは面白いのだが,それを具体化する脚本に杜撰なところがあり,ツッコミどころの多い作品で,脚本がもう少し緻密であればエンタメ作品としてもっと楽しむことができたであろう。

 

ストーリー展開 ★★★★☆

どんでん返しのインパクト ★★★★☆

伏線の回収 ★★★

サスペンスとしての満足度 ★★★★

 

★1つが1点。☆は0.5点。5点満点。

 

 

2.ゴーン・ガール(2014年 アメリカ)

 

 

監督:デビッド・フィンチャー

キャスト

 ベン・アフレック(ニック・ダン)

 ロザムンド・パイク(エイミー・ダン)

 ニール・パトリック・ハリス(デジー・コリンズ)

 キム・ディケンズ(ボニー刑事)

 キャリー・クーン(ニックの双子の妹)

 

 5回目の結婚記念日の朝,ニック・ダンは妻のエイミーが失踪していることに気がつく。警察は失踪事件として捜査を開始し,ニックもエイミーの両親とともに捜索の協力を呼びかける活動を行うが,メディアはまるでニックが妻を殺害した犯人であるかのような扱いをする。しかし,実はエイミーは生きており,ニックに殺されたかのような工作をして失踪したのである。それはニックの浮気を知った彼女の復讐であった。

 

 有名な映画で,公開時に劇場で鑑賞した憶えがある作品である。ただ,妻が失踪したがそれは不倫をした夫への復讐だったということしか覚えていなかったので再鑑賞した次第である。こちらは上の『妻消えて』とは違って,純粋にミステリーの謎を解いていく物語ではなく妻の夫への復讐物語であり,エンディングのシーンが印象的である。ただ,一般的な評価とは違って私にはあまりピンとこなかったというのが正直なところだ。映画の展開につれてエイミーのサイコパスぶりが前面に出てくるのだが,前半の彼女とのギャップがあまりにも大きく,その変貌ぶりに説得力が感じられなかった点がしっくりこなかった原因だろう。エイミーによる工作やメディアによって世論が形成されていくところなど,見所はいろいろあるが終始居心地の悪さを感じる作品であった。ロザムンド・パイクはなかなか魅力的だったとは思うが…。

 

ストーリー展開 ★★★☆

どんでん返しのインパクト ★★☆

伏線の回収 ★★★

サスペンスとしての満足度 ★★★☆

 

★1つが1点。☆は0.5点。5点満点。