10月21日の朝日新聞夕刊の一面を見て思わず笑ってしまった。「ジーニアス和英辞典は,タイガースへの愛を隠しきれない」との見出しで『ジーニアス和英辞典』に阪神タイガースにまつわる例文がてんこ盛りとの記事が一面のほぼ全面を使って掲載されていたからである。

 『ジーニアス和英辞典』は1998年に初版が出た辞書で,2011年に出た第3版が最新版であるが,累計発行部数が約150万部という人気の辞書である。

 記事によると,編集主幹は関西大学の中邑光男教授とのことだが,多くの関西出身者が編纂に関わっており,結果的に阪神ファンが多くなったとのこと。朝日新聞の記事には『ジーニアス和英辞典』の中の阪神関連の例文がいくつか紹介されているが,ほとんどが「阪神が勝った」だの「阪神が優勝した」だのといった「阪神タイガース」愛にあふれる例文である。例えば,The Tigers got a lot of hits against the Giants last night.「昨夜,タイガースはジャイアンツ相手にヒットを打ちまくった」といった具合である。(笑)

 もっとも,阪神関連の例文が60も掲載されている第3版の編集作業が行われていた時期は阪神が優勝から遠ざかっていたために次のような例文も加えられたようである。

 The Tigers have no chance to win the championship anymore.

 朝日新聞の記事では,どういうわけかこの例文には和訳が掲載されていないので,拙訳を書いておくことにする。「タイガースにはもはや優勝の見込みはない。」

 

 ところで,折しも今年の日本シリーズは「関西ダービー」と称してオリックスバファローズと阪神タイガースの間で今月28日から行われることになったが,何を隠そう,私は3年前からオリックスバファローズの大ファンになったのだ。仕事をやめて暇だということに加えて,コロナ禍であまり外出しなくなったという事情もあって,ほぼ毎日オリックスの試合をプレーボールからゲームセットまでテレビ観戦してきた身としては,リーグ3連覇のオリックスが阪神に負けるはずがないと信じ切っているのである。そこで,『ジーニアス和英辞典』に倣って例文を一つ書いておきたい。まだシリーズは始まっていないが,(すでに決まっていることだと信じているので)過去形で書いておく。

 The Buffaloes won the 2023 Japan Series by defeating the Tigers four games in a row.

  

  オリックスが優勝した暁には,『ジーニアス和英辞典』第4版にはこのような例文も掲載していただきたい。