監督:平川雄一朗

キャスト

 藤原達也(藤沼悟)

  有村架純(片桐愛梨)

 石田ゆり子(藤沼佐知子)

 鈴木梨央(雛月加代)

 

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 三部けい原作の大ヒットコミックを藤原竜也&有村架純共演で実写映画化し,タイムリープによって18年前の児童連続誘拐事件の謎に迫る青年の奮闘を描いたSFミステリー。ピザ屋でアルバイトする売れない漫画家・悟は,ある日突然「リバイバル」という特殊な現象に見舞われるように。それは,周囲で悪いことが起きる気配を察すると自動的にその数分前に戻り,事件や事故の原因を取り除くまで何度でも繰り返すというものだった。リバイバルによって大事故を防いだものの自らが大怪我を負った悟は,同僚の愛梨や上京してきた母の看病で回復していく。そんなある日,悟の母が何者かに殺害されリバイバルが起きるが,今回はなぜか数分前ではなく18年前だった。そこは,悟の同級生が被害者となった連続誘拐殺人事件が起きる直前の世界だった。監督は「ツナグ」「ROOKIES 卒業」の平川雄一朗。(「映画.com」より)

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  数年前に『バタフライ・エフェクト』というアメリカ映画を観たことがある。バタフライ・エフェクト(バタフライ効果)とは,Wikiによれば,「力学系の状態にわずかな変化を与えると,そのわずかな変化が無かった場合とは,その後の系の状態が大きく異なってしまうという現象。カオス理論で扱うカオス運動の予測困難性,初期値鋭敏性を意味する標語的,寓意的な表現である」とのことだそうだが,説明が難しすぎる。要するに,ある状態にほんのわずかな変化を与えると,それがなかった場合と比べると,後に非常に大きな違いとなって現れるということだ。映画『バタフライ・エフェクト』も,あの時こうしていればその後の人生も大きく変わったのだというような内容だった(が,詳細は忘れてしまった)。この『僕だけがいない街』もバタフライ・エフェクトを扱った作品なのである。もっとも,私の場合,内容に関する予備知識は皆無でタイトルに惹かれて鑑賞しただけなのだが。

  おそらくこの映画は今の日本映画の水準なのだろう。主人公の悟は時々現れる「リバイバル」という現象を利用して過去に戻り,当時の状況を少し変えて,小学生だった頃に起こった児童連続誘拐殺人事件で犠牲になったクラスメートの加代の殺害を未然に防ごうとするのである。それはリバイバルが起こる少し前に起こった母・佐知子の何者かによる殺害をも防ぐことになる。要するに,過去の出来事を少し変えることによって未来の悲惨な出来事を回避しようとするのだ。まさにバタフライ・エフェクトである。

  ある意味では映画の定番とも言えるタイムスリップものであるが,バタフライ・エフェクトが物語の展開を引っ張っていくという点がユニークで,アイデアとしてはなかなか興味深いものがあった。現在と過去を行きつ戻りつしながら展開される物語はエンタメ作品として観客を飽きさせない面白さのある作品だ。もちろん,荒唐無稽な話なので,細部に突っ込みどころはあるが,エンタメ作品に対してそんなことを詮索しても仕方がない。要は楽しめるかどうかなのだ。そして,この映画はその点をクリアしているのである。

  ところがだ。事件が決着したあとの20分ほどの展開がまったくいただけないのだ。凡庸な世界観を登場人物の口を借りてグダグダと語らせる手法は,率直に言ってテレビドラマの水準なのだ。「きみには本当の孤独はわからないだろう」って…,「はあ?」と言いたくなるのだ。そりゃ,まあ,あんたに狙われた少女は親に虐待されてたけどね。でも,そんなとってつけたような動機を語られてもねェ…。それを問題にするなら,別のテイストの映画を撮ってくださいよ。あるいは,「願いを口に出して言えば,願いは叶う」。まあ,たしかに「言霊」という言葉もありますが,それがこの映画で示されていることならちょっと安っぽすぎませんかね…。あるいは…,まあいいか…。最後の20分ほどの展開がなければ★4つなのだが,それがあるので★3つです。