【速報】山上徹也被告が「起訴状記載の事実を認める」 安倍元総理銃撃事件「法律上どうなるかは弁護人に委ねる」弁護側も殺人罪成立認める 白昼の暗殺から3年あまり 旧統一教会への強い恨み、自作のパイプ銃…周到に準備された犯行 量刑などが争点

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【速報】山上徹也被告が「起訴状記載の事実を認める」 安倍元総理銃撃事件「法律上どうなるかは弁護人に委ねる」弁護側も殺人罪成立認める 白昼の暗殺から3年あまり 旧統一教会への強い恨み、自作のパイプ銃…周到に準備された犯行 量刑などが争点(MBSニュース) - Yahoo!ニュース 配信より

 

銃撃直前の山上徹也被告(視聴者提供映像より)

 

 2022年7月に安倍晋三元総理を銃撃・殺害したなどの罪に問われている

 

山上徹也被告の初公判が、きょう10月28日午後2時から奈良地裁で行われています。

 

  【動画速報を見る】法廷に現れた山上被告の様子は?冒頭で語った言葉とは?奈良地裁前から中継リポート  

 

山上被告は、「全て事実です。間違いありません。法律上どうなるかは、弁護人に委ねます」などと、

 

起訴状記載の事実を認めました。  

 

弁護人も殺人罪の成立は認めましたが、銃刀法違反や武器等製造法違反については、

 

罪の成立や適用罪名を争う姿勢を示しました。

 

銃撃される直前の安倍晋三元総理(視聴者提供映像より)

 

 山上徹也被告は2022年7月、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で、

 

参院選候補の応援演説を行っていた安倍晋三元総理(当時67)を、

 

手製のパイプ銃で銃撃し殺害したとして、殺人などの罪に問われています。

“母親の多額の献金で破産” 旧統一教会への強い恨み

 

 逮捕後の取り調べで山上被告は、安倍元総理殺害を認めたうえで、

 

以下のような趣旨の供述をしていました。

 

 「母親が旧統一教会にのめりこみ、多額の献金をして破産した。

 

難病の兄が十分な治療を受けられず自殺した。自分も大学に行くことができなかった」 

 

「旧統一教会の幹部を殺害しようと考えたが、接触が難しかった」

 

 「旧統一教会と安倍元総理につながりがあると思った」 

 

 旧統一教会への強い恨みと、安倍元総理と旧統一教会との関連が

 

被告の中で結びつき、凶行に及んだとみられています。

 

山上被告のツイッター(現:X)の投稿

 

 被告のものとみられるツイッターには実際に、旧統一教会への憎しみの感情が赤裸々に綴られていました。

 

 (山上徹也被告のアカウントとみられるツイッター)

 

 「我が家から全財産を奪い、母に家族を騙してそれを秘匿するよう諭した」 

 

「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族からアガリを全て上納させることだ」  

 

安倍元総理についてもたびたび言及されています。 

 

「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」

 

 「岸(信介元総理)が招き入れたのが統一教会。安倍が無法のDNAを受け継いでいても驚きはしない」

 

 山上被告がどのタイミングで安倍元総理殺害を決断したのかは定かではありませんが、

 

事件前日には、安倍氏の遊説先である岡山を訪れていたことも確認されていて、計画性がうかがえます。    

 

凶器についても、用意は周到でした。犯行に使われた銃は、

 

2つの銃身を備えた手製のパイプ銃でしたが、被告の自宅からは他にも複数のパイプ銃や黒色火薬が押収されました。

 

山上被告は、銃の改良を重ね、事件前日にも、旧統一教会の施設が入るビルに向かって“試し撃ち”を行ったとみられています。

弁護人は銃刀法違反と武器等製造法違反で罪の成立など争う姿勢

山上被告を取り押さえるSPら

 公判前整理手続きは2年におよび、ついに初公判を迎えることになりました。  

 

山上被告は、

 

▽殺人 

 

▽銃刀法違反 

 

▽火薬類取締法違反 

 

▽武器等製造法違反 

 

▽建造物損壊 の5つの罪に問われています。    

 

弁護人はこのうち、

 

▽安倍氏を銃撃して殺害した殺人の罪 

 

▽黒色火薬を製造した火薬類取締法違反の罪 

 

▽銃撃前日に、旧統一教会の施設が入るビルに向かって“試し撃ち”をした建造物損壊の罪 

 

については起訴内容を認めるとしました。  

 

一方で、

 

▽パイプ銃を製造した武器等製造法違反や

 

▽銃刀法違反の罪については、

 

罪の成立や適用する罪名を争うとしました。  

 

また、母親の旧統一教会への信仰・献金が家庭に与えた影響などを指摘し、

 

量刑を判断する上での情状酌量を求める構えです。

被告の母親も証人出廷へ 妻・安倍昭恵さんも被害者参加制度を利用し…

国葬で涙をぬぐう安倍昭恵さん

 

公判は予備日を除くと、10月28日の初公判を含め計16回。関係者によると、

 

山上被告の母親も、弁護側請求の証人として出廷する予定です。  

 

また、被害者参加制度に基づき、安倍元総理の妻・昭恵さんの心情が記された書面を、

 

代理人弁護士が読み上げる予定だということです。  判決は、来年1月21日に言い渡されます。

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【詳しく】安倍元首相銃撃事件 山上被告初公判 起訴内容認める

 

(更新) NHKニュース  配信より

 

【詳しく】安倍元総理大臣銃撃事件 山上徹也被告 初公判で起訴内容を認める 殺人などの罪 奈良地裁 | NHKニュース | 安倍晋三元首相 銃撃、事件、奈良県 配信より

 

安倍晋三元首相 銃撃

 

3年前、奈良市で安倍元総理大臣を銃撃したとして殺人などの罪に問われている山上徹也被告の初公判が28日、奈良地方裁判所で開かれ、被告は起訴された内容を認めました。


初公判で明らかになったことは。詳しくお伝えします。

 

目次

  • ==裁判では何が 詳しく==

  • 争点は刑の重さ 被告の生い立ち どの程度考慮するか

山上徹也被告(45)は3年前の2022年7月、奈良市で参議院選挙の応援演説中だった安倍元総理大臣を銃撃して殺害したとして、殺人や銃刀法違反などの罪に問われています。

 

初公判は、奈良地方裁判所で裁判員も参加して28日午後2時から開かれ、被告は「すべて事実です。私がしたことで間違いない」と述べ起訴された内容を認めました。

 

続いて被告の弁護士は、起訴内容は客観的には争わないとしたうえで、手製の銃は銃刀法で規定された「拳銃等」にはあたらず、最高刑が無期懲役の当時の「発射罪」は成立しないなどとして、刑は軽くなると主張しました。

 

このあと、検察は冒頭陳述で「被告は思い描いていた人生が送れなかったことを旧統一教会のせいだと思うようになった。安倍元総理大臣が関連団体のビデオメッセージに出ていたことを知り、襲撃すれば旧統一教会に批判が集まると考えた」と説明したうえで「大勢の前で殺害した戦後史に例を見ない犯行だ」と述べました。

 

一方、被告の弁護士は、「被告が小学生のときに旧統一教会に入信した母親は、財産を出すことが家族を救うことにつながるとして父親の生命保険金を費やしその後、経済的に行き詰まって自己破産した」と家庭環境について説明しました。また、事件のいきさつについて「旧統一教会の幹部を襲撃しようとしたが、次に、親和的な姿勢を見せている政治家を襲撃することが目的に沿うと思った。それが安倍元総理大臣だった」と説明しました。

 

「山上徹也です」と小さな声で答える

山上被告は、はじめに裁判長から名前を尋ねられると「山上徹也です」と小さな声で答えました。


また、職業について「無職ですか」と問われると、「はい」と述べました。

黒いトレーナーにグレーのズボン着用

山上被告は、黒いトレーナーとグレーのズボンを着用して法廷に入りました。


のびた髪を後ろで結んでいました。

被告「すべて私がしたことで間違いない」

被告は「すべて私がしたことで間違いない」と起訴された内容を認めました。


一方、被告の弁護士は、銃刀法違反など一部の罪について争う姿勢を示しました。


裁判は裁判員も参加して行われ、被告の生い立ちを踏まえた刑の重さなどが主な争点になる見通しです。今後、被告人質問や旧統一教会に詳しい専門家などへの証人尋問が行われる予定です。

法廷内は複数の警備員が警戒

傍聴席との間は透明な板で仕切られ、複数の警備員が法廷内で警戒にあたっています。

検察の冒頭陳述 “兄の自殺きっかけに”

検察は冒頭陳述で「高校卒業後、進学を断念し、思い描いていた人生が送れなかったことを、旧統一教会のせいだと思うようになった。母親の献金を恨んでいた兄が自殺したことをきっかけに、旧統一教会の最高幹部を殺害しようと考えるようになり、火炎瓶を作ってハン・ハクチャ氏を狙ったが失敗した」と述べました。


また、山上被告が作った銃はあわせて10丁あり、事件で使われた銃を含む7丁が現存していると述べました。このうち6丁について人を殺傷する能力があり、被告は試し撃ちをしていたと主張しました。

検察の冒頭陳述 “安倍元首相の演説知り犯行を決意”

検察は安倍元総理大臣を狙った経緯について「旧統一教会の最高幹部を襲撃しようと考えたが、コロナ禍で日本に来なくなったことを知った。関連団体の情報などを見て、安倍元総理大臣がビデオメッセージに出ていたことを知り、襲撃すれば、旧統一教会に批判が集まると考え、遅くとも令和4年7月3日ごろまでには、7日に岡山県内で行われる演説の会場で銃撃することを計画した。岡山県内の会場に行ったが近づくことができず、帰宅する途中で、翌日に奈良県内で演説することを知り、犯行を決意した。当日、自宅から電車で現場に向かい、午前10時ごろから、演説の場所の付近を確認するなどした」と説明しました。

検察の冒頭陳述 “生い立ち 大きく減刑の事情ではない”

検察は「被告の母親が旧統一教会に傾倒していたという不遇な生い立ちについては争いはないが、不遇な生い立ちでも、犯罪をしない人もたくさんいる。当時、40代の社会人で規範意識もあるのに、犯行を踏みとどまることができなかった。大きく刑を減軽する事情ではない」と主張しました。

 

弁護士の冒頭陳述 “被告が小4のころ母親が入信”

被告の弁護士は冒頭陳述で被告の生い立ちについて説明し「4歳のときに父親が命を絶ち、兄は幼い頃から病気だった。平成3年、被告が小学4年生のころ母親は旧統一教会に入信し、すぐに2000万円を献金した。財産を出すことが家族を救うことにつながるとして父親の生命保険金を費やした。平成10年ごろにかけての献金総額は1億円になる」と述べました。


その上で「被告が中学生のころ母の献金を祖父が知り、激怒する祖父と信仰にのめりこむ母の間で平穏な生活を奪われた」と述べました。

 

弁護士の冒頭陳述 “母は強い信仰心 家族に溝あった”

弁護士は旧統一教会との関わりについて「23歳で海上自衛隊に入隊したが、そのころ母親は経済的に行き詰まり、自己破産した。自衛隊の生活にもなじめず、努力してもむくわれない無力感や、社会へのえん世観があり、精神的に追い詰められていた。平成17年2月に自殺をはかり、一命をとりとめたが、自衛隊は退職した。奈良市内で母親などと同居するようになったが、母親は強い信仰心を持ち続けていて、依然として家族に溝があった。被告が35歳のときに兄が自殺し、自分を責める気持ちを持った」と説明しました。

 

その上で「旧統一教会を否定し続けた兄や祖父が正しかったと思い、ハン・ハクチャ氏ら幹部を襲撃したいと思うようになった。来日する機会に現場にいたこともあったが、ちゅうちょして実行には至らなかった」と述べました。

 

弁護士の冒頭陳述 “家の近くで演説 偶然超えた 襲撃決意”

弁護士は「被告は旧統一教会の幹部を襲撃しようとしたが、次に、親和的な姿勢を見せている政治家を襲撃することが目的に沿うと思った。それが安倍元総理大臣だった」と述べました。


事件前日に岡山市で襲撃しようとしたが、警備が厳重だったため引きあげたとした上で「帰っている途中、翌日に奈良で演説することを知った。自分の家のすぐ近くで演説することについて偶然を超えたものだと感じ、改めて、安倍元総理大臣を襲撃しようと決意した」と述べました。

 

NEW

午後5時15分ごろに閉廷

初公判は午後5時15分ごろに終わりました。


裁判は、29日も開かれ証人尋問などが行われます。

傍聴券の倍率は約22.7倍

 

裁判所によりますと、傍聴席32席に対して傍聴を希望した人は727人で、倍率はおよそ22.7倍でした。

 

傍聴券の抽せんに訪れた仙台市の30代の男性は「当たるか分かりませんが、きのう奈良に来ました。世の中に大きな衝撃と影響を与えた事件だったので、被告が何を言うのか、自分の目で確かめたいです」と話していました。

 

奈良県生駒市の70代の女性は「事件の背景にはそれなりのことがあったのではないかと思います。被告の心情を考慮して、どんな判決が出るのか興味があります」と話していました。

 

40代の男性は「事件が起きた事実は変わりませんし悪いことです。ただ、被告が子どもの時からどう過ごし、思い悩んでいたのか、事件に至るまでの背景が気になっています」と話していました。

 

自分の娘が被告と同い年だという80代の女性は「被告が母親との関係について裁判でどのように語るのか聞きたいです」と話していました。

 

50代の男性は「事件の背景とされている宗教がどこまで関わっているのか知りたいです。また、事件に責任を感じているのかなど、本人には率直に心情を話してほしいと思います」と話していました。

 

裁判では、安倍元総理大臣を殺害した罪に関しては争いはなく、被告側は一部の罪を除いて起訴された内容を認める見通しで、刑の重さが最大の争点となります。そのうえで、被告の生い立ちをどの程度考慮するかが焦点となります。

 

被告は、これまでの調べに対して「母親が多額の献金をしていた旧統一教会に恨みを募らせた末、事件を起こした」などと供述しています。弁護側は、母親による旧統一教会への高額献金などが被告の人生に影響を与えたと主張することにしています。

 

被告の母親や旧統一教会に詳しい宗教学者、それに旧統一教会の高額献金問題に取り組んでいる弁護士など、あわせて5人への証人尋問で立証し、刑を軽くするよう求める方針です。

 

一方、検察側は「旧統一教会の影響は銃撃とは別の問題だ」としていて、複数の銃を製造し試し撃ちをしていたことなど、強い殺意や計画性があったことや悪質性を立証する方針です。

 

裁判では、被告側が争うとしている一部の罪も刑の重さに大きく影響します。被告は、銃刀法違反の「発射罪」に問われていて、罰則は無期、または3年以上の懲役です。「発射罪」をめぐっては当時の銃刀法では、拳銃や機関銃などの「拳銃等」に限って適用され、「猟銃」や「その他の銃」などは該当しませんでした。

 

弁護側は、手製の銃は「拳銃等」にはあたらず、「発射罪」は成立しないと主張する方針です。

 

これに対して検察側は、今回使用された手製の銃も、「拳銃等」にあたると主張し、鑑定した警察関係者などの証人尋問を通して殺傷能力や構造を明らかにする方針です。この事件などをきっかけに銃刀法が改正され、「発射罪」は「猟銃」や「その他の銃」などにも適用されるようになりました。

事件の経緯と影響 被害者救済や閣僚辞任も

2022年の7月8日、奈良市の近鉄・大和西大寺駅前で参議院選挙の応援演説中だった安倍元総理大臣が銃撃されました。現場で救命活動が行われドクターヘリで病院に搬送されましたが、その後死亡が確認されました。

 

警察は当時、奈良市に住んでいた山上徹也被告をその場で逮捕し、殺人の疑いで捜査を始めました。銃撃には手製の銃が使われました。

 

警察の調べに対し、「母親が旧統一教会にのめり込み多額の寄付をするなどして家庭生活がめちゃくちゃになった。安倍元総理大臣が教団と近しい関係にあると思った」などと供述しました。

 

検察は刑事責任能力を調べる「鑑定留置」を行い、およそ半年後、被告には責任能力があると判断し、2023年1月に殺人などの罪で起訴しました。

 

起訴を受け、裁判所と検察官、弁護士の3者で争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きがその年の6月に行われる予定でしたが、当日、裁判所に届いた段ボールに金属反応があったため中止になりました。警察が中身を調べたところ被告の刑を軽くするよう求める署名でした。

 

手続きは仕切り直しとなり、2023年10月から先週までの2年かけてあわせて9回の公判前整理手続きが行われ、被告が参加することもありました。

 

事件は、社会にも大きな影響を与えました。

 

親から信仰を強要され、進学などを諦めたという「宗教2世」たちが声をあげ、被害者の救済を図るための新たな法律の成立につながりました。また、旧統一教会から選挙で支援を受けるなど、関係を持つ政治家が指摘され、閣僚の辞任にも発展しました。

 

さらに、旧統一教会の高額献金や霊感商法の問題をめぐり、東京地方裁判所は国の請求を認めて教団に解散を命じました。教団が不服を申し立て東京高等裁判所で審理が続いています。

 

今回の事件では、警備の課題も指摘され、警察は、要人警護の基本事項などを定めた「警護要則」をおよそ30年ぶりに刷新し、警察庁の関与を強めるなど運用を抜本的に見直しました。

山上被告とは 事件までの経緯

親族などによりますと山上被告は両親と兄、妹の5人家族で、実家は建設会社を営んでいましたが、被告が4歳の時に父親が死亡しました。親族によりますときょうだいは仲がよく、病気の兄を母親が看病していたため、被告が妹の父親代わりになって面倒をみていたということです。
 

被告が小学生のころ、母親が旧統一教会への信仰を始めました。そして、次第に信仰を深め、父親の死亡保険金などあわせて1億円を献金するなどして家庭は困窮していったといいます。

 

奈良市の中学校を卒業後、県内有数の進学校に入学。高校卒業後は大学には進まず2002年8月に海上自衛隊に入隊しました。

 

このころ、家族の経済状況はさらに悪化し、2005年に被告は自殺未遂をしました。自殺を図った理由について「人生がめちゃくちゃになった。きょうだいが人生に困っているから自分の生命保険金を渡そうと思った」と説明していたということです。


同じ年に海上自衛隊を辞め、その後はアルバイトや派遣の仕事を転々としていたとみられます。

 

2020年10月からは京都府内の工場で派遣社員としてフォークリフトで製品などの積み降ろしの作業にあたっていました。工場の関係者によりますと、最初の半年間は勤務態度に問題はありませんでしたが、次第に作業を手順通りに行わなかったり製品を雑に扱ったりするケースが目立ち、周囲と衝突することもあったということです。そして、2022年4月初旬から欠勤が増え始め、5月中旬に工場を退職しました。

 

事件が起きたのはそのおよそ2か月後でした。

事件後の被告の様子は

山上被告は現在、大阪拘置所に勾留されていて、弁護団や親族によりますと、面会に応じているのは弁護士と一部の親族、それに裁判で証人となる宗教学者だけだということです。

 

事件後、いわゆる「宗教2世」の問題や、旧統一教会と政治家の関係に注目が集まりましたが、弁護団によりますと、2024年6月に接見した際、被告は「事件が現在の状況を引き起こすとは思わなかった」と口にしていたということです。

 

拘置所には「宗教2世」の人たちなどから多くの手紙が寄せられ、被告は「『宗教2世』にとって事件がよかったのか、悪かったのかわからない」と話していたということです。旧統一教会に対する解散命令の動きについても報道で把握していて、関心を持っているということです。

 

2023年10月から9回にわたって行われた公判前整理手続きには6回参加し、弁護団によりますと、やりとりを熱心に聞いてメモをとる様子もみられたということです。

今後の裁判日程 判決は来年1月に予定

裁判は予備日も含め、2026年1月まで19回予定されています。

 

奈良地方裁判所や関係者によりますと、初公判のあと、翌29日から11月13日にかけて主に検察側の立証が行われ、当時、安倍元総理大臣の近くにいて事件を目撃した佐藤啓参議院議員や、事件に使われた手製の銃を鑑定した警察関係者などが証言する予定です。

 

11月13日以降は弁護側が請求した証人尋問などが予定されています。

 

被告の母親や旧統一教会に詳しい宗教学者などに尋問し、被告の生い立ちや被告に与えた影響などを調べるということです。

 

被告人質問は11月20日から12月4日にかけて5回行われます。

 

12月18日に検察側の論告求刑と弁護側の最終弁論が行われて結審する予定で、2026年1月21日に判決が言い渡される予定です。

 

関係者によりますと、今回の裁判で、安倍元総理大臣の妻の安倍昭恵さんが「被害者参加制度」を利用するということです。

 

「被害者参加制度」は、殺人などの重大事件の裁判で被害者や遺族が被告に質問したり、意見を述べたりすることができる制度です。

 

今のところ、本人は法廷には来ないということで、裁判が結審する12月18日に代理人が本人の意見を記した書面を読み上げる予定です。

奈良地裁は警備を強化

今回の裁判では、裁判所の警備が強化されます。
 

奈良地方裁判所によりますと、2026年1月21日の判決まで、裁判所の複数の出入り口を正面玄関のみに限定し、玄関では金属探知機などを使って手荷物検査を行うことにしています。

 

裁判がある日は、正面玄関に加えて法廷の前でも手荷物検査を行い、他の裁判は民事も含めて開かれないということです。

 

また、関係者によりますと、法廷では被告や裁判官など関係者が座る席と傍聴席の間に、透明の板が設置されるということです。

警察も警備を強化し、被告が乗った護送車を警察車両で警備するほか、裁判が開かれる日は奈良県警と大阪府警が合同で裁判所の周辺で警戒にあたるということです。

事件の一部始終を撮影した男性「背景を知りたい」

事件の一部始終をビデオカメラで撮影した男性は、現場に居合わせた1人として裁判で事件の背景が明らかになることを望んでいます。
 

奈良県山添村に住む大谷敏治さん(49)は、2022年安倍元総理大臣の演説を記念にビデオカメラで撮影していたところ、事件に遭遇しました。

 

カメラを回し始めてからおよそ30分後、大きな音が鳴り響くと、およそ20メートル先で安倍元総理大臣が倒れ込むのが見えました。

 

周囲が騒然とする中、撮影を続けるべきか悩みましたが「事件の悲惨さを伝え、記録として後世に残すことが大切だ」と思い、救急車が到着するまでカメラを回し続けました。

 

大谷さんは現場に駆けつけた記者などの求めに応じて映像を提供し、海外を含むさまざまなメディアで報じられました。

 

一方、目の前で人が殺害されたというショックからたびたび気分が落ち込むようになり、事件から1か月半ほどたったころ「事件のことを忘れたい」と、映像を削除しました。

 

その後も事件を忘れることはできませんでしたが、裁判が近づくにつれ、現場に居合わせた1人として被告の口から事件を起こした理由を聞きたいと考えるようになったといいます。

 

大谷さんは「どういう背景や事情があって銃撃したのか知りたい。事件の一部始終が明らかになることで、自分が抱えているつらい気持ちも少し軽くなり、心の整理が進むのではないかと思っている」と話しています。

救命処置した医師「被告のことばで明らかにして」

事件の直後、安倍元総理大臣の救命処置にあたった医師は、同じような事件が繰り返されないためにも、山上被告には自分のことばで事件の背景や動機を語ってほしいと望んでいます。
 

現場近くのビルで内科のクリニックを開業している医師の中岡伸悟さん(67)は、3年前、発生直後に現場に駆けつけました。

 

到着した時、安倍元総理大臣は路上に倒れていて、中岡さんはすぐに心臓マッサージをするなど、救命処置にあたりました。

 

当時について、中岡さんは「救急車が到着するまでの時間がとても長く感じ、祈るような気持ちで処置を続けた。誰かが『安倍さん頑張って』と叫ぶ声は聞こえたが、それ以外の周囲の騒然とした音は全く聞こえないほど集中していた」と振り返りました。

その後、安倍元総理大臣は病院に搬送されましたが死亡しました。

 

中岡さんは、自分にできることがもっとなかったのか、今も自問自答を続けていて、現場にいた医師として命を救えなかった無念さは生涯残るかもしれないと考えています。

 

そのうえで、同じような悲惨な事件が繰り返されないためにも裁判で事件の背景や動機が明らかになることを望んでいます。

 

中岡さんは「事件に至るまでに被告の心の中で何が起きていたのか、被告みずからのことばで明らかにしてほしい」と話しています。

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安倍晋三元首相 銃撃事件奈良県旧統一教会