【解説】南海トラフ震源域で 水深約2000メートルの海底の「沈降」を初観測
日本テレビ放送網
2025年10月6日 21:44
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■南海トラフ地震の震源域で 海底の沈降の様子を初観測
JAMSTEC海洋研究開発機構は南海トラフ地震の震源域のうち、紀伊半島から四国沖の海底にDONETと呼ばれる、地震津波観測監視システムを整備していて、震源域の真上の海底で直に地震や津波の観測をおこなっています。
JAMSTECの町田副主任研究員らは、ここに設置されている水圧計の観測のずれを補正する技術を開発し、水深2000メートル付近の海底で今回初めて地面が沈降、沈み込んでいることが明らかになったと発表しました。紀伊半島の南東沖の熊野灘で年間約1.5センチ、紀伊半島の南西沖では年間約2.5センチの速度で沈降していたということです。
■南海トラフ震源域ではプレートの沈む込みによる沈降も
南海トラフ地震は沖合のフィリピン海プレートが陸のプレートの下に沈み込むことで、境界付近にひずみがたまり、それが限界に達することで繰り返し発生する大地震のことです。陸側のプレートが、海側のプレートに引きずり込まれるようになっているため、これまでも地面が沈下することが分かっていましたが、海底でこれを明確に観測できたのは初めてのことです。
■南海トラフ震源域の陸地では 年々「沈降」するデータが観測
毎月公開されている、静岡県の御前崎の観測点の地盤沈下の量を示した図です。国土地理院が衛星を使って地面の変化を観測していますが、それによると御前崎は1998年に比べると約20センチ近く、沈んでいることが分かっています。
地面の沈み込みは、南海トラフ地震の震源域のほかの場所でも見られています。紀伊半島の先端、潮岬周辺でもデータがある1970年頃から「沈降」が観測されています。
高知県室戸岬周辺でも地面の沈降が観測されています。ただ室戸岬では1946年におきた昭和の南海地震によって、逆に地面が大きく隆起したデータも残されています。その量は1メートル近くにのぼります。昭和南海地震(1946年)のひずみの解消による地殻変動で地面が隆起、その後は再び、ひずみをためはじめているため、地面が少しずつ沈下、こうした隆起と沈降を繰り返しているのです。
■海底の観測によって、震源付近の地盤の変化に「早く気がつける」か
これまで東海・近畿・四国地方の陸上では国土地理院によって地面の動きが観測されていましたが、これが海底でも明らかにされたことの意義をJAMSTECの町田副主任研究員は次のように話しています。
南海トラフ震源域の海底のデータはリアルタイムで観測できているため「変化に早く気がつける可能性がある」としています。今回は2か所のデータから、沈降していることが明らかになりましたが、南海トラフ地震の海域では同じように海底でのリアルタイム観測がおこなわれているため、町田副主任研究員は、ほかの場所でもデータの取得に挑戦したいとしています。
■南海トラフ地震の震源域で 海底の沈降の様子を初観測
JAMSTEC海洋研究開発機構は南海トラフ地震の震源域のうち、紀伊半島から四国沖の海底にDONETと呼ばれる、地震津波観測監視システムを整備していて、震源域の真上の海底で直に地震や津波の観測をおこなっています。
JAMSTECの町田副主任研究員らは、ここに設置されている水圧計の観測のずれを補正する技術を開発し、水深2000メートル付近の海底で今回初めて地面が沈降、沈み込んでいることが明らかになったと発表しました。紀伊半島の南東沖の熊野灘で年間約1.5センチ、紀伊半島の南西沖では年間約2.5センチの速度で沈降していたということです。
■南海トラフ震源域ではプレートの沈む込みによる沈降も
南海トラフ地震は沖合のフィリピン海プレートが陸のプレートの下に沈み込むことで、境界付近にひずみがたまり、それが限界に達することで繰り返し発生する大地震のことです。陸側のプレートが、海側のプレートに引きずり込まれるようになっているため、これまでも地面が沈下することが分かっていましたが、海底でこれを明確に観測できたのは初めてのことです。
■南海トラフ震源域の陸地では 年々「沈降」するデータが観測
毎月公開されている、静岡県の御前崎の観測点の地盤沈下の量を示した図です。国土地理院が衛星を使って地面の変化を観測していますが、それによると御前崎は1998年に比べると約20センチ近く、沈んでいることが分かっています。
地面の沈み込みは、南海トラフ地震の震源域のほかの場所でも見られています。紀伊半島の先端、潮岬周辺でもデータがある1970年頃から「沈降」が観測されています。
高知県室戸岬周辺でも地面の沈降が観測されています。ただ室戸岬では1946年におきた昭和の南海地震によって、逆に地面が大きく隆起したデータも残されています。その量は1メートル近くにのぼります。昭和南海地震(1946年)のひずみの解消による地殻変動で地面が隆起、その後は再び、ひずみをためはじめているため、地面が少しずつ沈下、こうした隆起と沈降を繰り返しているのです。
■海底の観測によって、震源付近の地盤の変化に「早く気がつける」か
これまで東海・近畿・四国地方の陸上では国土地理院によって地面の動きが観測されていましたが、これが海底でも明らかにされたことの意義をJAMSTECの町田副主任研究員は次のように話しています。
南海トラフ震源域の海底のデータはリアルタイムで観測できているため「変化に早く気がつける可能性がある」としています。今回は2か所のデータから、沈降していることが明らかになりましたが、南海トラフ地震の海域では同じように海底でのリアルタイム観測がおこなわれているため、町田副主任研究員は、ほかの場所でもデータの取得に挑戦したいとしています。
最終更新日:2025年10月6日 21:44
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