旧統一教会ハン総裁逮捕 便宜供与求め 前大統領夫妻に接近か

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韓国 旧統一教会ハン総裁逮捕 便宜を図るよう求める意思で前大統領夫妻に接近か 複数メディア | NHK | 韓国 配信より

 

韓国の旧統一教会のトップ、ハン・ハクチャ(韓鶴子)総裁が逮捕された事件で、韓国メディアは、教団側がユン・ソンニョル(尹錫悦)前大統領夫妻に近づいて、便宜を図るよう求める意思があったと伝えています。24日からは、前大統領の夫人の裁判も始まる予定で、教団と政界との関係がさらに明らかになるのか関心が高まりそうです。

 

政府から独立して捜査を行う韓国の特別検察官は、23日未明、旧統一教会=世界平和統一家庭連合の総裁、ハン・ハクチャ容疑者を逮捕しました。

 

特別検察官は23日午後の記者会見で、ハン総裁には政治資金法違反など4つの容疑があり、現在はソウル近郊の拘置所の独房に収監されていると明らかにしました。

 

ハン総裁は、ユン・ソンニョル前大統領のキム・ゴニ(金建希)夫人が教団の元幹部から知人を通じて高級ブランドのバッグを受け取ったとされる事件や、同じ元幹部がユン政権の当時の与党で院内代表を務めた大物議員に日本円で1000万円余りを違法に渡したとされる事件などに関与した疑いが持たれています。

この元幹部についてはすでに裁判が始まっていて、韓国メディアは起訴内容として、ハン総裁の意向に沿って国家が運営されるべきだという「政教一致」の理念を実現するために、教団がユン前大統領夫妻に近づいて便宜を図るよう求める意思があったと伝えています。

ハン総裁は逮捕前に「韓国の政治に関心はない」などと述べ、容疑をおおむね否認したということですが、特別検察官は教団の影響力を拡大する目的があったとみて捜査を加速させる方針です。

24日からは、ユン前大統領のキム夫人の裁判も始まる予定で、教団と政界との関係がさらに明らかになるのか、関心が高まりそうです。

カジノで巨額の金を使い込んだ疑惑 証拠隠滅の疑いも

旧統一教会のハン・ハクチャ総裁の逮捕容疑には、証拠隠滅を指示した疑いも含まれています。

韓国メディアは、ハン総裁には、アメリカ ラスベガスのカジノで、巨額の金を使い込んだ疑惑があり、2022年、警察による捜査に備えて、教団資金の使用履歴などの関連資料を処分するよう指示したと伝えています。

教団側は、ユン政権の当時の与党「国民の力」の大物議員のクォン・ソンドン(権性東)氏から、「教団本部に警察が捜索に入る可能性がある」という情報を事前に入手し、証拠隠滅を図ったとみられるということです。

ハン・ハクチャ総裁とは

旧統一教会のハン・ハクチャ総裁は82歳。

1954年に韓国で創設された、現在の「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会の創始者のムン・ソンミョン(文鮮明)氏と、1960年、17歳の時に結婚しました。

旧統一教会の中では「真(まこと)のお母様」と呼ばれ、教団が夫婦の組み合わせを決めていたという「合同結婚式」を開くなど、組織を主導してきました。

2012年にムン氏が死去したあと、ハン総裁は教団のトップとして君臨し、強い影響力を保ってきたほか、多くの信者がいる日本にも頻繁に訪れていました。

旧統一教会 日本本部「このような事態 誠に遺憾」

ハン・ハクチャ総裁が逮捕されたことについて、旧統一教会=世界平和統一家庭連合の日本本部は「ハン・ハクチャ総裁は9月17日に特別検察に自ら出頭するなど、捜査に真摯(しんし)に協力しておられます。弁護団は、ハン総裁が83歳の高齢であること、心臓関連の施術を受けて療養が必要であること、さらに逃亡や証拠隠滅の恐れが全くないことを訴えてきました。しかしながら、その主張が認められず、このような事態となったことは誠に遺憾です」とコメントしています。

元信者支援の弁護団「韓国の教団本部も 日本の被害者救済を」

ハン・ハクチャ総裁が逮捕されたことについて、旧統一教会の元信者らの支援にあたっている全国統一教会被害対策弁護団は、「違法な活動の背後にある統一教会の豊富な資金は、日本からの多額の送金が原資となっているとみられており、元々は霊感商法や高額献金により日本の被害者から奪い取ったお金です。日本の被害者に戻されるべきものであり、韓国において統一教会の身勝手な影響力拡大のために違法に使われていたなどというのは言語道断です。統一教会の日本法人だけでなく、韓国の教団本部も日本の被害者救済のため責任を果たすよう求めます」とする声明を出しました。

専門家「教団の弱体化につながる」

旧統一教会のハン・ハクチャ総裁が逮捕されたことについて、韓国の宗教問題に詳しいプサンチャンシン(釜山長神)大学のタク・チイル(卓志一)教授は、教団の今後について「どんなにナンバー2が優れていても、ハン総裁のいない教団は想像しづらく、教団の弱体化につながると見ている」と分析しています。

その上で「旧統一教会は依然として十分な財政的余力を持っている。財政的な打撃はあるだろうが、それが果たして致命的になるかは疑問だ」としています。

そして「韓国で解散に関する措置を日本のようにとるのは難しいだろう」と述べました。

一方「日本の教団は、ハン総裁の影響力が特に強い」と述べ、ハン総裁が逮捕されたことで日本の旧統一教会にも影響が及ぶ可能性もあると指摘しています。