西宮神社での献茶式で、柄杓に手を伸ばす裏千家の前家元、千玄室さん=兵庫県西宮市で2021年4月19日、山崎一輝撮影
茶道の国際化と普及に努めた茶道裏千家十五代家元で文化勲章受章者の
千玄室(せん・げんしつ)さんが14日、亡くなった。
102歳。
通夜、葬儀は関係者で営む。
裏千家は後日、お別れ会を開く。
【写真まとめ】千玄室さん、日本文化の継承と平和にささげた一生
1923年、十四代家元淡々斎碩叟宗室の長男として誕生、幼名は政興(まさおき)。
46年、同志社大法学部卒業後、ハワイ大に留学。
49年、京都・大徳寺で得度して鵬雲斎の号を受けた。
64年、父の急逝により十五代千宗室を襲名した。
51年、茶道文化紹介のため渡米。以後、一碗(いちわん)を飲み合うことで人の輪を作り、
平和を生み出そうという意味のキャッチフレーズ「一碗からピースフルネスを」
を掲げて世界62カ国以上を歴訪、「茶の湯外交」に積極的に取り組み、
茶道の海外への紹介と国際文化交流に貢献した。
この功績が認められ98年、フランス政府からレジオン・ドヌール勲章オフィシエ
を受けたのをはじめ数々の勲章を授与され、国際茶人としての立場を確立。
分かりやすい入門書などを多数著し、茶道の普及に努めた。
国内では73年藍綬褒章、80年紫綬褒章を受章し、
89年に文化功労者。94年勲二等旭日重光章、
97年には茶道界で初めて文化勲章を受章した。
日本青年会議所会頭、国語審議会委員、
国際青年会議所副会頭、中央教育審議会委員など要職を歴任。
馬術で国体に2度の出場経験があり、日本馬術連盟会長、アジア馬術連盟名誉会長、
日本オリンピック委員会(JOC)名誉委員などを務めた。
94年の平安建都1200年の際には、記念協会会長として行事のけん引役を務めた。
若宗匠宗之さん(現十六代家元宗室)が
83年、三笠宮崇仁親王殿下の次女容子さんと結婚、皇族とも姻戚関係を結んだ。
「冠婚葬祭入門」がベストセラーになった塩月弥栄子さんは実姉。
学徒出陣で海軍に入隊したころから俳優の故西村晃さんと親友だった。
「茶の精神」「茶の心」「茶のすがた」「お茶をどうぞ」「お茶の道しるべ」など著書多数。
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