日本家庭科教育学会第61回大会決議 

 

2018年7月7日 

 

中学校、高等学校の家庭科専任教員配置の要望-―「18歳成年」の礎となる家庭科教育の充実に向けて―.pdf

配信より

 

中学校、高等学校に最低1人の家庭科専任教員の配置を要望します

 

 ―「18歳成年」の礎となる家庭科教育の充実に向けて― 

 

家庭科は生徒の生活的・社会的成熟を促す教科 

 

家庭科は、生活の基礎的な知識やスキルを身に付けさせ、健康で安全な食生活をはじめ、衣生活、住生 活を自立的に営む力を育てる教科です。

 

また、自分の周りの人々に目を向け、家族や児童・高齢者など多 様な人びとと助け合い、消費者として多面的、主体的に判断する力や持続可能な社会をつくる意識や実践 力を涵養する教科でもあります。

 

まさに、生活を営む力や人と共生する力を備え、それを土台として社会 に参画するバランスの取れた大人を育てることを目指しており、2018(平成30)年6月成立の「18歳成 年」とも関わって、生徒の「生活的・社会的成熟」に直截的につながる教科といえます。

 

 生徒は家庭科に手ごたえを感じている 

 

当学会が2016年に実施した全国調査によれば、社会人の95%が家庭科の学びを肯定的に評価しており、 85%が家庭科を学ぶことで生活に関する基礎的な知識・技術が身についたと回答しています。

 

また高校生 の約90%が家庭科を学ぶことで家庭や暮らしの問題への関心が深まる、他の教科と違って生きた勉強がで きる、家庭生活は男女が協力して営むものであると考えるようになった、と回答しています。

 

その一方で、 自由記述では、多くの高校生が、家庭科をもっと学びたい、実習時間を増やしてほしいと要望しています。

 

 このように、家庭科は、教科内容の今日的価値からみても、また学習者の受け止めから見ても、その重 要性と充実の必要性は明らかです。 

 

家庭科教員配置の危機的状況 

 

しかし、それを教える教員の配置状況は危機的状況にあります。

 

専任から非常勤講師に切り替える学校 も多く、大学卒業して間もない経験の浅い講師がいくつもの学校を掛け持ちしている例は各都道府県で常 態化しています。

 

さらに問題なのは、免許を持たない教員が指導する事例が増えていることです。

 

2016(平 成28)年の文科省調査によれば、中学校の免許外教科担任の許可件数は、実技教科が5766件と全体の80% を占め、なかでも家庭科は2181件と、技術と並んで群を抜いて多い結果となっています。 

 

家庭科には常駐する専任教員が必須である 

 

家庭科は実験、実習を伴う教科であり、教員の専門性が要求されます。

 

また実習には、食物アレルギー やけが等安全への配慮など児童生徒の事故防止のための徹底した安全・衛生の指導と管理が求められます。

 

 さらに、準備、片づけなど授業時間以外に多くの作業が必要であり、かつ実習室(調理室、被服室)の管 理維持という実習教科ならではの仕事もあります。

 

また中学校、高等学校の文化祭では、美術や音楽と並 び、家庭科室は多くの生徒で賑わいます。

 

学校文化を支える役割を果たしているといえるでしょう。

 

加え て、2017(平成29)年、2018(平成 30)年改訂の学習指導要領では、探究的な学習や、保育、高齢者学習 で地域との交流を含む学習が盛り込まれています。

 

これらの授業や授業外の活動、さらにそれに伴う諸々 の業務の遂行は専任教員がいてこそ可能であり、非常勤講師や、免許外の教員では力量、経験、時間のい ずれの面でも困難です。

 

十分な遂行は不可能といっても過言ではありません。

 

いうまでもなく、専門性を 有する教員による授業の提供は生徒の学習権の保障につながります。

 

したがって、このような不十分な学 習環境と状況の放置はその権利を損なっていることに他なりません。 

 

なお、欧米を中心とした世界の家庭科をみると、

 

クラスのサイズはほぼ30名以下であり、20名以上の 場合は2つに分けて授業を行う例が多く見られます。

 

指導に困難を伴う実習教科への配慮がなされている のです。

 

わが国でも、班別や半クラスなどで行う学習が生徒の学習意欲や学習効果に良い影響を及ぼして いる研究結果が出されています。

 

このような授業運営上の工夫は、生徒の学習環境を向上させることにつ ながるとともに、専任教員の配置を不可欠とします。 

 

今、超高齢化や少子化の進行、環境問題や消費者被害など、個人、家族や地域生活に関わる様々な生活 問題が顕在化しています。

 

すでにみたように、家庭科は、これらの生活に関わる内容を学習の対象とし、 個人としての主体的な対応力や人と協働して生活課題の改善、解決に取り組む力を育てることを目ざして おり、これからの社会に創造的に向き合う人を育てる基盤的教育としての可能性を有しています。 

 

以上から、

 

日本家庭科教育学会は、家庭科の充実に向けての基本的条件として、全国の中学 校、高校の各校に、最低1人の家庭科専任教員の配置を強く要望します。

 

私のコメント :  令和7年8月1日、日本家庭科教育学会は、家庭科の充実に向けての基本的条件として、全国の中学 校、高校の各校に、最低1人の家庭科専任教員の配置を強く要望されています。

 

今までに、高等学校における、高校教師、教育者としての あらゆる困難な教育状況も体験しつつ、私は、以上の学事内容にもかかり、日本家庭科教育学会を支持している立場にあります。

 

令和7年8月1日、高校生が日頃の文化・芸術活動の成果を発表する「全国高校総合文化祭」は31日が最終日となりました。「全国高校総合文化祭」は、香川県内各地を会場に23の部門で発表が行われ、多度津町の会場では花いけバトル部門が開催されました。

 

 

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