「多国間主義を疑う声に迎合してはいけない」 メルケル氏が来日講演
田中瞳子
「多国間主義を疑う声に迎合してはいけない」 メルケル氏が来日講演:朝日新聞 配信より
ドイツのメルケル元首相が27日、東京都内でトークイベントに登壇した。「米国第一」を掲げるトランプ米大統領の姿勢を批判しつつ、「多国間主義を疑問視する声に迎合してはいけない」とし、国際協調の重要性を訴えた。
メルケル氏は回顧録の邦訳版「自由」(上下巻、KADOKAWA)の出版に合わせて来日。東京・大手町で開かれた「欧州核心トーク 戦後80年、崩れる世界秩序 メルケル氏に聞く『自由』の行方」(日本経済新聞社主催)に参加した。
2005~21年に首相を務めた経験を振り返りながら「大きな人類の問題は多国間主義によってしか解決できない。トランプ氏には、勝者と敗者という概念しかない。だが、日本やドイツが経験してきたように国際政治のなかではみんなが勝者になれる」と語った。
トランプ政権が今月下旬、ハーバード大学に対し、留学生を受け入れるための認可を停止したと発表したことについて「米国の、そして西洋の歴史を大きく揺るがしている。ハーバード大学は米国の学問の自由を象徴するブランドだった」と批判した。
トランプ政権が関税政策によって世界の経済秩序を揺さぶっている点については「中期的には米国もトランプ氏も気づくだろう。国際協調があればより豊かになれることに。トランプ氏は国民を豊かにすると約束しているが、たった一国でそれを実現できるとは思えない」と述べた。
回顧録のタイトルでもある「自由」の定義を問われたメルケル氏は、35歳のときに経験したベルリンの壁崩壊を思い返しながら、「単なる自由は存在しない。いつの時代も自由を勝ち取っていくことが重要だ」と語った。「私たちは他者と互いに協力し、責任を引き受ける必要がある。他の人に敬意を持たないような自由は、自由ではありません」
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○ 自由 下 (角川書店単行本)
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○ 現代ドイツ政治外交史:占領期からメルケル政権まで (Minerva Modern History)
板橋拓己,妹尾哲志/ミネルヴァ書房