震源から1000キロ離れたビルが倒壊 「長周期地震動」の影響か

毎日新聞2025/3/29 18:46(最終更新 3/29 18:46)598文字

 

震源から1000キロ離れたビルが倒壊 「長周期地震動」の影響か | 毎日新聞 配信より

高層ビルが倒壊した現場でがれきを観察する救急隊員=バンコクで2025年3月29日、AP拡大
高層ビルが倒壊した現場でがれきを観察する救急隊員=バンコクで2025年3月29日、AP

 ミャンマー中部で28日に発生したマグニチュード(M)7・7の地震では、震源から約1000キロ離れたタイの首都バンコクでビルが倒壊した。気象庁は、震源から遠くてもビルの高層階を大きく揺らす「長周期地震動」の影響の可能性があるとみている。

 

 長周期地震動は、地震の揺れが1往復するのにかかる時間(周期)が2~10秒と通常の揺れより長く、遠くまで伝わる性質が特徴。高層の建物固有の揺れの周期と共振しやすく、震度は小さくても高層階で大きな揺れになるケースがある。

 2011年の東日本大震災(M9・0)では、震度3だった大阪市住之江区の55階建て大阪府庁舎が約10分にわたって揺れ、天井の落下や床面の亀裂など計360カ所が損傷。エレベーターも全32基が停止した。

 

 名古屋大学の武村雅之特任教授(地震学)は、ミャンマーの大地震について「東日本大震災で大阪よりもさらに遠い、九州近辺のビルが崩れたようなもの」と指摘。地震の規模を示すMが東日本大震災よりも小さかった点を踏まえ「現地は地下構造が比較的均質で揺れがより遠くまで伝わりやすかったのではないか」との見方を示す。ただしビル倒壊は、建設中だったことや耐震性が関係している可能性もあるという。

 長周期地震動は、近い将来の発生が見込まれる「南海トラフ巨大地震」でも影響が懸念され、2万人以上が高層ビルなどのエレベーターに閉じ込められるとの想定もある。【岡田英】