「国民の理解得られず」自民、年金法案期限内提出は困難と野党に伝達 首相の求心力低下も

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「国民の理解得られず」自民、年金法案期限内提出は困難と野党に伝達 首相の求心力低下も(産経新聞) - Yahoo!ニュース 配信より

 

会談に臨む自民党の坂本哲志国対委員長(左)と立憲民主党の笠浩史国対委員長=11日午後、国会内(春名中撮影)

自民党の坂本哲志国対委員長は11日、立憲民主党の笠浩史国対委員長と国会内で会談し、年金制度改革関連法案について党内の意見調整に時間が必要だとして、期限となる14日までの提出は困難と伝えた。政府・与党は今後も今国会の提出を模索するが、自民内には夏の参院選後への先送り論もある。高額療養費制度を巡る対応の二転三転に続き、年金法案も描いたスケジュール通り進まず、石破茂首相の求心力低下につながりかねない状況だ。 【ひと目でわかる】厚生労働省の年金改革案のイメージ 年金制度改革案は、会社員らが入る厚生年金の積立金を使って基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げするのが柱だ。ただ、基礎年金だけの加入者にも厚生年金の積立金を充てるため、自民内から「国民の理解を得られない」との批判が出ていた。 また、パートら短時間労働者の厚生年金の加入拡大に向け、「従業員51人以上」という企業規模要件を段階的に緩和、廃止する案も柱の一つだったが、保険料を折半で負担する中小企業側の反発もあり、自民内で慎重論が相次いだ。 これを受けて、厚生労働省は基礎年金底上げの実施の可否を、経済情勢や財源確保の状況などを踏まえて令和11年以降に判断すると軌道修正。企業規模要件の変更期間も、当初の4年間から10年間に延長するなど、当初の構想から徐々に後退して「骨抜き」になっていった。それでも自民内の慎重論は強まる一方で、党内議論は進んでいない。 自民の参院側を中心に慎重論や先送り論が強まるのは、夏の参院選への影響を懸念するためだ。自民閣僚経験者は「この改革案では野党の攻撃材料になるだけだ」と話す。ただ、参院選後に先送りしたとしても、政治状況次第では改革のハードルはさらに上がる可能性もある。 公明党の西田実仁幹事長は11日の記者会見で年金法案について「野党の意見も取り入れ、より良いものにしていく。しっかり盛り込んで提出するのが基本だ」と述べた。自民の鈴木俊一総務会長も「多くの政党が同じ方向を向いていくのが重要だ。理解を得られるよう丁寧に議論を進めたい」と与野党による事前協議に期待を示した。 だが、立民の野田佳彦代表は事前協議に否定的で協議が実現するか見通せない。昭和女子大の八代尚宏特命教授(経済学)は産経新聞の取材に「政府・与党は国民に年金改革の必要性を訴えるべきだが、それを怠って先延ばしを図るのは無責任に過ぎる」と話した。(大島悠亮)

 

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