「地域無視」「国のやることか」 厚労省・再編統合の対象病院公表
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再編統合に向けた議論が必要とされた周南地域の病院
厚生労働省が再編や統合の議論が必要する424の公立・公的病院を9月26日に公表したが、周南地域でも周南市と光市の計4病院が挙げられており「地域の事情を無視している」「国のやることではない」など反発の声が広がっている。下松市には公立・公的病院はない。
(山上達也)
[全国の公立・公的424病院がやり玉に]
公表された病院名は厚労省が全国の1,652の公立・公的病院のうち、人口100万人以上の区域にある病院を除いた1,455の病院の診療実績を分析したもの。
今後、厚労省は都道府県に来年9月までに対応策を決めるよう求め、他の病院への統合や病床数の削減、診療機能の縮小を2025年までに終えるよう要請する。
しかし強制力や罰則規定はなく、どこまで実効性があるかは不透明だ。
[新病院が5月に完成したばかり]
1市1町合併の経緯から2つの市立病院を抱える光市は、大和総合病院を慢性期主体、光総合病院を急性期主体に機能分化して両病院を存続させ、光総合病院は今年5月に新病舎を移転新築したばかりだ。両病院とも黒字を計上している。
市川市長は本紙の取材に「機械的な線引きにすぎず、地域の実情を全く無視している。両病院を守るために徹底的に戦う」と言い切った。
今後、市議会でも論議が高まると見られ、執行部の対応が注目される。
[市長「医師確保、経営改善進める」]
周南市は2000年に旧新南陽市が開設した新南陽市民病院が対象になった。藤井市長は27日の定例記者会見で「経営改善にこれから取り組むところ。医師の確保も進めている」と述べ、再編統合などはその後のこととしている。。
同病院で働く看護師は「勝手に国が(病院を)名指しして統廃合を進めるなんて、国のやることではない」と反発しており、医療現場での厳しさを浮き彫りにしている。
徳山医師会病院は市内の病院、診療所の医師が登録医として、患者の入院から退院までを一貫して診察する完全オープンシステムの病院として高く評価されている。
開業医ではそろえられないような高額な医療機器の共同利用で、病気の早期発見や治療を可能にしており、周南地域に欠かせない医療機関だ。
[「ショック療法」で論議進むか]
厚労省による病院名の公表という「ショック療法」は、病院の再編統合を進めたい狙いが透けて見える。
しかし病院の主役はあくまで患者とそこで働く医師や看護師ら職員。厚労省は病院名を公表した以上、住民の患者ら関係者の声を聞きながら地域の議論を支える責任がある。