2025年の非専門職外国人労働者の導入規模を20万7,000人に設定

 

カテゴリー:雇用・失業問題外国人労働者

韓国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2025年1月

政府は2024年12月20日、外国人力統合政策協議会を開催し、2025年の非専門職外国人労働者の導入規模の上限を20万7,000人に設定した。また同日開催された外国人力政策委員会は、非専門職外国人労働者のうち、一般雇用許可制に基づく2025年の外国人労働者の受入れ割当数を、人材需要予測を反映して、前年比3万5,000人減の13万人に決定した。

韓国の非専門職外国人労働者受入れ制度

韓国は、国内労働市場で必要な労働力を調達できない企業が合法的に非専門職外国人労働者を雇用することができる雇用許可制度(注1)を2004年に導入した。製造業、造船業、建設業、農畜産業、漁業、サービス業の6分野を対象に非熟練労働者の雇用を許可し、外国人力政策委員会が労働力需要に応じて適正規模の受入割当数を決定している。一般の外国人労働者を対象とする「一般雇用許可制」(在留資格:非専門就業E-9)と韓国系外国人労働者(在外同胞)を対象とする「特例雇用許可制」(在留資格:訪問就業H-2)の2種類がある。

また、農漁村人口の減少、高齢化などによる農漁村の人手不足問題を解決するため、非専門職外国人を短期間(5カ月)季節労働者として合法的に雇用できる制度として「外国人季節労働者プログラム」(在留資格:季節勤労E-8)(注2)がある。韓国の自治体が外国の自治体と直接交渉して季節労働者派遣のための覚書(MOU)を締結した後、外国の自治体が選抜した労働者は韓国の自治体で農漁家に雇用され、外国人季節労働者として働く。誠実な外国人季節労働者は毎年繰り返し韓国で就労することができる。

その他に船員向けの在留資格として「船員就業」(E-10)がある。

非専門職外国人労働者の統合管理体制の構築

政府は2024年6月20日に開催した国政懸案関係長官会議において、「外国人力の合理的管理方案」を発表した。(注3)この中で、これまで外国人労働者を査証タイプ別に、季節勤労(E-8)は法務部、雇用許可(E-9、H-2)は雇用労働部、船員就業(E-10)は海洋水産部が分散管理していた体制を改め、労働市場における外国人労働者の需要の変化に総合的かつ弾力的に対応できるよう、非専門職外国人労働者の総合的管理体制を構築する方針を示した。

これに基づき、政府は2024年12月20日、外国人力統合政策協議会を開催し、分野別専門機関及び所管省庁を中心に策定した業種別人材需給見通しに基づき、2025年の非専門職外国人労働者(E-8~E-10)の導入規模の上限を20万7,100人に設定した。査証別には、一般雇用許可制の「非専門就業」(E-9)は13万人、「季節勤労」(E-8)は自治体の需要調査結果及び農漁村の人口減少を考慮して前年比7,000人減の7万5,000人、「船員就業」(E-10)は2,100人の水準に決定した。

一般雇用許可制の外国人労働者受入れ枠は前年比3.5万人減の13万人

一般雇用許可制の外国人労働者受入れ割当数は、2023年より前は5万人から7万人の水準であったが、産業現場における労働力不足に対応するため、2023年は12万人、2024年は16万5,000人へと急拡大した(図1)。

しかし、2024年は景気の影響や外国人が就労可能な「特定活動」(E-7)や「季節勤労」(E-8)など、その他の在留資格の活用が増加し、一般雇用許可制(在留資格:非専門就業E-9)の需要が減少し、年末までの許可実績が8万人以内になると予想された。このため、外国人力政策委員会は外国人材需要や景気の見通しなどを考慮して、2025年の一般雇用許可制に基づく外国人労働者の受入れ割当数を、前年比3万5,000人減の13万人に決定した。

受入れ割当数には、業種別割当と弾力割当の2種類がある。業種別割当は、「非専門就業」(E-9)の需要予測を反映し、製造業7万2,000人、造船業2,500人、建設業2,000人、農畜産業1万人、漁業8,500人、サービス業3,000人の受入れ枠を設定した。さらに、予期せぬ状況変化に対応するための弾力割当分として3万2,000人の受入れ枠を設定した(表1)。弾力割当分は、業種別割当(9万8,000人)を上回る年途中の人材需要に対応するため、業種を区分することなく運用される。

キム・ミンソク雇用労働部次官は、「2025年のE-9需要を正確に予測して割当数を設定したが、予期せぬ変化が発生しても人手不足解消に支障がないよう、十分な弾力割当分を反映した」と述べた。

図1:一般雇用許可制(E-9)に基づく外国人労働者の導入規模の推移 (単位:人)
画像:図1

出所:雇用労働部プレスリリース「来年外国人材(E-9)13万人導入」(2024年12月20日)

表1:一般雇用許可制度に基づく2025年の外国人労働者受入割当数(単位:人)
合計 製造業 造船業 建設業 農畜産業 漁業 サービス業 弾力配分
130,000 72,000 2,500 2,000 10,000 8,500 3,000 32,000

※製造業:鉱業を含む、農畜産業:林業を含む、サービス業:飲食店を含む

※弾力配分:業種区分なしで年内業種別人材需要に応じて弾力配分

※導入規模の不足状況により、不足業種に弾力配分の分を迅速に配分・活用し、必要に応じて業種間の配分要員を調整して運営

※新規・再入国人員を含む数値

出所:雇用労働部プレスリリース「来年外国人材(E-9)13万人導入」(2024年12月20日)

参考資料

2025年1月 韓国の記事一覧

関連情報

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「王国」建国で観光や施策を推進、鳥取県

10年以上に及ぶ「子育て王国」と「まんが王国」の取り組み

真部保良=グローカルメディア
 
「王国」建国で観光や施策を推進、鳥取県|新・公民連携最前線|PPPまちづくり 配信より
 

「スタバはないけど日本一のスナバはある」――2012年の鳥取県・平井伸治知事の発言は、今でもしばしば引用されるほど鳥取砂丘と鳥取県の知名度を上げることにつながった。この知事の発言をはじめ、「蟹取県」「星取県」など、鳥取県は印象に残るネーミングで地域資源や施策をアピールしてきた。そんな鳥取県には、いくつかの「王国」がある*。そのうち今回は「子育て王国とっとり」と「まんが王国とっとり」にスポットを当て、10年以上にわたるそれぞれの活動と今後の展開について取材した。

*本稿で取り上げる「子育て王国とっとり」「まんが王国とっとり」のほか、「とっとり弥生の王国」「きのこ王国とっとり」などがある。

子育て王国とっとり――18歳以下の医療費を完全無償化

出生数は増加、出生率は全国3位に

 

18歳以下医療費無償化のチラシ(出所:鳥取県)

18歳以下医療費無償化のチラシ(出所:鳥取県)

[画像のクリックで別ページへ]

 鳥取県は、2024年4月から18歳以下の医療費を所得制限なしで完全無償化する。県内では日野町が先行して2022年に同様の制度を試行的に導入していたが、今回はそれを全市町村に拡大した格好だ。これまでは18歳以下の医療費の一部を県と市町村が助成し、患者は通院時に1日当たり530円、入院時に同1200円を支払っていたが、この自己負担をなくす。費用は県と市町村がそれぞれ2分の1を負担する。

 鳥取県によると、都道府県全域を対象に所得制限を設けずに全額無償化するのは全国初という。そのほかにも、3歳~5歳までの子どもの保育無償化(第3子や住民税非課税世帯の保育が必要な子どもは0歳~2歳も無償)、高校生通学費助成など、県の子ども家庭部が中心となり様々な子育て関連施策を進めていった。そうしたこともあり、2022年に鳥取県は出生数が前年から44人増えた。出生数が増えたのは全国で唯一だという。また、県の保育所の待機児童数(年度途中からの希望者を含まない4月1日時点の数)は、2006年度以降、18年連続でゼロが続いている。

 鳥取県では、2010年に「子育て王国とっとり建国宣言」を行い、子育て施策を強化してきた。2008年に合計特殊出生率が1.43(全国17位)と過去最低を記録したことなどを受けてのものだ。2022年の合計特殊出生率は1.60で全国3位。2013年からの10年間の出生率推移を見ると、鳥取県の数値自体こそ大きな増減はないものの、全国の出生率が減少基調であることから全国順位を大きくアップさせている。

合計特殊出生率の推移(出所:鳥取県)

合計特殊出生率の推移(出所:鳥取県)

[画像のクリックで別ページへ]

 

「子育て王国」から「シン・子育て王国」へ

 さらに鳥取県では、国が2023年12月まとめた「こども大綱」「こども未来戦略」と連動する県独自の取り組みとして、 「シン・子育て王国とっとり運動」を推進している。県では、小中高生や子育て中の人からの意見などを踏まえて、既にある子育て関連の3つの計画を包括的に見直し、2023年度中に「シン・子育て王国とっとり計画」として発表。国が24年度から3年間で進めていく「こども・子育て支援加速化プラン」と時期を合わせ、施策を展開していく考えだ。