河村建夫氏と林芳正氏の「代理戦争」と呼ばれた山口県萩市長選挙…今回も保守分裂激化「折り合う余地ない」

読売新聞オンライン 配信より

 

河村建夫氏と林芳正氏の「代理戦争」と呼ばれた山口県萩市長選挙…今回も保守分裂激化「折り合う余地ない」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

 

読売新聞

 山口県萩市長選(9日告示、16日投開票)は告示まで1週間となった。ともに無所属で、再選を目指す現職の田中文夫氏(76)と前市長の藤道健二氏(65)(自民推薦)の事実上の争いになる見通しだ。市は河村建夫・元衆院議員のお膝元で、前回選は河村氏の実弟・田中氏と林芳正官房長官が推した藤道氏の一騎打ちとなり、河村、林両氏の“代理戦争”と言われた。今回も自民党萩支部の全役員が突然交代するなど、前回と同じ構図の保守分裂選挙の前哨戦は激しさを増している。(木崎俊勝) 【当選】安倍元首相「お膝元」保守分裂の山口県長門市長選は安倍家支えた現職が当選(2023年)

 「明るく元気な萩のため、1期目の政策を前に進める」。田中氏は昨年12月の市議会でこう語り、立候補を表明した。前回選は県議を辞して臨み、現職だった藤道氏を破った。今回は市政継続を訴え、県議時代の後援会員らが支える。

 藤道氏は昨年11月、市内で開いた出馬会見で現市政について「国、県との連携を欠き、山陰道や医療体制の整備などが進んでいない」と批判。前回と同様、林氏に近い新谷和彦・自民党県連会長や地元県議らの支援を受ける。

 前回選後、林氏は2021年11月の衆院選で参院山口選挙区から萩市を含む旧衆院山口3区にくら替えし、同区を地盤とした河村氏は引退した。林氏は昨年10月に新区割りの衆院山口3区で再選を果たした。

 今回市長選では、河村氏の選挙を長年支え、「旧河村派」の“最後のとりで”とされる田中氏に対し、「林派」が主流の党県連から支援を受ける藤道氏が巻き返しを図る。市議会の市長派と反市長派は半分に割れており、林氏の後援会員は「同じ保守だが、折り合う余地はない」と語気を強める。

自民党支部の全役員が交代

 昨年12月に開かれた同党萩支部の臨時総会で、田中氏に近い当時の支部幹事長・関伸久市議ら全役員が退任となり、新支部長に選出された萩市・阿武町選挙区の岡生子県議に一任する形で、その後、新役員が決まった。

 岡氏は全役員の交代について「国、県と疎遠な関係を続ける支部の正常化が目的で改善を求めていた」と主張。岡氏は市長選では藤道氏の支援に回る。

地元の同党関係者の間では、役員交代劇は市長選で藤道氏の党県連推薦を後押しし、藤道氏を支援しやすくする「主導権争い」との見方もある。

 関氏ら前役員11人は1月、退任を不服として地位回復などを求める異議申立書を新谷県連会長と岡氏に提出。臨時総会の開催に向けて集められた署名について「趣旨の説明がないまま求められたとの声が届いている」などと訴えている。

 関氏は「異なる意見や立場の者を排除するのでは政治への信頼が損なわれる」と批判。市長選では田中氏を支援する。

 萩支部の混乱について、田中氏は「臨時総会のやり方は強権的。市長選では市民の側に立って現場の声を聞き、正々堂々と戦うだけだ」と言い切る。

 藤道氏は、役員交代劇について「当選後の市政運営が円滑に行える」と理解を示し、「国、県とのパイプを持つことを有権者に明示する」と強調する。

 市長選には、新人で政治団体代表の佐々木信夫氏(86)も立候補を表明している。

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