6G通信用でRF半導体需要が拡大
化合物半導体の世界市場は、2024年見込みの4兆4584億円に対し、2031年には7兆9920億円規模に達する。今後はLEDチップやパワー半導体が市場拡大に寄与する。富士キメラ総研が市場調査し、2031年までの予測を発表した。
2025年02月20日 09時30分 公開
[馬本隆綱,EE Times Japan]
化合物半導体市場、2031年に7兆9920億円規模へ:6G通信用でRF半導体需要が拡大 - EE Times Japan 配信より
Micro LED、ウェアラブルデバイスでの需要増に期待
富士キメラ総研は2025年2月、化合物半導体の世界市場を調査し、2031年までの市場予測を発表した。2024年見込みの4兆4584億円に対し、2031年には7兆9920億円規模に達すると予測した。今後はLEDチップやパワー半導体が市場拡大に寄与するとみている。
今回の調査は、光半導体やRF半導体、パワー半導体といった化合物半導体および、基板などの関連部材、そしてデータセンターや自動車などのアプリケーション市場を対象に行った。調査期間は2024年8~11月。
化合物半導体の世界市場は、電気自動車(EV)関連でパワー半導体の需要が落ち着いている。これに対しAIやデータデンターに向けた化合物半導体の採用が活発になってきたという。この結果、2024年の市場規模は前年比10.6%増の見込みである。RF半導体は第6世代移動通信(6G)向け投資が活発化する2028年以降に期待する。
今後、市場の伸びが期待できるのは、Mini LED・Micro LEDやパワー半導体だという。Mini LED・Micro LEDは、次世代ディスプレイとしてXRやLEDディスプレイ、車載向けなどが増加する。パワー半導体はSiC on SiCが需要をけん引し、自動車関連で採用が進むとみている。
化合物半導体関連部材の世界市場は、2024年見込みの9838億円に対し、2031年は1兆9081億円と予測した。SiC基板は単価が下落したものの、GaAs基板やGaN基板の需要が伸びたこともあり、2024年は前年に比べ2桁近い伸びを見込む。今後は、SiC基板に加え、GaAs基板やVCSEL(垂直共振器型面発光レーザー)の需要増加に期待する。
こうした中、富士キメラ総研が今後の注目市場として挙げたのが、「Mini LED・Micro LED」や「RF半導体」「ダイヤモンド基板」である。
Mini LEDはバックライトユニットやLEDディスプレイなどに用いられている。市場規模は2024年見込みの3152億円に対し、2031年は8336億円と予測した。Micro LEDは、チップサイズが1辺50μm以下、もしくは両辺が100μm以下でベース基板がはがされた製品である。現在は応用市場が限定されているものの、今後はウェアラブルデバイスなどへの搭載が増えるとみている。このため、Micro LEDの市場規模は、2024年見込みの55億円に対し、2031年は9600億円に膨らむと予測した。
Mini LED・Micro LEDの市場規模予測[クリックで拡大] 出所:富士キメラ総研
RF半導体の市場規模は、2024年見込みの1兆6784億円に対し、2031年は2兆7216億円と予測した。市場をけん引するのはモバイル機器向けパワーアンプ(PA)に搭載されるGaAsのRF半導体である。
また、基地局のアンテナとRFを一体化したMassive MIMOに搭載されるGaN PAモジュールでは、GaN on SiC RF半導体が採用されている。しかも1本のアンテナには、今後64個以上のPAモジュールが搭載される見通しで、RF半導体の需要はさらに拡大する。6G通信では、InP RF半導体の採用も検討されている。
ダイヤモンド基板の市場規模は現在わずかだが、20231年には469億円と予測した。ダイヤモンド半導体は熱伝導率や絶縁耐性に優れている。このため、Beyond 5Gや衛星通信、耐放射線デバイス、量子分野などでの応用が期待されている。とりわけ、データセンターで用いられる放射線センサーなどの開発が進んでいるという。
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山口県が台湾有数の金融機関と産業交流促進へ覚書締結
山口県が台湾有数の金融機関と産業交流促進へ覚書締結|NHK 山口県のニュース 配信より
山口県は、台湾有数の金融機関、「台新フィナンシャルホールディングス」と、互いに事業に協力したり、事業投資を促進したりするための産業交流に関する覚書を交わしたことが、関係者への取材でわかりました。
県としては、半導体関連企業の県内への誘致などを視野に、地域経済の活性化につなげたい狙いがあるとみられます。
関係者によりますと、台湾を訪問中の山口県の村岡知事は、21日、台湾有数の金融機関、「台新フィナンシャルホールディングス」の会長と面会し、産業交流に関する覚書を締結したということです。
このなかでは、両者が、相互理解の促進に努めることや、それぞれの事業に協力すること、それに、双方に対する事業投資を促進するため協力することが盛り込まれています。
具体的な取り組みについてはこれから協議するということですが、山口県としては、半導体産業が盛んな台湾との交流を進め、半導体関連企業の県内への誘致などを視野に、地域経済の活性化につなげたい狙いがあるとみられます。
台湾の半導体企業誘致をめぐっては、去年(令和6年)12月、台湾の「TSMC」が、熊本県に建設した工場を本格稼働しています。
山口県では、去年2月、台湾の産業技術の研究機関、「工業技術研究院」などと半導体産業の交流促進に関する覚書を結び、去年11月には、山口市内で県内と台湾の企業の商談会を開くなど台湾との交流が活発となっています。
山口県の村岡知事は21日、訪問先の台北でNHKの取材に応じ、台湾有数の金融機関「台新フィナンシャルホールディングス」との間で産業交流に関する覚書を交わしたことを明らかにしました。
その上で「山口県と台湾の産業の発展につながるような取り組みを一緒に進めていきたい」と述べ、覚書を通じた山口県と台湾の企業の関係強化に期待を示しました。
そして、「産業や観光、文化や教育など、さまざまな面で台湾との連携を強めていきたい」と強調しました。