24時間後に母救出 「大丈夫」40センチの隙間に声かけ続けた息子
朝日新聞社配信より
24時間後に母救出 「大丈夫」40センチの隙間に声かけ続けた息子(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース
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土砂崩れにあった直後の一二三秀仁さん宅。つぶれた1階の左側付近に母親が閉じ込められていた=2024年9月21日午前9時40分、石川県輪島市町野町西時国、一二三さん撮影
降り続く雨は激しくなった。
停電して、気象情報も見られない。
21日午前9時15分ごろ、石川県輪島市町野町西時国にある
岩倉寺の住職一二三秀仁(ひふみしゅうにん)さん(55)は、迷っていた。
寺も、隣の自宅も、山の中にある。
「部屋の中でも、崖から離れたところにいなよ」。
外に出るのは危険かもしれないと判断し、
母親の良子さん(82)に声をかけて、2階に上がった。
それから15分ほど。体が吹っ飛ばされた。窓ガラスが割れた。自宅は基礎から外れ、20メートルほどずれた。
窓から外へ出た。2階の床は傾き、1階はつぶれていた。
崖側は土砂にまみれていたが、反対側は地面との間に40センチほどの隙間があった。
良子さんの姿は確認できなかったが、その辺りから声がした。
1階とつながる階段は、4段下から先がなくなっていた。
布団や座布団を落とし、靴下のまま飛び降りて、1時間ごとに良子さんに声をかけることにした。
その都度「大丈夫や」と返ってきた。
22日午前7時に消防が到着した。2階の床をチェーンソーで切ると、良子さんの姿が見えた。
質問にしっかりと受け答えしていたが、水につかっていたからなのか、手は真っ白だった。
バスタオルで体を拭き、2階の布団の中に寝かせると、少しずつ手も温かくなった。
午前11時ごろ、防災ヘリで輪島市内の病院へと向かった。
良子さんによると、隙間は次第に狭まり、30センチほどになった。
うつぶせのまま救助を待ったが、「いつかつぶされるのでは」と不安だったという。
「やっと助けられて、本当に良かった」と秀仁さんは振り返った。
(滝坪潤一)
朝日新聞社
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