【夏の甲子園】延長10回に大社の真骨頂、研ぎ澄まされたセーフティースクイズ 「常に研究」の園山、絶妙のスタートを切った下条
配信より


タイブレークの10回表大社1死二、三塁、園山が投前スクイズを決める=甲子園
無死一、二塁で始まるタイブレークは「2点の奪い合い」とされる。延長十回表、大社が相手の悪送球で1点を勝ち越した1死二、三塁。「もう1点取る。自分が決めれば勝てる」。是が非でも追加点が欲しい場面で打席に入った8番園山純正は重圧を楽しんでいた。
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石飛文太監督が出したサインはセーフティースクイズ。相手内野陣がチャージしてこないのを確認した園山は、2ボールからの3球目を難なく投前に転がし、リードは2点に広がった。「決めてくれると信じていた」という指揮官の期待に応えた。
セーフティースクイズは打者がバントし、打球を見て走者が本塁に走る。どんな球でもバントするスクイズと異なり、打者がストライクと判断した球のみ試みる。打者はコースを狙う技が問われ、走者は打球の勢いやコース、自らのスタートを瞬時に判断し、本塁突入するかどうかを決める。
「バントでどこに当てたらどう転がるかを常に研究している」と園山。難しい判断を迫られた三走下条心之介も絶妙のスタートで本塁を陥れた。島根大会同様に勝負どころで小技で得点する大社の真骨頂とも言えるプレーだった。
振り返れば1点ビハインドで迎えた八回に追い付いた場面も園山のスクイズだった。1死二、三塁でウエスト気味に見える外角高めのボール球に体を投げ出し、顔の前で捉えて投前に転がした。「足がつくほど低く膝を曲げ、バットは下ろすだけだと言い聞かせて打席に入った」と冷静に振り返った。
大砲不在の今季のチーム。1点の重みが増す展開に備え、徹底的にバントを鍛えてきた。この日記録したのは5犠打。派手さはないが、守る相手にとってはこの上なく嫌な野球が完成しつつある。研ぎ澄まされた小技が大社の一番の強みになっている。
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