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新型コロナ 2月に感染した30歳代女性 今も続く倦怠感 「KP.3」でも後遺症が出る可能性…患者11週連続増
新型コロナ 2月に感染した30歳代女性 今も続く倦怠感 「KP.3」でも後遺症が出る可能性…患者11週連続増 | ヨミドクター(読売新聞) (yomiuri.co.jp)
配信より
厚生労働省は26日、直近(7月15~21日)の1週間に報告された新型コロナウイルスの感染者数が、1医療機関あたり13.62人だったと発表した。
前週の11.18人の1.2倍で、11週連続で患者が増えている。
依然として九州で感染者目立つ
厚生労働省の資料を基に作成
都道府県別では、佐賀県が31.08人、宮崎県が29.72人、鹿児島県が27.38人、熊本県が27.13人、大分県が24.02人、高知県が23.32人、長崎県が23.13人の順で、九州での感染者が目立つ。
沖縄県は22.06人で、2週連続で減った。
現在、流行の主流となっているのが「JN.1」系統の「KP.3」というタイプだ。強い喉の痛みが出て、発熱するのが特徴だという。
「気のせい」と思い込む
「JN.1」系統は、重症化することが少ないとされている。だが、治ったあとも後遺症に苦しむ患者は少なくない。
埼玉県内に住む30歳代の女性は今年2月、朝、目覚めると、せきや鼻水、 倦怠
感といった症状があり、39.4度の熱も出た。会社を休み、近くのクリニックで検査を受けると、新型コロナに感染していることが分かった。
今年2月に新型コロナに感染した女性。倦怠感に悩まされ、今も漢方薬を服用している
抗ウイルス薬などを服用し、熱は3日ほどで下がった。せきや鼻水もすぐに治まったが、倦怠感は残った。感染前に夜眠れないことはなかったが、午前3~4時くらいになるまで寝つけない。起きている時も頭がぼーっとして、集中力の低下を感じた。
それでも「気のせい」と思い、処方された風邪薬を服用するなどして自宅で静養した。2か月以上たって、受診先のクリニックで「新型コロナの後遺症かもしれない」と指摘され、「コロナ後遺症外来」を開設している 公平
病院(埼玉県戸田市)を紹介された。
強い不安感も
血液検査やエックス線検査などを受けて、ほかの病気がないことが確認され、新型コロナ感染の後遺症と診断された。
女性は「マスクを着用し、手洗い、消毒、うがい、換気を徹底し、ワクチンも接種してきましたが、今回、初めて新型コロナに感染しました。あれだけ予防策を講じていたのに、どうして自分がなってしまったのだろう」と激しく落ち込んだという。「今後、もう一度感染してしまったらどうしよう」という不安感も強い。
女性は、身体虚弱の治療に使われる漢方薬「 人参養栄湯
」を処方され、今も飲み続けている。最近、ようやく、体がだるいと感じることは少しずつ減ってきた。女性は「会社の人たちは皆、心配してくれました。現在は週3回の勤務にしてもらっていますが、4回、5回と増やしていき、感染前の生活を取り戻したいです」と話す。
後遺症が出る人は感染者の10%?
同病院院長の公平誠さんは「これまで何度も感染の『波』を繰り返し、ウイルスも次々と変異していますが、後遺症が出る頻度は当初とあまり変わっていません。今、主流のKP.3でも新型コロナが治った後で、倦怠感などの症状に悩まされている人はいます。一定頻度で後遺症が出る可能性があります」と指摘する。一般的には、新型コロナにかかった人の10%くらいに後遺症の症状が出ると考えられている。
公平さんによると、後遺症の主な症状は、倦怠感、体の痛み、せき、頭痛、脳に霧がかかったように頭がボーっとする「ブレーンフォグ」、不眠だ。以前、注目された嗅覚や味覚の障害を訴える人は減ったという。症状は、新型コロナ感染中から出現するものもあれば、感染性がなくなってから出てくるものもある。症状が3か月以上続く場合は、後遺症を疑う。血液検査などをして、症状の原因となっている病気がほかになければ、後遺症と診断する。コロナ後遺症外来を受診する患者は30~40歳代の女性が目立つという。
倦怠感には日記が有効
公平さんは「後遺症に対する治療薬はなく、症状を取るための対症療法を行います。倦怠感に対しては、毎日日記をつけることをお勧めします。症状が悪くなった時に読み返し、前日にどのように生活したかを振り返ることで、何をしたら翌日に体調が悪くなったか気づくことにつながります」と説明する。
治るには、3か月、半年、年単位と長い時間を要するという。公平さんは「働いている人は、職場で体に負担がかからない働き方ができるようにしてもらうなど、周囲の理解を得ることが大切です」と話している。
(読売新聞メディア局 利根川昌紀)
こうだいら・まこと 埼玉県戸田市出身。2004年千葉大学医学部卒。がん研究会有明病院、国立がん研究センター中央病院に長年勤務し、16年より医療法人慈公会公平病院院長。地域の患者の多様な医療ニーズに応えるべく、スタッフ育成や自治体との連携などにも力を入れる。専門は内科・腫瘍内科。
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〇 医学思想の源流
レスター キング/西村書店
〇 千葉大学病院 病院感染予防対策パーフェクト・マニュアル
石和田 稔彦 (千葉大学真菌医学研究センター感染制御分野),井上 智香子 (千葉大学医学部附属病院看護部・感染症管理治療部),千葉 均(千葉大学医学部附属病院看護部・感染症管理治療部)/診断と治療社
〇 千葉大学病院 病院感染予防対策パーフェクト・マニュアル 改訂第2版
猪狩 英俊/診断と治療社