もう「爆発的な伸び」望めない国内線 ANA HD、断念の「三菱スペースジェット」後継は「1年かけて議論」

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もう「爆発的な伸び」望めない国内線 ANA HD、断念の「三菱スペースジェット」後継は「1年かけて議論」(J-CASTニュース) - Yahoo!ニュース

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2017年のパリ航空ショーでMRJ(当時)の実機が初めて披露された。塗装はANA仕様だった(写真:中尾由里子/アフロ)

 

コロナ禍を経て国内線の需要は回復基調で、この大型連休も多くの乗客でにぎわった。

 

ただ、人口減を踏まえると、今後の「伸びしろ」が乏しいのも事実だ。

 

航空会社にとっては、小さい機材に切り替えて効率を上げ、ネットワークの維持を図るのが課題だ。

 

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この役割の一翼を担うはずだったのが、三菱重工業が子会社を立ち上げて開発を進めていた

 

「三菱スペースジェット」(SJ、旧MRJ)だが、2023年に開発断念が発表された。  

 

今後の焦点は、SJに代わる小型機となる。ANAホールディングス(HD)の芝田浩二社長は

 

24年4月26日の決算会見で、今後1年かけて議論を深めていきたい考えだと話した。 

 

■課題は「マーケットに合った100席前後の飛行機」の調達  

 

SJは08年に持ち株会社移行前のANAが、世界で最初に機種を発注する「ローンチ・カスタマー」として

 

25機(うち確定発注15機、10機仮発注)を発注すると発表。

 

この時点では「13年以降」の導入を目指していた。実現すれば「国産初」のジェット旅客機になるはずだった。

 

だが、トラブルが相次ぎ納入を6回にわたって延期した末、23年2月に開発の断念を発表していた。

 

08年に発表された仕様では、座席数は86~96席を想定していた。  

 

芝田氏はSJ開発中止発表直後の23年2月、23~25年度中期経営戦略に関する記者会見で、

 

(1)SJの納入が遅れる中、代わりの機材を手配してカバーしてきた

 

(2)25年度以降は改めて機材の選定が必要になる、

 

などと説明してきた。  

 

今回の24年4月の記者会見では、コロナ禍からの需要の戻りについて説明する中で、 

 

「国内線でいうと、今後、相対的に爆発的な伸びというのは、おそらく人口減も相まって望めない。

 

マーケットに適した機材の投入が非常に大事になってくると思う」

 

 として、SJに代わる形での

 

「マーケットに合った100席前後の飛行機と、ここの調達が、今後、課題になってくる」とした。

 

「1年かけて、機材選定については議論を深めていく」

 後継機種については 「先ほど申し上げた方針に従って、エアバス、ボーイング...実際、MRJ、

 

スペースジェットの後継機候補としては、ボンバル...エンブラエルですね、

 

こういったところも出てくるので、候補となるメーカーについては、

 

しっかりと公平、公正にお声がけしていきたい」 などと発言し、

 

米ボーイング、仏エアバス、ブラジルのエンブラエルなどを挙げた。  

 

カナダのボンバルディアは小型ジェット機「CRJ」シリーズを製造していたが、

 

すでに製造を終了。

 

製造終了後の事業の主軸は保守管理で、その事業も19年に三菱重工業に売却している。  

 

こういったメーカーとの交渉の状況について問われると、

 

「候補、ワンオブ候補(候補のひとつ)。今、足元でしっかり我々がアプローチをしているとか、話をしているとか、そういうことではない。1年かけて、機材選定については議論を深めていく」

 

とした。  

 

芝田氏が言う「100席前後」のジェット旅客機としては、エアバスがボンバルディアから買収した

 

A220シリーズ、エンブラエルのE-JET E2シリーズなどがある。

 

 (J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

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