住商、アンモニア燃料供給検討。北米西岸、カラムコと27年から

配信より
カラムコが運用するアンモニアターミナル 
カラムコが運用するアンモニアターミナル

 住友商事は米国のアンモニア小売事業者であるカラムコなどと共に、北米西岸で船舶向けクリーンアンモニア燃料供給の事業化に向けた共同検討を開始する。

 

カリフォルニア州のオークランド港やベニシア港などで、2027年から自動車船やコンテナ船にアンモニア燃料を供給することを目指す。

 

同州のロサンゼルス港・ロングビーチ港といった大型コンテナ港に供給範囲を広げることも視野に入れる。

 

住商などは船舶用次世代燃料として期待されるアンモニア燃料の供給ネットワークを構築し、海運の脱炭素化を後押しする。

 

 住商とカラムコ、米国船社トーテサービス、米国船級協会ABS、香港の船舶管理大手フリートマネジメントの5者で共同検討を実施する。

 

 アンモニアは燃焼時にCO2(二酸化炭素)を排出しないため、船舶用次世代燃料の最有力候補の一つと目されている。

 

特にクリーン水素を原料として製造されるクリーンアンモニアは、海運業界だけでなく、世界の脱炭素化への貢献が期待されている。

 

 カラムコはカリフォルニア州最大のアンモニア小売事業者。

 

同社は27年ごろにアンモニアの輸入を停止し、環境負荷の低いクリーンアンモニアの地場生産へ切り替えを予定している。

 

 今回はカラムコの輸入停止を機に、同社がストックトン港(カリフォルニア州)で保有するアンモニアターミナルを活用。

 

近隣のベニシア港に寄港する自動車船やオークランド港に寄港するコンテナ船にアンモニア燃料を供給することを検討する。

 

 燃料の供給方式はアンモニアバンカリング(燃料供給)船を活用したシップ・ツー・シップ(STS)方式を想定している。

 

トーテが保有・運航し、住商が定期用船する予定だ。

 

 供給するアンモニア燃料は、地場生産のほか、南米からグリーンアンモニアを調達することも検討する。

 

関係当局や専門家の協力を得て、バンカリング船のオペレーションガイドラインや法規制の整備に取り組む。

 

 住商が船舶向けアンモニア燃料供給の事業化を検討するのは、シンガポール、北米東岸、オマーンに続き4カ所目。

 

 海運の脱炭素化に向けて、アンモニア燃料船の実用化に向けた研究開発が加速している。

 

実用化に向けた課題となっているアンモニアの難燃性や毒性への対応についても克服できるめどが付きつつある。

 

 住商は船舶用燃料供給事業で培った知見を生かし、パートナーと連携しアンモニア燃料の供給網の構築を進めている。

 

また、グループ会社の大島造船所などと協力し、アンモニア燃料ハンディマックスバルカーの建造も検討している。

 

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