わずか3年、砕けた「完全復興」 回廊崩落、歌碑は真逆に―輪島市の総持寺祖院・能登地震
2024年01月16日07時05分
わずか3年、砕けた「完全復興」 回廊崩落、歌碑は真逆に―輪島市の総持寺祖院・能登地震:時事ドットコム (jiji.com)
配信より

地震で被害を受けた総持寺祖院で取材に応じる副監院の高島弘成さん。背後に見えるのは崩落した文化財「禅悦廊」=14日午前、石川県輪島市門前町
能登半島地震では、約700年の歴史がある
石川県輪島市門前町の寺院「総持寺祖院」も甚大な被害を受けた。
2007年3月の地震被害から「完全復興」を宣言して、3年足らずで起きた惨事。
関係者は「14年間の苦労が一瞬でこんなことになるとは。今は言葉にならない」と肩を落とす。
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14日、寺の運営を担う副監院の高島弘成さん(50)と、石畳が無残にめくれあがった敷地内を歩いた。
国の登録有形文化財である回廊「禅悦廊」は大きく崩れ落ち、山門の階段や石灯籠など、
目に入るものほとんどが大きく損壊している。
境内にあった大きな歌碑は、回転して真後ろを向いており、揺れの激しさを物語っていた。
この寺は07年の地震でも大きな被害を受けたが、14年間かけて修復や耐震工事を終え、
開創700年に当たる21年の4月に「完全復興」を記念した落慶式を営んだばかりだった。
高島さんによると、約30の建物のうち、17棟が国の登録有形文化財で、
その全てに深刻な被害が及んでいるという。
「寺は門前町のよりどころであるだけでなく、前の地震からの復興のシンボルでもあった」と話す高島さん。
新型コロナウイルス禍を経て参拝者の数も戻りつつあっただけに、落胆の色は濃い。
「今できることを一つ一つやっていくしかない。
その向こうに、先人の成し遂げてきた復興があると思う」と前を向いた。
歴史ある寺と共に栄えてきた「総持寺通り商店街」も、
立ち並ぶ店舗のほとんどが被害を受け、存続を危ぶむ声が上がる。
洋服店「シモグチ」の下口洋子さん(78)は
「もともとこの商店街は高齢化が進んでいた。
もしお寺が復興できたとしても、
避難先から戻ってまたお店をやれる人は少ないのでは」
と表情を曇らせた。
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