【春高バレー2024 開幕直前特集】「歴史に残る大激闘、滋賀の絶対王者・近江を土俵際まで追い込んだ比叡山」

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【春高バレー2024 開幕直前特集】「歴史に残る大激闘、滋賀の絶対王者・近江を土俵際まで追い込んだ比叡山」(関西テレビ) - Yahoo!ニュース

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関西テレビ

滋賀県決勝戦、コート上で輪になる比叡山の選手たち。

いよいよ、明後日1月4日(木)から、全日本バレーボール高等学校選手権大会(春の高校バレー2024)が、東京体育館で開幕する。今年も近畿2府4県から男女14校が出場するが、出場校の選手たちは、それぞれの府県の代表として、他校の選手たちの思いを背負って夢舞台に立つ。 11月に行われた近畿地区の代表決定戦は、例年になく、フルセットの試合が多かった。女子の和歌山県決勝戦・和歌山信愛対開智、男子では、京都府決勝戦・洛南対東山、奈良県決勝戦・添上対天理、そして滋賀県決勝戦・近江対比叡山。実に4試合がフルセットの手に汗握る大激戦となった。 その中でも、滋賀県男子決勝・近江対比叡山は、記憶に残る名勝負だった。3年連続の決勝戦同一カード、20年連続春高全国出場を掴んできた滋賀の絶対王者・近江に対し、初の春高全国を目指す比叡山が、粘り強さと、相手の意表を突くコンビバレーを展開し、一度は王者を土俵際まで追い込む、フルセットの激闘となった。

●第1セットはブロック合戦で近江が先取

今夏、ディフェンスを強化してきた王者・近江。試合開始序盤、MB・伊達清穏(しおん・2年)が比叡山のスパイクを2連続ブロックでシャットし、その成果をいきなり発揮する。一方で比叡山のMB・中村悠暉(ゆうき・2年)も近江のエース・神戸世成(せなり・3年)をシャットアウトするなど、両チームのミドルブロッカーが活躍し、終盤まで一進一退の展開に。しかし、最後は近江OH・木村夢瑳心(むさし・1年)のブロックポイントで、近江が第1セットを取り切った。

●MB・中村が軸となり比叡山が反撃開始。8年ぶり、代表決定戦で近江からセットを奪う。

第2セット、13-12と比叡山が1点リードの場面。比叡山は、MB・中村が後衛でもリベロと交代せずセンターバックに入るとバックアタックで得点。さらに14-13の場面でも、中村が自らのサーブカットからバックアタックを決め、そこから3連続ポイントとなり近江を突き放した。焦りが見え始めた近江に対し、前衛に上がった中村は1人時間差を決め、さらに揺さぶりをかけると、今度はその中村がおとりとなって時間差でOH・島田修汰(2年)が強烈なスパイクを打ちこむ。徐々に比叡山が流れを掴み出した。   さらに会場をわかせたのは22-20の場面。比叡山はサーブカットからのスパイクがダイレクトで返って来ると、後衛のMB・中村がセットに入った。すると前衛のセッター・小川祥汰(2年)がライトへ下がりそのままスパイクを打ち、得点とした。セッターのスパイクに会場がどよめく中、セットポイントでもMB・中村がトスを上げ小川が得点。8年間、代表決定戦では、1セットも落とさずにきた近江から、比叡山が遂に1セットを奪い返したのだ。

●比叡山が夏から温め続けた「奇策」

チーム最長身187cmのMB・中村がトスを上げ、リベロを除き169cmとチームで一番身長の低いセッター・小川がスパイクを決める。超変則的なツーセッターという形に会場がわいた。 実は、比叡山が夏から温めてきた作戦で、7月の近畿大会では1プレーのみ実戦で試していた監督の「奇策」だった。 現在187cmのMB・中村だが、中学校入学当初は身長が154cmということもあり、中学時代はリベロをする機会が多かったという。他にもセッターやサイドスパイカーなどあらゆるポジションを経験してきた中村。トスを上げることや、バックアタックに入ることも彼にとっては「普通」のことで、特別難しいことではなかったのだ。 そしてセッターの小川と見せた絶妙なコンビネ―ションは中学生の時、部活動とは別に参加していた週1回のクラブチームの活動で培ったものだった。中学校は別だが、同じクラブチームでプレーしていた中村と小川。中学3年間でみるみる身長が伸びた中村はサイドスパイカーをするようになると、小川のトスを打つ機会もあったそうだ。 この奇策がここ一番で上手くはまったのは、監督が選手たちの特徴をうまく見極めた結果といえるだろう。

●王者・近江を追い詰めるも「勝負を分けた」第4セット

第2セットを取り、流れを引き寄せた比叡山は、続く第3セットも中盤で6連続ポイントを奪うなど一気にリード。要所でエースのOH・西川武志(3年)がポイントを決め、このセットも取り、夢の全国まで、先に王手をかけた。  しかし勝利が近づいた勝負の第4セット。序盤、比叡山はミスで連続失点を喫する。 「ミスの流れを切り替えることができなかった。」(OH・西川)と振り返るように、ブロックタッチを狙ったスパイクはアウトになるなど苦しい展開に。一方で落ち着いて得点を決める場面が増えた近江がセットを取り返した。 そして迎えた運命の第5セット。終盤までもつれたが、近江のMB・伊達の2連続ブロックで抜け出し、最後はエースのOH・神戸が決め、セットカウント3-2で近江が春高全国の切符を掴み取った。 勝利した近江の名将・太田勝之監督が目に涙を浮かべながら「しんどかった」という言葉をこぼすほどの激闘となった一戦。 敗れた比叡山の塚本達也監督は「2、3セットは自分たちのいつも通りのプレーを出せたが、最後は王者の近江にやられてしまった」と悔しさを口にした。 滋賀の王者・近江をあと一歩のところまで追いつめた比叡山。塚本監督が「コートの中では監督のような存在」と頼りにするセッターの小川と、今大会抜群の存在感を見せたMB・中村はまだ2年生。この悔しさを糧に、これからどのような成長を見せてくれるか、楽しみな存在だ。 そして、大激闘を制した近江は、21年連続39回目の春高全国の舞台に立つ。昨年は、エース・三杉遥(現近大1年)を擁し、ベスト8まで勝ち進んだが、京都・東山に敗れた。今年は1回戦、大会1日目に岐阜代表・県立岐阜商業と対戦する。今年こそ、まだ辿り着いていないセンターコート(ベスト4)を目指す。

 

●1月4日(木)大会1日目~男女1回戦~ 近畿地区代表校の試合予定

10:30 男子 昇陽(大阪)vs 土浦日大(茨城) 

 

10:30 女子 福岡女学院(福岡) vs氷上(兵庫) 

 

11:30 女子 國學院栃木(栃木) vs 近江兄弟社(滋賀) 

 

12:40 女子 京都橘(京都) vs 城南(徳島)

 

12:40 男子 東海大相模(神奈川) vs 市立尼崎(兵庫)

 

12:40 女子 秋田令和(秋田) vs 和歌山信愛(和歌山) 

 

13:50 男子 弘前工業(青森) vs 開智(和歌山) 

 

15:00 男子 洛南(京都) vs 新田(愛媛) 

 

15:00 女子 奈良文化(奈良) vs 富士見(静岡)

 

 15:00 男子 近江(滋賀) vs 県岐阜商(岐阜) 

 

16:10 女子 金蘭会(大阪)vs三重(三重) 

 

16:10 男子 佐賀学園(佐賀) vs 添上(奈良) 

 

17:20 男子 花巻東(岩手) vs 清風(大阪)

 

取材:粟津智子

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