新作バレエで鳥取発信 県文化振興財団 「赤毛のアン」制作発表

日本海新聞 配信より

 

新作バレエで鳥取発信 県文化振興財団 「赤毛のアン」制作発表(日本海新聞) - Yahoo!ニュース

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制作発表にあたり意気込みを語った(左から)井田氏、山本理事長、山本氏=11日、鳥取市のとりぎん文化会館

 

鳥取県文化振興財団は11日、来年10月に上演するオリジナル新作バレエ「赤毛のアン」の制作発表会を開いた。

 

日吉津村出身の指揮者・井田勝大氏が指揮と音楽監督を務める他、県内のバレエ教室に通う子どもらがプロのバレエダンサーと同じ舞台に立つなど、鳥取の芸術振興や新しい文化の発信を目指す。  

 

同財団が主催し、日本アニメーションやカナダ大使館の協力を得て制作する。

 

地域と共に作り上げていくことを目指し、県内のバレエダンサーやバレエ教室に通う子どもら総勢83人を出演者としてオーディションで選考した。  

 

井田氏は「自分が動くことで世界が広がることを、アンの物語を通して感じ、楽しんでほしい」と意気込み、同財団の山本仁志理事長は「バレエに初めて触れる人にも見てもらい、裾野を広げたい。ぜひ多くの皆さんにご覧いただければ」と話した。  

 

来年10月13日に鳥取市のとりぎん文化会館で上演予定。振り付け・演出は、世界で活躍する若手振付家の山本康介氏、台本は境高校教諭で劇作家の大和屋かほる氏が務める。

 

日本海新聞

 

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美術館に併設されている「鳥取ヴァイオリン製作学校」=鳥取県三朝町

 

美術館に併設されている「鳥取ヴァイオリン製作学校」=鳥取県三朝町

山陰の名湯・三朝(みささ)温泉(鳥取県三朝町)にある「三朝バイオリン美術館」は国内唯一の弦楽器に特化した音楽施設だ。10年前に開館し、バイオリン製作に関する展示と、プロのバイオリン奏者らによるコンサートを定期的に開催。バイオリン製作の職人を養成する3年制の学校も併設しており、バイオリンをはじめビオラやチェロ、コントラバスの弦楽器を中心に、温泉地を「バイオリンの聖地」とすることを目標に掲げている。

 

合掌造り風の屋根が特徴的な「三朝バイオリン美術館」。弦楽器に特化した国内唯一の美術館だ=鳥取県三朝町

 

合掌造り風の屋根が特徴的な「三朝バイオリン美術館」。弦楽器に特化した国内唯一の美術館だ=鳥取県三朝町

文化拠点で観光誘客施設

バイオリン美術館は、三角屋根が特徴的な合掌造り風の建物。2階のホールは天井が高く音の響きが良いと聴衆、演奏者からも評判だが、元々は演奏用に造られたわけではない。

 

昭和59年春の開館時は町立美術館で、民俗資料の保存展示や工芸技術の体験ができる施設として建てられた。主に版画や絵画、陶器などの展示を行ったが、経営は思わしくなく平成16年に閉鎖。2年後に町内の文化活動の拠点として再オープンしたあと、25年に指定管理者制度を導入し、隣接する倉吉市在住のバイオリン製作家、岡野壮人(たけひと)さん(41)に管理を委託した。

 

「文化活動の拠点であると同時に観光誘客施設」

町観光交流課長補佐の竹本将樹さんは、同美術館の役割についてこう説明する。指定管理移行前の24年に岡野さんが同美術館で開催したバイオリン製作などの展示「弦展」が39日間の会期中に2千人以上の入場者を集め、好評だったことが指定管理の決め手になったと振り返った。

 

バイオリンなど弦楽器の製作と演奏がテーマで、1階にはバイオリンができるまでの工程と製作のための道具や材料の展示、ほかに鳥取県ゆかりのバイオリン製作者、遠藤周孝氏の歩みや道具などを展示する部屋がある。2階はコンサートホールで、壁面にはバイオリンをはじめとした弦楽器を展示している。

 

岡野さんの妻で昨年から同美術館長を務める志穂さん(43)は「観光客は三朝でくつろぐために来ておられる。温泉で体を癒やし、美術館で心を癒やし、充実した時間を過ごしてほしい」と話した。

 

美術館の2階はコンサートホールとして利用されている。音の響きが良いと聴衆や演奏者から評判だという

 

美術館の2階はコンサートホールとして利用されている。音の響きが良いと聴衆や演奏者から評判だという

中学2年で弟子入り志願

壮人さんがバイオリンに魅せられたのは、中学生のとき、母親に連れられて行ったコンサートだったという。豊かなその響きに驚き、楽器に興味を抱いて中学2年時、国内きってのバイオリン職人だった無量塔(むらた)蔵六さんに弟子入りを志願した。バイオリンが弾けないことや高校を出た方がよいという無量塔さんの考えからその際は入門を断られたものの、高校卒業後に無量塔さんが主宰する「東京ヴァイオリン製作学校」への入学を許された。

 

壮人さんは「一度決意したらやり抜く性格。もともと木工が好きで木を扱う仕事に就きたいという思いがあった。親方(無量塔さん)に会って魅力にひかれたのも大きい」と、夢をかなえた当時を振り返った。

 

4年かけてバイオリン製作を学んだあと同校で助手を務め、その後、ドイツ人のバイオリン職人アンドレアス・プロイスさんの工房に勤務。さらに、プロイスさんの紹介でフランスの工房で働きながら、弦楽器の主生産地である欧州の空気や生活を体験した。

平成21年、倉吉市の実家にアトリエを構えて独立。その2年後には後進の育成を目指して「鳥取ヴァイオリン製作学校」を設立し、25年に活動の拠点を三朝に変えたときには、同校も美術館敷地内に移し、これまでに3人がバイオリン職人として巣立っていった。

 

地元小・中学校の児童・生徒を招いて開かれた卒業コンサートでバイオリンを演奏する三朝バイオリン美術館の岡野志穂館長

 

地元小・中学校の児童・生徒を招いて開かれた卒業コンサートでバイオリンを演奏する三朝バイオリン美術館の岡野志穂館長

地元産材で弦楽四重奏

「美術館では月に3回、コンサートを開いています。町民は無料なので来てください。試奏体験もしています」

 

今年3月上旬、地元の三朝小学校と三朝中学校の児童・生徒を招いて町総合文化ホールで開かれた卒業コンサート。志穂さんは「早春賦」など春にちなんだ曲や旅立ちの曲を奏で、生徒らにこう語りかけて美術館をPRした。

 

三朝バイオリン美術館は、こうした町民との触れ合いに力を入れている。町などによると、美術館の入館者は月平均600人程度。半分が温泉客で、残りが町民や近隣のバイオリン愛好者ら。ステージと客席が近く音響もよいことなどから一定の人気があり、観光バスが立ち寄ることもあるが、知名度不足は否めない。「まず町民にPRしていきたい」と、志穂さんは身近なファン獲得を目指している。

 

壮人さんはこれまでに、美術館近くに生えていた孟宗竹を材料にバイオリン、町内産のトチノキを使ってビオラを製作した。地元材を使ったチェロも作って、地元の演奏家による弦楽四重奏の実現という「バイオリン職人の夢」を抱き、それを古里の活性化につなげたいと考えている。

 

「パーツ(部品)を作る職人がいれば、メトロノームを作る職人もいる。バイオリン製作を仕事として成立させ、三朝を複合的なバイオリンのまちにしたい」

 

平成27年に株式会社「みささ弦楽プロジェクト」を設立した壮人さん。「音楽が豊かな町は人の心も豊かになる」との理念のもと、まちの将来像をこう思い描く。その中心にあるのが三朝バイオリン美術館だ。(松田則章)