診療所もうけすぎ?財務省主張に医療界「心折れる」診療報酬巡り攻防

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吉備彩日 神山純一

 

診療所もうけすぎ?財務省主張に医療界「心折れる」診療報酬巡り攻防:朝日新聞デジタル (asahi.com)

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診療報酬の引き上げを求める要望書を武見敬三厚生労働相に提出した日本医師会の松本吉郎会長(中央)ら=2023年11月14日午後2時59分、厚生労働省、吉備彩日撮影

 

 医療サービスの公定価格「診療報酬」の来年度の見直しに向け、議論の土台となる「医療経済実態調査」が24日公表された。

 

物価高騰や約30年ぶりとなる大幅賃上げの中、引き上げを求める医療界と、マイナス改定を掲げる財務省との攻防が激しさを増している。(吉備彩日、神山純一)

 

 「一般病院の利益率は新型コロナ後に赤字が拡大し、総損益率も大きく落ち込む見込み。

 

一般診療所の利益率は回復傾向にあるが、新型コロナの特例などの影響を除くと、

 

コロナ前の3年間の平均を下回っている」。

 

武見敬三厚生労働相は24日、医療機関の経営状況に関する調査結果をこう説明した。

 

 精神科を除く病院の2022年度の損益率(収入に対する損益の割合)は、プラス1・4%で黒字。

 

ただし、コロナ関連の補助金を除くとマイナス6・7%と赤字で、前年度から1・2ポイント悪化した。

 

 厚労省は、水道光熱費などの経費の増大やコロナ禍の入院患者の減少が影響したと分析。

 

特に水道光熱費は、前年度から32%増と急伸した。

 

 一方、一般診療所(医療法人)の利益率は補助金を除いても8・3%の黒字。

 

感染拡大下でのコロナ患者の診察やワクチン接種も収益を押し上げた。

 

 それでも武見氏は「約900万人が働く医療介護における賃上げや処遇改善の実現は、人材確保の観点に加え、日本経済の消費につなげ、成長と分配の好循環を実現するためにも大変重要な課題」と強調。

 

年末に決まる改定率では、医師や看護師らの人件費などに回る診療報酬の「本体」部分の大幅な引き上げが必要との考えを強くにじませた。

開業医の平均年収「3千万円」

 一方、財務省は診療報酬の改…

 

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2023年08月04日

医師なら知っておきたい優遇税制~措置法第26条~の基礎知識

医師なら知っておきたい優遇税制~措置法第26条~の基礎知識|勤務医ドットコム (kinmui.com)

配信より

 

「租税特別措置法第26条」をご存知ですか? 開業医の経営安定と医療の安定供給を目的とする制度ですが、実は、医業従事者の所得に対し、高い節税効果が期待できると言われています。

 

現在勤務医をされている方は、開業すれば収入がアップしますが、税金も増えるのが悩ましいところです。

 

この優遇税制を正しく理解・適用すれば、かなりの節税が可能になります。

この記事では、租税特別措置法第26条の概略とメリットはもちろん、具体的な計算方法と注意点もまとめてみました。

 

ぜひ今後の節税にお役立てください。

 

ACTION!

 目次

医師優遇税制~措置法第26条とは

措置法第26条は経費の計上に関する特例で、社会保険診療報酬が年間5,000万円以下の場合、実際の経費ではなく概算で経費計算ができる制度です。この制度を利用すると実際にかかった経費以上の経費計上が可能で、課税所得の減額ができます。

措置法の背景

医師になるまでにはかなりの費用がかかるうえに、開業の際は相応の資金が必要です。
このような状況下で開業後の経営を安定させ、医師・歯科医不足のエリアが発生しないようにすることがこの措置の目的です。

優遇税制の具体的な内容

医業及び歯科医業にかかる総収入金額が7,000万円以下かつ社会保険診療報酬が5,000万円以下の場合、「社会保険診療報酬の所得計算の特例」が適用可能です。通常、課税対象となる所得は収入から必要経費を控除して計算します。

しかしこの優遇税制では、実際に使用した必要経費の代わりに概算経費の金額を計上できるのです。この優遇制度は、社会保険診察報酬の金額によって以下のように設定されています。

社会保険診療報酬

必要経費に算入する金額

2,500万円以下

社会保険診療報酬の72%

2,500万円超~3,000万円以下

社会保険診療報酬の70%+50万円

3,000万円超~4,000万円以下

社会保険診療報酬の62%+290万円

4,000万円超~5,000万円以下

社会保険診療報酬の57%+490万円

措置法を使った場合の節税メリット

2,000万円の社会保険診療報酬がある場合を例に、所得税額を比較してみましょう。(所得控除・税額控除がない場合)
措置法では2,000万円×72%、1,440万円まで経費として認められます。実際の経費が1,000万円で所得1,000万円であっても、2,000万円−1,440万円、所得560万円で申告できるのです。

税額を概算してみましょう。経費1,000万円・課税所得1,000万円の場合、所得税率33%として税額は176万円。課税所得560万円では、税率20%として所得税は69万円。この場合の所得税の差額は107万円(176万円ー69万円)、その節税効果はかなりのものです。

医師の節税対策入門

優遇税制での必要経費の計算方法

上記の表の左欄から該当する報酬額を選び、右横の計算式で計算します。
たとえば4,500万円の社会保険診療報酬の場合、仮に実際の経費が50%の2,250万円としても、概算経費で3,055万円(57%+490万円=67.9%)の経費計上が可能です。
課税所得は2,250万円(4,500万円ー2,250万円)から1,445万円(4,500万円ー3,055万円)に減額されます。

医師優遇税制の注意点

総収入が7,000万円超・社会保険診療報酬が5,000万円を超える医師・歯科医はこの優遇税制を受けることができません。ただし、以下の対応も考えられますので、該当する方は精査されることをおすすめします。

優遇税制の適用の可能性があるケース

①院内処方ではなく院外処方を推進すれば、薬価分だけ診療報酬が下がり、5,000万円以下にできる。
②年の中途で医療法人化を検討している場合で、5,000万円以下のタイミングで法人に移行できる。(1年未満)
③親子間での世代交代など、どちらか一方でも5,000万円以下にできる。

専従者給与を必要経費に算入は?

青色申告であれば、家族に支払う給与は届け出で専従者給与として必要経費に算入することが可能です。ただし、この場合も概算経費を用いたケースのほうが有利になることがあります。事前に確認したほうが良いでしょう。支払った後で概算経費のほうが有利だったと判明しても、源泉所得税支払い済みの専従者給与の取り消しはできません。
専従者給与にかかる所得税・住民税の金額も考慮し、概算経費・実際の必要経費どちらを選択するか慎重に判断しましょう。

自由診療収入がある場合

概算経費率は、あくまでも社会保険診療の報酬が5,000万円以下のときに選択可能な制度です。自由診療による収入がある場合、必要経費は社会保険診療・自由診療のそれぞれにかかる固有経費と共通経費に分け、さらに共通経費は按分して所得計算をする必要があります。

高額備品を購入した場合

1台120万円以上の特定の器具及び備品を購入した場合、取得価額の7%相当額の税額控除(租税特別措置法第10条の3第3項)が適用されます。これは、概算経費率を用いている場合でも、その年の事業所得の所得税額20%相当額を限度に適用可能です。租税特別措置法施行令第18条では、社会保険診療報酬で概算経費を選択した際、特別償却等の必要経費算入はできない旨が規定されています。


この規定は経費算入の重複を排除するためのもので、所得税の税額控除には問題ありません。

 

ふるさと納税の改正(令和5年10月~)

自治体の募集する適正基準の改正があり、10月から自治体が要する費用のうち、経費として計上される範囲が広がります(寄附金受領証の発行など)。経費は5割以下にしないといけないルールがあるため、実質的に返礼品をもらうために必要な寄付額が上がったり、内容量の減少の可能性が出てきます。そのため、返礼品をお考えの方は、9月末までに寄付をされることをオススメしております。

まとめ

措置法26条は、総収入金額が7,000万円以下かつ社会保険診療報酬5,000万円以下の場合、実際の経費ではなく概算で経費計算ができる制度です。かなりの節税効果がある優遇税制ですが、実際の必要経費・特例のどちらを利用するほうがより節税になるかは、個々のケースによって異なります。

税理士と相談のうえ、最も効果の期待できる経費計算方法を選択するのが良いでしょう。

【Progress会計事務所は医業に特化した税理士事務所です】
これから開業を検討されている方、現在クリニックを経営中でセカンドオピニオンをご希望の方など、税務・事業継承・開業融資・クリニック経営等に関することはお気軽にご相談ください。


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医師の節税対策入門

 

藤本 勇輝

 

Progress会計事務所
所長

 

医療専門税理士事務所で6年、相続専門税理士事務所で4年で勤務し、医療業界と相続業界に強みを持っている税理士。院長先生のお悩み事を解決し、院長先生の夢を目標に変える夢実現化パートナーとしても活動をしている。

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