三つどもえのオランダ総選挙、次期首相が焦点 22日投開票
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三つどもえのオランダ総選挙、次期首相が焦点 22日投開票(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
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オランダのディラン・イェジルゲス司法・安全相=オランダ東部エンスヘデで2023年11月13日、ロイター
連立政権崩壊に伴うオランダ総選挙(下院、定数150)が22日に投開票される。
約13年の長期政権を率いたルッテ首相は政界からの引退を表明しており、
選挙結果を受けて誰が新首相に就くのかが焦点だ。
ルッテ氏の中道右派与党「自由民主党(VVD)」、
中道派の新党「新社会契約党(NSC)」、
労働党とグリーンレフトによる左派連合(PVDA・GL)が、
三つどもえの構図で争っている。
世論調査を基にした政治サイト「ポリティコ」の分析(14日時点)によると、
VVDとNSCが支持率18%で並び、PVDA・GLが16%で続く。
4位は反移民を掲げる極右「自由党(PVV)」で支持率13%となっている。
VVDはディラン・イェジルゲス司法・安全相(46)がルッテ氏から党首を引き継いだ。
VVDを軸とする内閣が誕生すれば、イェジルゲス氏がオランダ初の女性首相に就任する可能性が高い。
自由市場経済を重視する保守派で、企業活動に影響が出る増税や規制強化には慎重だ。
自身はトルコ系移民だが、移民の受け入れには厳しい立場を取る。
NSCの党首は、ピーター・オムツィヒト氏(49)。
2021年の第3次ルッテ政権の内閣総辞職につながった児童手当・不当返還請求問題で政府を追及し名が広まった。
その後、所属していた中道右派「キリスト教民主勢力(CDA)」を離党し、今年8月にNSCを設立した。
移民の受け入れには慎重な一方、貧困解消などを訴える。
国民の人気は高いが、首相を目指す意向を明確に示していない。
PVDA・GLは欧州連合(EU)の欧州委員会で上級副委員長を務めたフランス・ティメルマンス氏(62)が率いる。
ティメルマンス氏はEUの環境政策「欧州グリーンディール」を主導していたが、
8月に次期首相を目指すために上級副委員長を辞任した。
気候変動問題に関心のある層に支持されている。
一方、5月末の上院選で第1党となった新興右派政党「農民市民運動」(BBB)は
支持率6%にとどまっている。
BBBは政府の温室効果ガス削減対策に反発する農家らの受け皿となり、急激に党勢を拡大した。
総選挙を前にして勢いは弱まったが、連立協議に加わる可能性はある。
ルッテ政権は7月、移民・難民政策を巡る与党間の協議が決裂したために崩壊した。
ルッテ氏が戦争から逃れてきた難民の親族の入国制限などを推し進めようとしたが、
4党連立政権のうち2党が拒んだ。
ルッテ氏は10年10月以降首相を務め、在任期間はオランダ史上最長だが、
新政権が成立した後で政界を引退する考えを示している。
【ブリュッセル岩佐淳士】
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