自民党本部への申し入れを終え、部屋を出る細田博之氏(左)と竹下亘氏(故人)=2015年5月、東京・永田町、自民党本部
細田博之氏の急逝を受け、自民党島根県連は今後、次期衆院選島根1区の後継者の選定を進める。来年4月の公算が大きい補選の前に衆院解散・総選挙の可能性もあり、関係者からは「時間がない」との声が上がる。細田氏が支部長を務めた党島根県第1選挙区支部を主体に公募が有力視されるが、「細田ブランド」で長年戦ってきただけに難航も予想される。 【写真特集】細田博之衆院議員が死去 初当選の頃から官房長官時代、選挙運動の写真も
「まだ何も分からない」。訃報が届いた10日午後、松江市内の県連事務所に急きょ姿を見せた絲原徳康幹事長は硬い表情で繰り返した。細田重雄会長は上京中で不在。緊急県連役員会などの日程も決めることができなかった。 県連は7月、細田氏の次回選挙での擁立を最高決議機関の県連大会で確認。1区支部は、早期の衆院解散・総選挙も視野に選対本部で選挙用ポスターなどの準備を進めてきた。 ただ、細田氏が10月に開いた記者会見で、体調不良で衆院議長を辞任する一方、次回選に立候補する考えを示すと、関係者からは「理屈が合わない」との声が相次いだ。 関係者が不満と不安を募らせる中、細田氏は10月下旬に再入院。延期となった地元会合の開催を待つ中で届いた突然の訃報に、絲原幹事長は「(後継者の選定方法を含めて)今は頭にない」としながらも「1区支部でということになると思う」と言及した。 2021年に竹下亘前衆院議員が引退表明した際は後継者を公募で決めた経緯があり、1区支部の福田正明幹事長は「党本部の方針もあり、公募を行うことになるはずだ」との見解を示す。
ただ、細田氏の父・吉蔵元運輸相時代も含めて64年間にわたり「細田」の看板で戦ってきただけに、支援体制をそのまま引き続けるかは未知数。1区支部選対本部の五百川純寿本部長代行は「細田という名前以外で戦ったことがないが、2区で公募した例もある。国家論や島根の将来を考えていける後継者を粛々と選んでいかなければならない」と強調した。 13、14の両日は元々、県内各支部の幹部が東京都内で研修を行う予定で、今後の対応を巡って意見が出る可能性がある。県連内に「年明けの衆院解散・総選挙があるかもしれない。悠長に構えていられない」との声がある中、県連の生越俊一政調会長は「まずは1区支部からどんな声が上がってくるかだ」と行方を注視した。
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