JR山口線100周年企画展 元SL機関士の思い出 鉄道を支え鉄道で栄えたまち 次の100年もこのまちとともに

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JR山口線100周年企画展 元SL機関士の思い出 鉄道を支え鉄道で栄えたまち 次の100年もこのまちとともに(tysテレビ山口) - Yahoo!ニュース

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山口市のJR新山口駅と島根県の津和野駅を結ぶJR山口線は、今年全線開通から100周年を迎えました。この山口線の軌跡を、当時走っていたSLを中心に振り返る企画展が山口市で開かれています。まちと鉄道の関わりはどんなものだったのか企画展の内容から紹介します。

 

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■山口線の歴史を資料でたどる 山口市の小郡文化資料館で始まったのは「小郡黒鐵黄金時代」です。時代ごとにテーマを設けて約100点の資料とともに、歴史を振り返っています。初日には旧国鉄のOBも訪れていました。重田克美さん(81)。かつて山口線を走っていたSLの機関士として乗務していました。 元機関士・重田克美さん 「こんなのもあったのかという発見がかなりあって、びっくりしました」 ヘッドマークやプレートなど当時をうかがう資料もありますが、企画展では裏話も紹介されています。その裏話のひとつ、開通を支えた重要な遺構を重田さんに案内してもらいました。 

 

■SL支えた重要な遺構 小郡地区にある旧桂ヶ谷貯水池堰堤です。えん堤とは小さなダムのことで、現在は水をためてはいませんが、レンガ造りの姿が当時をうかがわせます。ダムとSL、無関係にも思いますが、蒸気を作るための水の確保はSLが走る路線には必要不可欠でした。 重田さん 「機関区をつくる条件は機関車が使う水の確保でしたから」 えん堤は路線の誘致合戦に勝つため、そして当時生活用水の確保を求める声と相まって建設が進められました。現在は国の有形登録文化財に指定されています。 

 

■小郡駅は山陽と山陰結ぶ拠点に 山口線は1923年、大正12年に島根県の津和野から益田駅までが開通したことで全線開通しました。山陽と山陰を結ぶ路線の拠点となった小郡駅は、全国でも有数の鉄道基地になりました。花形だった機関士をまとめる機関士長は駅長よりも格上で、厚い待遇を受けていたそうです。 

 

■小郡ならでは「初号機そろい踏み」 こちらの写真には、3台の機関車が並んで写っています。プレートにある最後の番号はすべて「1」です。これはその型式の最初に製造されたいわば「初号機」を意味するもので、そろい踏みが実現したのは小郡ならではといえます。重田さんは1台1台がクセのある機関車を操ることは、まるで人と人との対話のようだったと言います。

 

重田さん 「総合的なもんじゃからどこを変えたら直るというもんじゃないからどうしても、できのいいのとできのわるいのがあるわけ。人間と全く一緒」 

 

■引退から6年後に復活 1973年時代の流れを受けて、SLはその役割を終え、山口線から姿を消します。しかし、6年後の1979年、SLやまぐち号として復活し、再び沿線に汽笛を響かせました。地元の人たちの協力で全国の候補地を破ってSL誘致に成功しましたが、意外にもかつての機関士らは難色を示したと言います。 重田さん 「まあ、きつい・きたない・きらわれる仕事だったから。電気機関車が動き出して、えらい目をみて釜を焚くんじゃなくて座ってるだけじゃから。それが楽でええわと言うのが大半でね」 ひとりで荷台の石炭をほとんど使い切るほどくべる機関士の仕事は、激務だったものの充実感はあったと言います。 重田さん 「国の発展を支えている、その最前線にいるという自覚だけはありましたね」 

 

■試運転に大勢のファン SLやまぐち号はデゴイチの名で知られるD51は去年5月、車体の一部に亀裂が見つかって運行から退き現在、ディーゼル機関車で運行されています。京都での修理を終え先月、運行再開に向けた試運転が行われました。 撮影に訪れた鉄道ファン 「煙とか音とか、そういうのを楽しめる列車になってると思うので、また山口に訪れてたいへんうれしいです」 大阪から訪れた鉄道ファン 「こうやってきょう復活してくれてうれしい限りですね」 

 

■次の100年へ新たな歴史刻む 試運転の予定は公表されていませんでしたが、山口線を走るSLの雄姿を見たいと、沿線には全国から大勢のファンが待ち構えていました。SLの走るまち山口100年の歴史をたたえて、次の100年に向かおうとしています。 山口市小郡文化資料館・山田千里学芸員 「山口線の魅力をみなさんに知って、乗って頂いてぜひまたSLが元気よく走れるようにまちを挙げて応援していきたいなと思います」

 

山口線の100年を知る企画展は11月26日まで開かれています。

 

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