経済対策、減税範囲焦点に 「個人向けも」要望相次ぐ 増税のイメージ脱却、首相に思惑も

配信より

 

経済対策、減税範囲焦点に 「個人向けも」要望相次ぐ 増税のイメージ脱却、首相に思惑も(北海道新聞) - Yahoo!ニュース

 

減税を巡る首相、与党幹部の主な発言

 

政府が月内にまとめる経済対策の柱に据える「減税」を巡り、対象範囲が焦点となっている。

 

政府が実施を明言する企業向けの減税に加え、与党幹部からは個人が負担減を実感しやすい所得税減税などの要求が相次ぐ。

 

衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、

 

政権の「増税ばかり」というイメージを払拭する思惑もあるが、財政悪化の懸念から政府内には慎重論も根強い。

 

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「今こそ成長の成果を国民に適切に還元する」。

 

岸田文雄首相は5日の連合の定期大会でも、先月下旬の経済対策の取りまとめ指示以降、繰り返してきたフレーズを強調。還元の手段として減税をアピールした。  

 

ただ、これまで首相が検討を指示したのは、賃上げ促進税制の強化など企業の法人税減税だ。

 

「減税を強調して個人が対象とならなければ、国民をがっかりさせる」(閣僚経験者)との見方が与党内に広がる。  

 

与党幹部は個人向けの減税を相次ぎ示唆。

 

茂木敏充幹事長は3日の会見で「ダイレクト(直接的)に減税措置等によって国民に還元することもありうる」と主張。

 

公明党の石井啓一幹事長も6日の会見で「減税は有力な選択肢。(法人税などと比べて)所得税の方が国民はより実感できる」と語った。

 

自民の中堅・若手らによる積極財政派の議員連盟は5日、消費税率の時限的な引き下げや所得税減税などを求める提言を

 

世耕弘成参院幹事長ら党幹部に提出。

 

世耕氏は「基本的に思いは一緒だ」と応じた。  

 

首相自身にも減税を強調したい事情がある。昨年末には防衛費増額をまかなう増税方針を決めたほか、

 

退職金などに課税する「サラリーマン増税」が取り沙汰されたこともあり「増税イメージが定着している」(政府高官)からだ。

 

ネット上では、首相を「増税メガネ」などとやゆする書き込みが広がり、首相側近の木原誠二幹事長代理は先月下旬のネット番組で「増えた税収は全部国民に還元すべきだ。岸田政権は増税政権と言われているが、減税をやればいい」と訴えた。  

 

首相が年内解散に踏み切るとの観測もあり、減税のPRは、総選挙に向けた地ならしとの見方もある。  

 

一方、鈴木俊一財務相は減税論の高まりに「わが国の財政状況は一層厳しさを増している」とけん制した。

 

減税は財政に長期的な影響を与える。

 

1999年に景気対策として導入された所得・住民税の「定率減税」は高所得者の恩恵が大きいため

 

「税制をゆがめている」との批判が強く、2007年に全廃された。

 

首相周辺は「日本の税制度は政権のその場しのぎの姿勢に翻弄(ほん ろう)されてきた。

 

税制議論は慎重の上にも慎重を期さないといけない」とくぎを刺す。

 

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