腎臓病患者診療における新型コロナウイルス感染症について
Q:腎臓病患者で新型コロナウイルス感染症への罹患が疑われる場合、留意する点はありますか
A:
新型コロナウイルスは発熱や上気道症状を引き起こすウイルスで、ヒトからヒトへ感染すると考えられています。
現時点で、このウイルスに特に有効な抗ウイルス薬などはなく、対症療法を行います。
感染経路としては、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられています。
(1)飛沫感染
感染者の飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、他者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します。
※主な感染場所:劇場、満員電車などの人が多く集まる場所
(2)接触感染
感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れるとウイルスが付きます。他者がその物を触るとウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染します。
※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど
厚生労働省のホームページ内の「国民の皆様へのメッセージ」にもあるように、次の症状がある方は注意が必要です。
・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が続いている。
(解熱剤を飲み続けなければならないときを含みます)
・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある。
なお、重症化しやすい方、例えば、高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患などの基礎疾患のある方や透析を受けている方、また、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方は、上記の症状が続く場合には、とくに注意が必要であり、最寄りの保健所あるいは主治医にまずは電話でご相談いただきたいと思います。
風邪や季節性インフルエンザ対策と同様にお一人お一人の咳エチケット(咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえること)、手洗いや擦式アルコール手指消毒薬の利用などの手指衛生がとても重要です。さらに、人込みの多いところはできれば避けていただくなど、感染予防に十分御注意いただくよう、お願いいたします。
繰り返しになりますが、新型コロナウイルスの重症化リスクに腎臓病が挙げられ、慢性腎臓病、特に、腎炎、ネフローゼや腎移植のため免疫抑制剤やステロイドを内服している方、透析を受けている方では重症化のリスクがあるため、当初の症状が軽微でも肺炎への移行の可能性を念頭に治療することが望まれます。
また、新型コロナウイルス感染症の流行状況や対策が今後変化することも考えられます。情報が随時更新されていますので、下記も参考にしてください。
なお、状況は日々変化しておりますので、ニュース、行政のHPなどで最新の情報をご確認ください。