「麻生太郎vs武田良太」の“福岡戦争” 次期衆院選は複数選挙区で因縁の対決 地元「保守分裂避けられない」〈dot.〉

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「麻生太郎vs武田良太」の“福岡戦争” 次期衆院選は複数選挙区で因縁の対決 地元「保守分裂避けられない」〈dot.〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース

 

衆院本会議で自民党の茂木敏充幹事長(左)と話す麻生太郎副総裁=2023年3月

 

次の衆院選をめぐり、自民党の麻生太郎副総裁の地元、福岡県が大きく揺れている。いくつかの選挙区で、保守分裂となる可能性があるのだ。背後に見え隠れするのは、麻生氏に替わって福岡の“ドン”を狙う武田良太元総務相の影だ。因縁の「麻生vs武田」の最後?の戦いが勃発する。

 

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 6月27日、自民党の福岡県連は、支部長が不在の福岡9区の候補予定者となる支部長の書類審査を行い、参院議員の大家敏志氏(55)と北九州市議の三原朝利氏(45)の2人が通過した。  これに先立ち、大家氏は25日、政治資金パーティーを開き、参加者約700人を前に、 「福岡9区から、北九州から日本をリードできるなら、私はチャレンジしたい」  との考えを改めて伝えた。  麻生派に所属する大家氏は、麻生氏に相談したときのことにも触れ、 「『参議院でもいいじゃねぇか』と(言われました)。物まねじゃありませんが」  と麻生氏がくら替えに難色を示したことも明かした。  この日は大家氏がセミナー講師として、鈴木俊一財務相を招いていたが、急きょ欠席となった。  大家氏は自身のホームページで、「急なご都合により東京を離れられなくなりましたために、ビデオメッセージにて、ご挨拶を頂きました」などと書いたが、麻生派の国会議員は、 「麻生氏の義弟にあたる鈴木氏が、大家氏がくら替えを宣言するパーティーにのこのこ行くわけがない。大家氏を見放すという意味のドタキャンだ」  と冷めた見方だ。  大家氏が“親分”でもある麻生氏と異なる方針を掲げるのは、今回が初めてではない。  今年2月の北九州市長選では、自民党が推薦した元国交官僚の候補者を先頭に立って支援したのが大家氏。  一方、当選した元厚労官僚の武内和久氏については、麻生氏が推していたというのがおおかたの見方だ。表立っての動きは見せなかったものの、相乗り候補に推薦を出す党本部の決裁文書に署名しなかった。

 

そして今回、福岡9区の公募で最後の2人に選ばれたもう一人の三原氏は、北九州市長選で武内氏を支援している。  三原氏はSNSに、 <今回の公募に応募する以上は、勝ちにいきます。必ず勝つと信じ、本日も活動します>  と投稿し、 <党の公認・推薦に選ばれたら出馬する、選ばれなかったら出馬しない。というのが一番穏やかなやり方だと思います。しかし、「チャンスの今こそ北九州を前に進める。日本を前に進める」という自らが正しいと思う道を見過ごすことはできません>  とすでに公認・推薦がなくても出馬する意向を示している。  7月の党員投票でどちらかには決まるが、地元の議員らはすでに、 「三原氏が公認にならない場合、無所属で出馬するだろう。大家氏は武田氏が絶対に後押しする。保守分裂はさけられない」  との見方だ。  福岡県ではこれまで、麻生氏に対し、元党副総裁の山崎拓氏や元党幹事長の古賀誠氏といった大御所らが対抗し、しのぎを削ってきた。  山崎氏や古賀氏が政界から退くと麻生氏は首相の座まで駆け上がった。その後も安倍晋三元首相の長期政権を副総理兼財務相で支えた。一方で武田氏も二階派の有力者となって、国家公安委員長、総務相と要職を務め、福岡県の「麻生一強」を阻む存在にのし上がった。  2019年の福岡県知事選では、麻生氏が武内氏の擁立に動いた経緯がある。このときは武田氏が推す候補が当選した。そして北九州市長選では、武内氏が勝ち、今度は麻生氏に軍配が上がった。  そして、その戦いは福岡9区にとどまりそうもない。6区についても“火だね”がくすぶっている。  6区は、鳩山由紀夫元首相のおいで、法相や総務相を務めた故鳩山邦夫氏の次男、鳩山二郎衆院議員の地盤だが、ここでも麻生氏が新たな候補者を模索していると報じられている。  二郎氏は武田氏と親しい関係にあり、二階派だ。  邦夫氏の死去に伴う2016年の衆院補選で初当選した二郎氏だが、自民党福岡県連は別の候補者を擁立した。それ以降、両者の間にはすきま風が吹いており、衆院当選3回を数える二郎氏だが、支部長に就任できていない。

 

「福岡県連は麻生先生が中心でにらみを利かしており、その息がかかった県議や市議が幹部です。二郎氏は2022年の久留米市長選でも県連が推した候補ではない人物を支援し、麻生氏や県連とさらに溝が深まってしまいました。おまけに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と親密な関係であることもわかってしまい、名門鳩山家の御曹司ではありますが、地元では『冷たい視線』も注がれています。それもあってか、麻生先生が新しい候補を出すとの情報が流れています。有力候補の一人は、県連幹部の息子さんで今は、麻生先生の秘書でもあります」  自民党の久留米市議がそう説明する。  福岡6区は、「麻生vs武田、鳩山」という構図が見えてきそうなのだ。  さらに福岡4区でも、自民党の現職の宮内秀樹氏に対し、自民党県議の吉松源昭氏が立候補する意向を示しており、公認の「差し替え」を訴えている。無所属での出馬も辞さないとの構えだという。  これまで自民党では「現職優先」が原則となっており、宮内氏は強く反発している。 「宮内氏は二階派で、武田氏が福岡県連会長の時に擁立した側近です。そこに麻生氏側が割って入り、吉松氏を推すという格好です。麻生氏が武田氏を切り崩そうとしているのです。すでに麻生氏側は地元の自民党支部などに手をまわして、吉松氏支援を求めています」(自民党の福岡県議)  なぜ、麻生氏はここぞとばかりに「攻め」に打って出るのか。  麻生派の国会議員は、 「麻生先生も年齢的に、そう何度も選挙はできないでしょう。武田氏をここでたたきのめしておきたい、福岡を渡したくないという気持ちでしょうか。なんとしても『麻生王国』をという思いが強いようです」  と話す。  総選挙となれば、福岡の地元議員にとっても、あちこちで分裂選挙になる。  前出の自民党の福岡県議がこう話す。 「麻生先生が最後の勝負に乗り出したのかな。衆院選は大荒れですね」 (AERA dot.編集部 今西憲之)

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