百里基地に着陸したインド空軍のSu-30MKI戦闘機
茨城県小美玉市に、航空自衛隊の百里基地がある。ここに1月10日、インド空軍のSu-30MKI戦闘機が着陸した。これがどれほど珍しいことなのか、軍事ジャーナリストが解説する。
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「ロシアの航空機メーカーであるスホーイが開発したSu-30を、インド空軍向けの仕様に変更した戦闘機がSu-30MKIです。
戦後、ロシアが開発した戦闘機が“合法的”に日本の飛行場に着陸したことは一度もありません。
そのため多くの関係者が注目しています」 “合法的”に着陸したことはないが、“非合法”に着陸した例はある。
「1976年9月、当時、ソ連の防空軍中尉だったヴィクトル・ベレンコ氏(75)がアメリカに亡命するため、MiG-25戦闘機に乗って日本の領空を侵犯、函館空港に強行着陸しました」(同・軍事ジャーナリスト)
近年、インドと日本は緊密な外交関係を結んでいる。だからこそインド空軍が航空自衛隊の基地を訪れたわけだ。ならばインド空軍はなぜ、ロシア製の戦闘機を使っているのだろうか。
「インドは長年、“非同盟外交”を基本に据えてきました。今ではアメリカや日本とも緊密な関係を結んでいますが、軍事に関しては“多方位外交”を堅持しています。アメリカの兵器も採用していますが、バランスを取るためにロシアの兵器も購入しているのです」
(同・軍事ジャーナリスト)
本気の訓練
インド空軍と航空自衛隊は共同訓練を行っている。 1月16日から26日までという、長期間の日程だ。
「この日程から、単なる親善を目的としたものではないことが分かります。インド空軍は航空自衛隊と本気の共同訓練を行っているわけです。その目的は発表されていませんが、中国とパキスタンの領空侵犯に対応するノウハウを学ぶためだと考えられています」
(同・軍事ジャーナリスト)
航空自衛隊は、常にロシアや中国の領空侵犯機に対応している。そのノウハウは世界の空軍でもトップクラスなのだという。
「領空侵犯機への対応は、一つ間違えば大きな外交問題になります。安全かつ毅然とした対処法を、インド空軍は航空自衛隊から学ぼうというわけです。また、航空自衛隊にも大きなメリットがあります。何しろ“仮想敵”であるロシア製の戦闘機を相手に、日本の空域で訓練ができるわけです。空自にとってはまたとない貴重な機会でもあるのです」
(同・軍事ジャーナリスト)
デイリー新潮編集部
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