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ECB本部=ドイツ・フランクフルトで
欧州中央銀行(ECB)は27日の定例理事会で、主要政策金利を1・25%から2%に引き上げることを決定した。0・75%の利上げ幅は2回連続。加速するインフレ(物価上昇)を抑え込むため、強力な金融引き締めを継続する。ラガルド総裁は理事会終了後の記者会見で、12月の次回会合で資産買い入れプログラムで保有する資産の削減に向けた基本方針を決めることも明らかにした。
欧州連合(EU)統計局が19日に発表したユーロ圏19カ国の9月の消費者物価指数は、前年同月比の上昇率が9・9%と、記録が残る1997年以降の最高を更新した。エネルギー価格の上昇率は40%を超えており、最大の押し上げ要因となっている。食料品価格の伸びも11・8%を記録するなどインフレが加速している。ラガルド総裁は会見で、「物価上昇率を2%に抑える中期目標に向けさらに利上げを続ける」と述べた。
ロシアは欧州向けガスパイプライン「ノルド・ストリーム」の供給を8月末から停止しており、需要期の冬を前に供給不足が懸念されている。EUの天然ガス貯蔵率は90%を超えているが、ウクライナ危機の状況次第で、不測の供給不足が起きる可能性もある。各国政府が講じるエネルギー価格抑制の補助政策が消費者の節約意識を弱め、金融引き締めの効果を相殺するとの指摘もある。
通貨のドル高・ユーロ安も続いており、欧州各国で、原油や天然ガスなどの輸入価格の上昇を助長している。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月まで3会合連続で政策金利を0・75%上げており、米国との金利差が拡大すると、さらにユーロ安が進む恐れもある。
一方、金融引き締めに伴う景気減速の懸念も広がり、経済の重しとなっている。ECBは9月に発表したユーロ圏の経済成長予測で、2023年の実質域内総生産(GDP)成長率を6月の予測の2・1%から0・9%に、24年を2・1%から1・9%に下方修正している。【ブリュッセル宮川裕章】
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