キヤノン御手洗氏、工場の「国内回帰」鮮明に 地政学リスクを憂慮

配信より

 

キヤノン御手洗氏、工場の「国内回帰」鮮明に 地政学リスクを憂慮(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

配信より

 

朝日新聞デジタル

キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長=2016年

 

 キヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長は26日の記者会見で、

 

海外の生産拠点で地政学的なリスクが高まっているとして、

 

「工場の存在を根本的に見直そう、時代に合った体制に見直そうというのが大きな課題だ」と述べた。

 

そのうえで「メインの工場を日本に持って帰る」とし、国内回帰を進める考えを明らかにした。

 

  【写真】熊本県で建設が進む台湾のTSMCの半導体工場  

 

経営環境の課題を問われた御手洗氏は、中国と台湾の緊張関係を例に挙げ、「経済の影響を受ける可能性のある国々においては(生産拠点を)放置しておくわけにはいかない。より安全な国へ移すか、日本に持って帰るか。二つの道しかない」と話した。

 

今年初め、中国にあったカメラ工場を閉じたという。  

 

国内回帰の理由として、海外の労働環境の変化も指摘した。

 

かつて中国や東南アジアに生産拠点を設けた際には「安い賃金を求めて出た」。

 

しかし、近年は現地の賃金や物価が上がり、「魅力が少なくなっている」という。

 

相対的に日本国内での生産コストが低くなる円安も「(国内回帰の)大きな理由のひとつ」と述べた。  

 

一方で、国内回帰を進めるためには、生産のロボット化や自動化を進め、一段とコストを減らすことが必要だとの考えを強調した。  

 

キヤノンがこの日発表した2022年1~9月期決算は、売上高が前年同期比12・4%増の2兆8742億円、

 

本業のもうけを示す営業利益が同24・0%増の2560億円、純利益が同2・7%増の1591億円だった。  

 

海外での売り上げが8割を占めており、急速な円安が強い追い風となった。

 

1ドルあたり1円の円安で、年間の売上高が30億円、営業利益が9億円膨らむという。

 

御手洗氏は「基本的に円安で失うものはない。歓迎している」と述べた。

 

(伊沢健司)

 

朝日新聞社

 

【関連記事】

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

10年先の理想を追求したキヤノンのデジカメ新工場、自動化率どこまで?

「今は7割程度がコストなどのバランスがいい」、AIで賢く

2018年02月15日 トピックス

 

10年先の理想を追求したキヤノンのデジカメ新工場、自動化率どこまで?|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社 (newswitch.jp)

配信より

 

マザー工場である大分キヤノンのテクノ棟

 

 キヤノンは、2019年8月に宮崎県高鍋町に、レンズ交換式カメラを一貫生産する工場を稼働する。
 
国内のカメラ新工場は、08年の長崎キヤノン(長崎県波佐見町)以来。カメラ事業を担当する戸倉剛執行役員は、「5―10年先の理想の工場をつくる」と意気込む。
 
既存工場は稼働しながら順次生産改善を行うが、「新工場はドラスチックに変えられる」。

 理想の生産ラインとは、不良だけでなく、立ち上げ時間やコスト、人など全てで、極力ムダやロスの出ないもの。なおかつ、効率的に実現する。

 そのための手段の一つが自動化だ。
 
戸倉執行役員は、「自動化が最も進んでいる機種の自動化率は7割程度。完全自動は一つの理想の姿だが、今は7割程度がコストなどのバランスがいい」と話す。
 
他の機種でも設計段階から自動化しやすくつくり込み、投資効果を見ながら、自動化率を高める。

 生産ラインに設置したセンサーから膨大な情報を集め、人工知能(AI)で分析して、自動機をより賢くする研究も進めている。

 同社の自動化は、設計部門との連携に加え、自前の自動化設備が支えている。
 
購入設備はさまざまな業種に対応するため、多くの機能を備えるが、使わない機能もある。

 内製すれば、必要な機能だけを搭載した設備を低コストで使える。「設備内製と自動化はセットだ。もっと広げたい」(戸倉執行役員)という。

 宮崎県を含む九州3県のカメラ工場は、一体運営を加速させる。マザー工場である大分キヤノン(大分県国東市)は、テクノ棟の完成を機に、さらに生産技術や自動化技術開発といった上流の業務を拡大する。

 AIを利用した生産技術の開発も大分の仕事だ。
 
長崎キヤノンは、これまでコンパクトカメラの生産が主力だったが、市場の縮小を受けて、カメラ以外も含め少量多品種生産が可能な総合生産拠点とする。

 一方、海外工場では、こなれた生産技術を使い、人の手作業と組み合わせてコスト削減を図っている。
 
宮崎新工場が稼働すれば、国内生産比率は現在の6割から7割へ高まるが、「さらに大幅に上げる予定はない」(同)。エントリーモデルなどは海外で生産することが多く、生産変動を吸収する役割もある。

 17年のカメラ市場は、16年の熊本地震でソニーのイメージセンサー工場が被災した影響から回復途上だったため、今後、これまでの縮小傾向がどうなるかの予想は難しい。
 
コンパクトの縮小傾向や高価格帯製品の伸長は続くとみられ、「キヤノンとしては(市場全体で)17年以上のシェアをとりたい」(同)と意気込む。

 キヤノンは、コンパクトカメラ、一眼レフカメラ、ミラーレスカメラの全てをそろえ、各市場の求める製品を供給している。
 
カメラ市場が縮小する中、競合メーカーは機種の絞り込みを進めている。
 
フルラインアップ戦略を続けるには強い生産基盤が必要だ。
 
九州3県を中心に、キヤノンの理想の追求が続いている。
(文=梶原洵子)
 

日刊工業新聞2018年2月14日

COMMENT

執行役員デジタルメディア事業担当 DX統括
 
キヤノンは14日、シーメンス(東京都品川区)と工場の自動化(FA)の支援で協業を始めると発表。キヤノンの映像関連技術と、シーメンスが持つ生産現場のデジタル化・自動化技術を組み合わせて、FAシステムソリューションを順次発売するという。 第1弾として、シーメンスの産業用コンピューターに、キヤノンの異常監視・録画ソフトウエア「モニタリングエディション」と画像処理用ソフトウエア「ビジョンエディション」を搭載し、生産設備に組み込めるソリューションとして提供する。自社工場のノウハウをどこまで外だしするのだろうか。
キーワード

戸倉執行役員 長崎キヤノン コスト 生産技術 長崎県波佐見町 カメラ 梶原洵子 縮小傾向

 

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
​​​​​​​