長引くコロナ「『給付金』の再支給を…」追加の経済対策を求める声…経済評論家の見解は?
8/12(木) 7:10配信 TOKYO FM+

https://news.yahoo.co.jp/articles/5aabc695ac6b0e80bcf36b050aa0c7d13533a543?page=2
配信より

※写真はイメージです

モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。8月11日(水)の放送は、夏休み中のユージに代わり、経済評論家・加谷珪一(かや・けいいち)さんが代演パーソナリティをつとめました。今、知っておくべき注目のトレンドを解説するコーナーでは「長引くコロナ禍。追加の経済対策を求める声」について伺いました。

国内最大級の企業情報データベースを保有する「帝国データバンク」のまとめによると、新型コロナウイルスの影響で、破産などの手続きをとって倒産した企業や、事業を停止して法的整理の準備に入った企業は、個人事業主を含めて1,860社になりました(2020年2月~2021年8月3日までの累計)。夏のレジャーシーズンに緊急事態宣言が延長・拡大されたことで、今後さらなる倒産の増加につながるおそれがあるということです。

こうしたなか、コロナ禍の景気浮揚策として、与党内で大規模な追加の経済対策を求める声が上がっています。菅義偉首相は、追加の経済対策の取りまとめを政府に指示する方針で、来月前半にも提言を策定する見通しとなっています。

◆追加の経済対策を求める声
吉田:与党内で、大規模な追加の経済対策を求める声が上がっているということですが、どのような背景があるのでしょうか?

加谷:経済支援が少ないという声は、ずっとあがっていました。秋までには衆議院選挙があるので、政治的にはこれを意識したものだと思います。

ただ、現実問題として今、飲食店を中心にビジネスの現場は本当に疲弊していますので、選挙の有無に関わらず対策が必要だと思います。知事会などでは、「より厳しい外出制限などを求める」という話も出ておりますので、もし、そういう事態になるのであれば、経済支援とセットにしないと大変なことになってしまいますよね。

吉田:現場からは、「給付金がまだ支払われていない」という苦しい声もあがっています。選挙とつなげて考えてほしくないな、というのが正直なところですよね。

加谷:本来は、そうあるべきではないものですからね。

吉田:追加の経済対策の策定はこれからですが、どのような経済対策を盛り込むべきだと思われますか?

加谷:経済対策には、大きく分けて2つの種類があります。1つは、企業支援を通じて従業員の雇用を守り、企業を支援するという方法です。2つ目は、国民を直接経済的に支援するという方法です。

これは、どちらもあったほうが良いのですが、仕事を失ってしまった人も多いことを考えると、前回配ったような「特別定額給付金」を(再支給し)、国民に対する直接支援が望ましいのではないかと思われます。

吉田:去年、すべての国民に一律10万円を給付した「特別定額給付金」ですが、その多くが貯蓄にまわったとも言われています。もし、(再支給分も)貯蓄にまわったとしても、今、特別定額給付金が必要だとお考えですか?

加谷:コロナ危機の怖いところは、分断を生じてしまうことです。(貯蓄できる人がいる)一方で、本当に光熱費を払えない人もいらっしゃいます。“ある程度、全員に公平に……”ということになると、お金を一律で配ったほうが良いと。仮に、貯蓄に回った分は、銀行の支援というかたちでお金を回すことはできますので、ムダ金になるわけではありません。

吉田:去年は、コロナというウイルスについて分からないことが多かったですし、国民全員に一律で支払うことは、あのタイミングでは仕方なかったのかなとは思うのですが、(今すぐにお金の)必要がない方にも、おそらく支給されていました。今回もすべての国民に……としたほうが良いということですか?

加谷:そうですね。一部では、所得水準で制限を加えようという話もありますが、(今後、緊急事態宣言区域で)厳しい措置を取るのであれば、所得に関わらず支給したほうが不公平感はなくなるので、そのほうが良いのではないかと思います。

◆繰り越された30兆円…今後、どのように使うべき?
吉田:国の昨年度(2020年度)の予算のうち30兆円余りが使われず、今年度に繰り越されました。この30兆円は、どのように使ってほしいとお考えですか?

加谷:予算は本来、組んだ年度内に消化するのが原理原則です。「単年度主義」といって、これをやらないと予算が杜撰(ずさん)になってしまうんです。余らせてしまったということは、そもそもの予算の組み方に問題があったということです。

ただ、今それを細かく議論している暇はありませんので、繰り越し分の30兆円は、今申し上げたように、給付金ですとか、企業の支援というところに全額充当すべきではないかなと思います。

◆コロナ収束後、増税の可能性は?
吉田:新型コロナウイルス収束後、“復興の名のもとに増税するのでは?”という懸念もあります。このあたりはいかがですか?

加谷:そうですね。当面の財源は国債で賄えば良いのですが、借金は無制限にできるものではありませんので。ただ、コロナが終わってすぐに増税となると、また景気を冷え込ませてしまいます。当局は、すぐに増税という話を出してくるのかもしれませんが、少し時間を見て判断したほうが良いのではないかと思います。このあたりは、長期的に見ないといけないんじゃないかなと思います。

吉田:ありがとうございました。今日は「長引くコロナ禍。追加の経済対策を求める声」について、加谷さんにお話を伺いました。

すべての国民に一律10万円を給付した「『特別定額給付金』をもう一度……」という声も多いのですが、個人的には、必要のない人のところには給付金を届けなくてもいいのでは? 多くの人が貯蓄にまわしてしまうと、経済対策につながらないのでは? と思っていました。

今回、加谷さんのお話を伺って、貯蓄にまわすことで、銀行が困っている企業に貸し付けることができ、経済がまわるということを教えてもらい、そういった経済のまわし方もあるのだと勉強になりました。

ただ、2020年度の予算のうち30兆円あまりが使われておらず、今年度に繰り越されています。飲食店を始め、さまざまな業種の方は非常に苦しい日々を過ごしているかと思います。困っているところに、正しい形で必要な分の給付金が届くと良いなと思いました。

(TOKYO FM「ONE MORNING」8月11日(水)放送より)

最終更新:8/12(木) 7:10 TOKYO FM+

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