水素、バイオ利用でCO2削減

2021年04月08日

徳山下松港をエネルギー供給拠点港に
CNP検討会で方向性

周南コンビナート周辺の二酸化炭素排出と削減ポテンシャルを示すイラスト


 国交省中国整備局と県は、徳山下松港を対象としたカーボンニュートラルポート(CNP)の検討会の結果を「徳山下松港におけるCNP形成に向けた方向性」としてまとめ、2日に公表した。二酸化炭素(CO2)排出削減に向けたバイオマスの輸入拡大や、新たなエネルギー源として注目される水素の地産地消への取り組み強化などが示されている。


 この検討会は脱炭素社会を目指して開催。2月4日、3月17日、26日に周南市で開かれ、中国整備局、県と出光興産、岩谷産業、東ソー、㈱トクヤマなどが参加した。検討会は今後も続ける。「方向性」は新たなエネルギー供給拠点港として徳山下松港の目指すべき姿、取り組みの方向性を示している。


 検討会では周南コンビナート周辺の燃料・電力の使用状況についてCO2排出量を推計。この使用燃料として水素の使用が進んだ場合の水素の利用量を水素需要ポテンシャルとしてまとめた。


 CO2排出量は、徳山下松港の徳山地区、新南陽地区と周南市だけで、ターミナル外が年間1,140万トン、ターミナル内が0.2万トン、ターミナルを出入りする船舶・大型車両が0.6万トンで合計1,140万トンと推計。このうち20%を水素にすると約23万トン、50%だと58万トン、100%利用で116万トンの水素需要が見込まれるとしている。


 このため、徳山下松港は国際バルク戦略港湾として西日本エリアのエネルギー供給港としての役割を果たすとともに、臨海部では化学品製造過程で副生水素が発生、利用されるなど「今後、新たなエネルギー資源を利用する可能性が高い地域」と指摘している。


 具体的な取り組みでは、増加するバイオマスの取り扱いに向けた港湾施設利用計画の見直しや港湾整備の方向性の検討▽水素需要の掘り起こし、水素パイプラインの設置・拡大など水素地産地消への取り組み強化▽荷役機械・車両の電動化など港湾物流でのCO2ゼロ化▽工場内発電所でのバイオマス・アンモニアなどの混焼拡大▽大規模な水素・アンモニア輸送・貯蔵・供給及びCO2回収・集積・輸送の検討▽水素によるグリーンエネルギー供給への取り組みなどが記載されている。

 

水素、バイオ利用でCO2削減 | 新周南新聞社 (shinshunan.co.jp)  配信より