川崎重工:社長を解任 三井造船との統合白紙
 
造船・重機大手の川崎重工業は13日夜、緊急の記者会見を開き、三井造船との経営統合交渉を推進していた長谷川聡社長(65)を同日付で解任して取締役に降格し、村山滋常務(63)を後任の社長に昇格させるトップ人事に踏み切るとともに、統合交渉を打ち切る方針を発表した。副社長と常務各1人も取締役に降格する。26日の株主総会を前にした異例のトップ人事で、三井造船との統合交渉は暗礁に乗り上げる。長谷川氏の他に解任されたのは、高尾光俊副社長(63)と広畑昌彦常務(61)。東京都内で記者会見した村山氏は、長谷川社長解任の理由について、「三井造船との統合交渉を独断で進めたため」と述べた。ただ、統合交渉を打ち切る理由については「統合の中身は守秘義務」とし、具体的な説明を避けた。社内では、「統合のメリットが不透明」などとして経営統合への慎重論も根強かったが、長谷川氏らがこうした意見を抑える形で交渉を推進していたとされる。川崎重工業は同日の発表資料で「(解任された)3人が多数の取締役の意向に反した業務執行を強要しようとするなど、取締役会を軽視した行動があった」と説明した。統合交渉は4月に報道されたが、当時は両社とも交渉の事実を否定していた。13日の発表資料では「交渉の事実はあるが、何も決まっていない」と訂正、交渉自体は行われていたことを認めた。川崎重工業は造船で三菱重工業に次ぐ国内2位、三井造船は5位で、両社の売上高を単純合算すれば1兆9000億円規模となる。三菱重工業の約3兆円には届かないが、造船需要の低迷が続く中、エネルギー関連のプラントなど幅広い分野で協力体制を構築することで経営効率化を図り、世界市場での生き残りを図る考えだった。【松倉佑輔】 ・・・・毎日新聞 2013年06月13日 21時27分(最終更新 06月13日 22時58分)より