大手証券5社の13年3月期連結決算が1日出そろった。昨年末からの株式市場活況を受けて業績は全社で急回復した。最大手の野村ホールディングス(HD)の最終(当期)利益は前期比9.2倍の1072億円、大和証券グループ本社は前期の最終赤字から729億円の最終黒字に転換し、両社とも6年ぶりの高水準となった。「足もとではアベノミクスで、活況なマーケット環境が続いている」。大和の小松幹太CFO(最高財務責任者)は1日の会見で、業績好調の背景を振り返った。394億円の赤字だった前期から一転して大幅黒字を確保。株の売買手数料収入が伸びたほか、投資信託や債券の販売なども拡大した。業績好調を受け、今夏に支払う賞与総額を昨冬実績に比べ5割積み増した。野村も、本業が好調だったことに加え、子会社だった野村不動産ホールディングス株を一部売却したことが業績を押し上げた。1~3月期だけで824億円の最終黒字を計上した。柏木茂介CFOは「投資家のリスク受け入れ姿勢が高まっている」と分析した。三菱UFJ証券ホールディングスやSMBC日興証券は、前期比2倍以上の最終黒字を上げた。みずほ証券は、956億円の赤字から黒字転換した。大規模なリストラで経営体力を高めており、相場活況で業績を押し上げた格好だ。ただ、海外部門は野村、大和の大手2社とも赤字で、経営の課題となっており、野村の柏木CFOは「(海外での)リストラ計画を実行する」と話した。【山口知】

 ◇キーワード・証券会社の業績

株式市場が活況だと証券会社の業績は上向く。株式の売買手数料や投資信託の販売が増えるほか、新規上場や新株発行する企業が増え、手数料収入を押し上げるためだ。証券会社の株価も大きく上昇する。ただ相場環境によって業績が大きく左右されるため、業績予想は開示していない。最大手の野村ホールディングスの場合、バブル全盛期の90年3月期に売上高に当たる営業収益は1兆2000億円を超えていたが、3年後に半減した(当時は野村証券)。最近では米国発の金融危機の影響を受け、09年3月期は7000億円超の巨額赤字を計上。97年に4大証券の一角だった山一証券が経営破綻したのも、バブル崩壊後の株価低迷が背景にある。・・・ 平成25年5月1日(水)、毎日新聞 20時24分配信より
 
私のコメント :  投資家は、欧州債務危機の問題にも、これから、目を向けていかなければいけなくなると推測している。