【アムステルダム斎藤義彦】30日に即位したオランダのウィレム・アレクサンダー新国王(46)は欧州債務危機を背景に移民排斥など過激主義に陥りやすい社会と向き合い、いかに「寛容と自由」という伝統的価値観を守るかという課題に直面している。王室の政治関与を制限する動きもあり民主主義と王室の共存という先進国の王室共通の問題にも向き合わざるをえない。30日、ベアトリックス女王(75)はアムステルダムの王宮で退位宣誓書に署名。国王は市内の新教会で即位宣誓を行った。女王は同性婚も許容し、極右の台頭に不快感を示し欧州統合を支持してきた。ルッテ第1次内閣(2010年)に極右・自由党が閣外協力し政権入りした際に難色を示した。欧州債務危機で優等生だったオランダも、不景気や高齢化で財政赤字が拡大している。国民には福祉カットなど緊縮財政に不満も強く、欧州連合(EU)への批判や移民への嫌悪感も高まり、王室が政治に関わり過ぎるとの批判も根強い。現政権党の労働党などが国王の政治権限を縮小する法案を準備。連立政権作りの際、国王が調停者を指名する慣例だったが、昨年、議会が独自に指名するよう変わった。新国王はこれらを意識して即位式での演説で「今、多くの人が苦難に陥っており、助け合う必要がある。政府と市民の信頼を強化したい。私たちの力は世界に開かれている」と述べた。王室に詳しいクース・ハウイセン博士(歴史学)は「女王は中立を貫き、極端な思想を抑制し社会を安定させた。一方、寛容や自由は女王など上流層の価値観で、不安を募らせる庶民と隔たりがあった。庶民的とされる新国王は新たな役割を見いだすだろう」と話す。 ・・・ 平成25年4月30日(火)、毎日新聞 22時55分配信より
私のコメント : 誠意を持って、オランダ王国外交官、オランダ王国大使館に対応している日本人に対し、その誠意を持って対応しているかどうかという、ウィレム・アレクサンダー新国王の真価が、欧州債務危機を背景に、世界から問われてくる。