欧州債務危機が一段と拡大した場合に備え、日銀など日米欧の中央銀行は厳戒態勢に入った。日銀が15日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を見送り、実質ゼロ金利など現行の金融政策を維持した背景には、17日のギリシャ議会再選挙後の市場動向を見極める狙いもある。週明けの市場が混乱した場合は米連邦準備制度理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などと協調し資金供給に踏み切る方針だ。さらに、急激な円高や株安が起きた場合には、臨時の決定会合を開き、追加緩和を行うことも辞さない構えで、スクランブル態勢を整えている。
「各国中央銀行と同じく、細心の注意をもって国際金融資本市場の動きを見ている。(金融システム不安が高まるようなら)しっかりと流動性(お金)を供給して不安を鎮める」ーー。日銀の白川方明総裁は15日の決定会合後の記者会見で、ギリシャ総選挙後の市場の混乱回避に万全を期す姿勢を強調した。
ECBのドラギ総裁も金融政策を決める6日の定例理事会後の記者会館で「事態を注視し、行動に備える」とギリシャ情勢次第で追加緩和を辞さない構えをアピール。FRBのバーナンキ議長も7日の議会証言で「米国の金融と経済を守るために、必要な行動をとる」と表明。日米欧中銀トップはそろって市場の混乱回避の防波堤になる覚悟を示した形だ。
金融市場はギリシャ総選挙を前に緊張感を高めている。14日には銀行の不良債権問題を背景に財政不安が深まるスペイン国債の利回りが一時、市場での資金調達が困難になる「危険水域」とされる7%にまで急騰(価格は急落)した。
投資家はギリシャの政局混乱拡大を意識してリスク回避姿勢を強めており、外為市場ではユーロ売り圧力が強く、歴史的な円高水準が続く。ギリシャ再選挙で緊縮財政反対派が勝利すれば、欧州連合(EU)などからの支援打ち切りによる同国のユーロ離脱観測が高まり、国際金融市場が大混乱する懸念がある。銀行同士が疑心暗鬼に陥れば、資金の貸し借りができなくなる。また、リスク回避姿勢が強まり、急激な円高や株安を招く恐れもある。
日銀は、状況次第では各国中銀との資金供給のほかにも、緊急会合を開き、国債などを買い入れる基金の増額など追加の金融緩和も検討する見込み。金利を下げて景気を刺激する効果は限定的だが「円売り介入とセットで行えば、インパクトはある」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)との見方もある。【窪田淳】
◇中央銀行の金融危機対応の資金供給◇
日米欧の中央銀行はリーマン・ショックで金融不安が広がった08年秋、スワップ(通貨交換)協定を締結。市場で資金調達が困難になった銀行などに対し、米国以外の中央銀行からもドルを供給できる枠組みを整えた。銀行の資金繰り破綻を防ぐのが狙い。具体的には米国の中銀である連邦準備制度理事会(FRB)が円やユーロなどと交換する形で日欧の市場でドルを潤沢に供給することにした。欧州系銀行が日本市場でドル資金調達が困難になれば、日銀がFRBに円を売ってドルを受け取り、そのドルを欧州系銀に回す。この枠組みは10年2月に打ち切られたが、ギリシャ財政危機が拡大した同年5月に再開した。 ・・・ 平成24年6月15日(金)、毎日新聞 21時50分配信より
「各国中央銀行と同じく、細心の注意をもって国際金融資本市場の動きを見ている。(金融システム不安が高まるようなら)しっかりと流動性(お金)を供給して不安を鎮める」ーー。日銀の白川方明総裁は15日の決定会合後の記者会見で、ギリシャ総選挙後の市場の混乱回避に万全を期す姿勢を強調した。
ECBのドラギ総裁も金融政策を決める6日の定例理事会後の記者会館で「事態を注視し、行動に備える」とギリシャ情勢次第で追加緩和を辞さない構えをアピール。FRBのバーナンキ議長も7日の議会証言で「米国の金融と経済を守るために、必要な行動をとる」と表明。日米欧中銀トップはそろって市場の混乱回避の防波堤になる覚悟を示した形だ。
金融市場はギリシャ総選挙を前に緊張感を高めている。14日には銀行の不良債権問題を背景に財政不安が深まるスペイン国債の利回りが一時、市場での資金調達が困難になる「危険水域」とされる7%にまで急騰(価格は急落)した。
投資家はギリシャの政局混乱拡大を意識してリスク回避姿勢を強めており、外為市場ではユーロ売り圧力が強く、歴史的な円高水準が続く。ギリシャ再選挙で緊縮財政反対派が勝利すれば、欧州連合(EU)などからの支援打ち切りによる同国のユーロ離脱観測が高まり、国際金融市場が大混乱する懸念がある。銀行同士が疑心暗鬼に陥れば、資金の貸し借りができなくなる。また、リスク回避姿勢が強まり、急激な円高や株安を招く恐れもある。
日銀は、状況次第では各国中銀との資金供給のほかにも、緊急会合を開き、国債などを買い入れる基金の増額など追加の金融緩和も検討する見込み。金利を下げて景気を刺激する効果は限定的だが「円売り介入とセットで行えば、インパクトはある」(第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミスト)との見方もある。【窪田淳】
◇中央銀行の金融危機対応の資金供給◇
日米欧の中央銀行はリーマン・ショックで金融不安が広がった08年秋、スワップ(通貨交換)協定を締結。市場で資金調達が困難になった銀行などに対し、米国以外の中央銀行からもドルを供給できる枠組みを整えた。銀行の資金繰り破綻を防ぐのが狙い。具体的には米国の中銀である連邦準備制度理事会(FRB)が円やユーロなどと交換する形で日欧の市場でドルを潤沢に供給することにした。欧州系銀行が日本市場でドル資金調達が困難になれば、日銀がFRBに円を売ってドルを受け取り、そのドルを欧州系銀に回す。この枠組みは10年2月に打ち切られたが、ギリシャ財政危機が拡大した同年5月に再開した。 ・・・ 平成24年6月15日(金)、毎日新聞 21時50分配信より
私のコメント : 来週、欧州におけるEU為替相場、各国の市場関係者にとっては、注目に値するものとなってくると個人的に、推察している。